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今回紹介するのは、kusagameさん(最高九段)。亀の甲羅のような守備力を持つ打ち手だ。基本的にかなりガードが硬く、放銃を嫌う。このスタイルでラス率をかなり低く抑え、安定段は九段近い。打数は1000戦ほどだが、長期ならトップクラスの成績だ。
守備型の強者というのは、「守りながら粘って攻めに転じる」「後手から攻め返す」というのが得意なパターンが多いが、kusagameさんはそうではない。守る時には早い順目から中抜きして、一切隙のない100%の守り方をする。徹底されている。
それでいて、攻める時の手順は大胆。鉄壁保のような守備力を持ちながら、爆牌も打てる、みたいな打ち手だ。
親リーを受けたところで満貫テンパイ。カン7mも38mシャンポンも枚数は同じだ。
ここは打8m。6mと8mの放銃率はほとんど差はないが、2mがポンされているためシャンポンに4mを引いての両面変化が嬉しくないことに加え、5mを引いた際にもう一度8mを切って、安全に両面テンパイを組めるのが大きい。
9pが2枚飛び。渋々形式テンパイに取る。一応三色になるかもしれないしね。ここから・・・
ハイテイ間際にこんな物騒な赤5sを引いてきたら、すかさず9p切りだ。
特に誰かが強い牌を切ってきているわけでも、アクションが入っているわけでもないが、この順目であれば誰か一人くらいはテンパイが入っているものだ。どうせ流れたら流れたで問題ない親番。テンパイ料欲しさに満貫を打ったらバカバカしすぎるので、ここはそっ閉じ(手牌を)する。結果論でもなんでもなく、テンパイ入っていた下家がこの1秒後にツモアガリしました。
オーラス3着目。赤がないこの手、上位をまくるにはドラを使いたいところだが、第一打にドラの発切りとした。
ラス目の親に鳴かれるのが最悪の展開。ここでドラを離しておけば、2着目、トップ目も合わせ打ちしたりツモ切りしやすくなる。自分が切らないでおくと、上位2人もドラを切りあぐね、巡目が立ってから打ち出される、親にポンされる―――という展開にもなりかねない。「さあみんな、さっさとドラ切ろうぜ!!」と号令をかけ、局面をコントロールするドラ切りだ。地味ながら、こういうのもkusagameさんの低いラス率に寄与してそう。
手牌はバラバラだが、ここでドラの3sを出来メンツポンして、打2s。バラバラであれば、少し形が崩れるくらいは厭わずに3900→8000の打点上昇を確定させる。
同じ「少し形を崩す」でも、例えばまあまあ染まりそうな手でホンイツにして打点を上げる、なんてのはやりやすいが、こういうポンははじめから想定していないとなかなか反応できない。これいいポンだなあ。
ここからが腕の見せ所だ。幸運にも中が重なったものの、未だ雀頭なし。と、いうわけで・・・
この9mを手牌に留めて、打2m。ほう?
そして構想通りの最終形で満貫だ!!第二打に8mを切っていることを逆手に取り、バイニンみたいな9m単騎でアガリきった。工夫が光る選択だ。
なお、2m切りではなく白や発を切る選択肢ももちろんある。だが既に2mが2枚飛んでいるため、2m引きはあまり期待できず、3mを引いての25mノベタンも5m単騎と大差ないってことで、後々の粘りやすさを見て字牌を残す選択を取ったのだろう。
ドラもなく、愚形だらけの手。「オリを徹底する」というのはこういうレベルの話だ。
対面の河に置いてある3mは後から切るし、脇からリーチがかかった時には東の守備力に頼ることになる。どうせ自分はアガれないので、メンツ破壊して中抜き。
無駄な放銃は絶対にしないという意思が見て取れるが、自分の手が見合っているならば押す。遅い巡目の親リーチが相手だが、通っている牌がかなり少ないため1sの危険度はそれほど高くなく、逆に現張りの効果はとても大きくなる。アガればリーチ棒が3本ついて、合計6200点のアガリだ。
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ここも第一打ドラ切り。現状トップ目のため、局消化しつつ供託を拾いたい。絵合わせ構想なので9pも必要牌だ。
トップ争いの南3局。これも安牌を抱えながらドラ切りとした。下家や上家に鳴かれる分には、別にポンでも良し+下家のアシストだろうか。実はその前の3p切り、白切りからすでにアシストっぽいことを始めている。局面をコントロールする。
形で言えば4m切りだが、三色のなりやすさで8m切り。8mが一枚飛んでいるため受け入れ枚数は2枚しか変わらず、打点期待値はそこそこ変わる。
ラス目からのリーチ。捌きにいきたいがいかんせん手牌が追いついていない。せめてもの抵抗の意味を込めて一発だけでも消す。
南3局、ラス目から、高目ハネマンのリーチだ。3着目とは16200点差だが、現状2着目の親と17100点差のため、高目をツモればまくれる。
がっ・・・ダメっ・・・安目っ・・・!!しかしオーラスへつなげる安目ツモ・・・!!!
と、思うじゃないですか。ツモ切りですってよ奥さん!!
仮に1300/2600をツモった場合、次局は満貫ツモ条件となる。手元のみーにん本によると、一局で満ツモ条件を満たせるのは、8.4%というかなりの低確率。上家、下家が全速力でアガりにくると考えると、まくれず終了の可能性はさらに高くなるだろう。言ってみれば、これをツモって裏なしだった場合は、90%以上ラスになるのだ。
それに対して、この7sをツモ切りした後4sをツモる確率は、あと6回ツモがあるものとしてなんと16%くらいある。この16%を引ければ、最終的なラス率は確実に50%を切り、2着になれる可能性もそこそこある(あとあと、もう一度7sを引いてきたら今度はツモるという選択肢もある)。となるとこの7s、ツモ切った方がいいんじゃないだろうか?次局のラッキーに期待するより、今局、目の前にあるラッキーに期待する。ツモ切りする発想なかったぞこれ。すげえわ。
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