塩麹と麹甘酒の違いは?「麹を使いこなすための知識」を発酵調味料開発者が解説(特徴とレシピ)vol.1
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発酵を切り口に食生活と心を彩る「発酵・フードデコレーターのRisa」です。
10年に渡り、発酵調味料の商品開発やレシピ開発に携わり、今や時間に追われ続ける兄弟ママの私が、調味料の特性を生かした「簡単・時短レシピ」をお届けしています。乳幼児食指導士や薬膳アドバイザーの資格も持つ私目線で食のあれこれをつづっていきます。
今回は、次回とあわせて「塩麹と麹甘酒の違い」と「それぞれの活用法」について、つづります。
本記事では「塩麹と甘酒の違い」にフォーカスをあてて、次回はそれぞれの活用法やレシピについてご紹介していきます。
ちょっと?マニアックな話も含めつつ、お話をしていこうと思います。よかったら最後までお付き合いください。
<塩麹と麹甘酒の大きな違い>
結論からお伝えします。
両者の違いを簡単にまとめると
塩味(えんみ)と甘味(あまみ)にあります。
本当は深い話…なので、当たり前と言わないでくださいね(笑)
具体的には、
塩麹は豊かな塩味と深みのある甘みが特徴の調味料に対し、
麹甘酒はより濃厚な甘みが特徴の調味料です。
さっそくこの違いを生み出す要因についてみていきましょう。
この違いが理解できているか?が、麹系の調味料を活用できるか、否かにつながります!
<塩麹と麹甘酒の材料と作り方>
味わいの違いを生み出す大きな要因は材料です。
そこでまずは、塩麹と麹甘酒の材料からご紹介します。
※ここでご紹介する麹甘酒とは、酒粕を用いない米麹のみでできたタイプのことです。
それぞれの材料は以下です。
● 塩麹→(ごはん+)米麹+塩+水
● 麹甘酒→ごはん+米麹+水
お塩が入っているか?ごはんを入れるか?が異なりますね。
※塩麹の中にはごはんを入れるものもありますが、基本的には米麹と塩、水が主原料です。
ついで、作り方の違いもみてみましょう。
〈塩麹の作り方〉
- すべての材料をよく混ぜ、58度前後で6時間ほどおく
(または、すべての材料を混ぜ常温におき、1日一回ほど混ぜる)
〈麹甘酒の作り方〉
- すべての材料をよく混ぜ、58度前後で6時間ほどおく
作り方は共通していますね!
(上記の通り、塩麹は常温で作るケースもあります。)
なぜ、温度は58度だと思いますか?
それは米麹の働きに起因しています。
※米麹の働きポイントが山場です。ラストスパート!ついてきてくださいね(笑)
<コウジカビの働き>
前述のとおり、塩麹、麹甘酒に使われている米麹の働きに関係があります。
そもそも米麹とは、お米にコウジカビという生き物が繁殖したものです。
このコウジカビは、自身が付着したお米のデンプンを酵素により分解し、さまざまな種類の細かい糖を作り出します。これを糖化といいます。
糖化を行う酵素は58度前後で活発になると言われており、塩麹や麹甘酒を作る際にはこの温度帯に置くことで甘味に関与するさまざまな形の糖を作り出し、奥行きのある甘みを最大に引き出しています。
さてここで、原料の違いを振り返ってください。
● 塩麹 → 米麹+塩+水
● 麹甘酒 → ごはん+米麹+水
はい!麹甘酒は、甘みの源である“ごはん(でんぷん)”が加えてあり、出来上がりがより豊かな甘さに仕上がるというわけです!
(メーカー品によっては塩麹でも甘みのある仕上がりを目指して、ごはん(お米)を入れているケースもあります。)
一方で塩麹は、甘酒ほど甘みに関わる材料が入っていない、そして食塩が含まれているため、
「穏やかながらも複雑味のある米麹由来の甘味」と58度でおくことで「まろやかになった塩味」が融合した調味料です。
<それぞれの特徴まとめ>
最後にまとめです!
・塩麹は、米麹と食塩水からできており、味わい深い麹由来の甘みとマイルドな塩味が交わった調味料。
・甘酒は、米麹とお米と水からできており、豊かでかつリッチな甘みが特徴の調味料。
ということで、次回は、それぞれの特徴を生かす使い方をレシピを例にとってご紹介していきます。
冒頭のパンに使っている調味料の答えも次回!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
発酵・フードデコレーター Risa