票の少なかった候補が最後に逆転!?
選挙の開票速報で、途中の票数で上回っていても、なかなか「当選確実」や「当選」の報道が出ないことがあります。その順位のまま決着がつくこともあれば、負けていた候補が逆転して当選することもあります。なぜ?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
今回の衆議院千葉5区補欠選挙ではどうだったのか。開票所取材を担当した記者が解説します。
(千葉放送局成田支局・佐々木風人)
衆議院千葉5区補欠選挙では、開票状況を伝えるNHKのホームページでも、途中まで立憲民主党の矢崎さんの票数がトップだったけど、最後、自民党の英利さんの票数が逆転したね。これはどういうことラッカ?
そうだったね。選挙管理委員会は、開票作業中に『中間発表』として一定の時間ごとに票数を発表するよ。NHKでも、それをいち早く、開票速報の番組やホームページに反映させることにしているんだ。
この画像を見てください。午後11時と午後11時半に市川市選管が発表した『中間発表』だよ。
英利さんだけ、6000票も増えてる!
そう。だから、午後11時半の『中間発表』をNHKのホームページに反映させた時、順位が逆転して英利さんがトップになったんだ。
なんでこんなことになるラッカ?
開票作業には、各候補の陣営の人が立ち会うことができるんだけど、英利さんの陣営関係者によると、『アルフィヤ』ではなく『アルフィア』や『アリフィヤ』などと書かれた票が多くあり、ほかの陣営から『有効な票と認められないのではないか?』という指摘があったらしいんだ。
少なくとも英利さん以外の票ではないと思うけど、ほかの陣営は無効じゃないかと主張したんだね。
こうした票は『疑問票』と呼ばれて、有効とするかどうかは現場で1票ずつ議論と確認が行われるんだ。このため、英利さんの票の集計に時間がかかったようなんだ。僕は今回、市川市の開票所に取材に行ったんだけど、全体的に矢崎さんの票が早く積み上がって、英利さんの票は集計が進まなかったよ。
ラッカ星人は、そもそも開票所でどんなふうに票を数えていくのか知ってる?
体育館など大きな施設で、自治体の職員の人たちが集まって開票するんだよね?
そうだね、これは今回、僕が取材に行った市川市の開票所の様子だよ。
まず、各投票所から集められた投票箱から中身を出して、候補者ごとに仕分ける作業が行われるんだ。
今回の開票作業では、投票用紙に書かれた名前を自動で読み取って仕分けをする『自動読み取り機』が使われたんだ。機械で判別できなかった票は、はじかれてしまうので、手作業で仕分けしていくことになるよ。仕分けられた票は、候補者ごとに計数機にかけられ、数百票単位でまとめられるよ。
今回の選挙は候補者が7人いたので、現場では、票の束に候補者ごとに違う色の色紙の表紙がつけられたよ。担当の職員が間違いないかどうか確認したあと、『集積台』という机の上に積み上げられていくんだ。
選挙管理委員会は、そうやって数えた票を『中間発表』していたんだね。
そうだね。一般的に、開票のスピードは作業に慣れている職員が集まっているかどうかでも変わるよ。票数を数える作業は候補者ごとに行うので、候補者ごとに票の流れるスピードは変わることが多いんだ。
今回は市川市だけでなく、浦安市でも、最終盤で英利さんの票が多く集計されたんだよ。
順位の逆転には、こういう理由があったんだね。
開票の様子は誰でも見学ができるので、もし興味を持った人がいたらぜひ、次の選挙の時に見に行ってみるといいかもしれないね。
衆議院千葉5区補欠選挙の結果の詳細は、こちらの記事をご覧ください。
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