脈絡のない料理 vol.7
2023年1月13日 〜2月8日
会場 neutral(京都市北区)
人生って脈絡のない出来事の
連続だと思うんです
それが何であるかは
実はそんなに重要なことではなくて
その繰り返しや重なりが必要だから
僕らは延々と脈絡のないことを
繰り返すのです
neutral 北嶋竜樹
01 ゆるるかなる
冬の冷たい空気を纏った君は
ゆっくりと肌を伝って
ぼくとひとつになる
外と内の境目がなくなって溶けていく
やがて熱を帯び身体中を駆け巡る
さっきまでとはまるで違う姿に
ぼくは小さく笑みを零した
青瓷碗:松葉勇輝
02 実存的孤独
ぼくにはゲーテのような
希望に溢れた思考ってやつはまるで向かない
孤独を求めて孤独を恐れるような
相反する感情に支配されては
他者には理解されない思考の海で
今日も独り絶望を味わうのさ
プレスガラス平皿:昭和前期
03 べかのかば
あのぅ、、ばかになれと言われましても
元々ばかだった場合どうなりましょうか?
白磁平皿:黒田泰蔵
04 社会勉強
自由という矛を手にし
多様性という盾を手にした
さぁ武器を捨てて
丸腰で戦おうじゃないか
七寸平皿:安藤由香
05 無意識の仕業、或いは失せ物のようなもの。
何食わぬ顔ですっと溶け込んでいる
いつだってそうだ
さりげなく大胆不敵に紛れ込む
砂漠の真ん中に突然北極の氷を置いたような
全くの違和感しかないのに
何の抵抗もなくすんなりと
わたしの肉体を通過する
ジョワジー・ル・ロワ デザートプレート:1880年代(フランス)
06 差異と反復
準備されたカタルシスのような
オーガズム的快楽ではなく
永遠性にも感じる即興の反復が
ぼくを柔らかく包み込む
つまるところ、そこには
同一性といったものは一切なく
むしろその原理の外側にこそ
多面的な広がりがあることに
気付かされるのです
瀬戸本業窯六寸鉢 :六代目 水野半次郎
07 冷めない関係
わたしたちってとってもいい関係だと思わない?
少しくらい冷めたって気にしないもの
だってそんなこと
なんの問題にもならないことくらいわかるでしょ?
わたしたちにはいつだって
温め直すチャンスがあるってこと
あなただって真似するといいわ
こうやってうしろからそっと抱きしめるだけよ
ね 簡単でしょ?
ピっ
高麗青磁 大鉢:14世紀頃
08 ふかふかのカフカ
カフカはいい
いつだってふかふかだから
古常滑山茶碗:鎌倉時代