3日目の早朝3時ごろ、瀬戸内海の難所、来島海峡を通峡しました。台風の接近と時間帯のこともあり、比較的航行している船舶の数は少ない中での通峡となりました。来島海峡を抜け、針路を北東方向へ向けたところ、風と波を真正面から受けるようになり、船体は大きく動揺し始めました。そんなころ、ちょうど学生の皆さんの起床時間となりました。前日まで大きく揺れることのない実習が続いていましたが、おそらく人生で初めてとなる動揺の中での生活。船酔いをしている学生も見られました。これもまた自然を相手に実習をしている船ならではかもしれません。そうこうしていると、備讃瀬戸南航路に到達し、瀬戸内海の島々のおかげで動揺が収まってきました。この備讃瀬戸を何度も往復し、台風をやり過ごすこととしました。
3日目~4日目の実習は、実際の航海士の勤務と同じように、各班が4時間ずつ、24時間体制で当直に入る実習を行いました。4時間という時間の当直、夜の航海を実際に体験し、船舶運航のより実際に近いものを体験しました。台風の動揺と、一晩の夜航海を経験し、4日目の夕刻、大阪湾に仮泊しました。 最終日は大阪湾での航海当直を経て、深江に入港、大掃除をして下船しました。2年生にとっては初めてづくしの実習となったかと思います。今回は、見て学ぶ、というものが多かったかもしれませんが、次の実習ではどんどん主体的に実習が行えるよう、引き続き後期の授業にも取り組んでいきます。
2年生航海学領域の学生を対象に、船舶運航概論の授業が行われました。この授業では、海神丸において4泊5日の航海実習を行います。1日目に深江を出発し、瀬戸内海の六島沖に仮泊。2日目は抜錨後三原瀬戸を経由し呉の沖に仮泊。3日目に呉に入港。4日目に呉を出港し、夜航海を経て、5日目に深江に帰港するという予定でした。2年生にとっては初めてとなる、泊を伴う航海実習となります。しかし、1組の実習では台風が接近し、瀬戸内海付近を通過する予報となっていました。そのため、出港時点で呉入港は断念。台風の影響が少ないところに避泊する予定に変更となりました。
1日目、学生は乗船後乗船式を行い、船長訓示、乗組員紹介の後、操練を行いました。操練とは、陸上の避難訓練のようなもので、緊急時に自身がとるべき行動、緊急時集合場所の確認、警報の確認を行いました。その後深江を出港、これまでの実習を思い出しながら、出港作業を行いました。出港後は3つの班に分かれて実習を行いました。1つは心肺蘇生法の実習。人形を用い、胸骨圧迫、AEDの使用法を実習しました。1つは消防設備取り扱い実習。海神丸に搭載されている消防設備を確認したのち、射水訓練を行いました。そしてもう1つは、翌日からの航海当直に備え、航海当直の要領を学びました。そして夕刻、備讃瀬戸北航路より西側、百貫島近くに仮泊しました。
2日目、この日はさらに西側を目指します。抜錨後、三原瀬戸を通り、広島南方海域を目指します。実習は、航海当直班、機関当直班、課題班に分かれて実施しました。航海当直では、各班2時間交代で、教員とともに見張りや操船を行うほか、操舵や気象観測を学びました。機関当直では、航海学領域の学生ですが、機関の知識も必要となるため、航海学に必要な機関に関する実習を、機関長に実施いただきました。台風が接近し少しずつ風が強くなってきました。この日は広島南方海域で仮泊予定でしたが、風が強く、仮泊は断念。台風の風を凌げる備讃瀬戸にてやり過ごすこととしました。その2へつづく。
この日、海神丸では授業「海への誘い」が行われました。この「海への誘い」は、海洋政策科学部の学生だけではなく、文学部や工学部、医学部など、神戸大学の全学部の学生が受講可能な、全学共通授業です。9月6日~7日には、海運や船、船舶運航などに関する座学が行われました。そして、その知識をもとに9月8日、海神丸にて実際の船舶運航の様子を見学しました。深江を出港後、神戸港を西に進み、新港中突堤に入港しました。学生たちはここで下船し、海洋博物館の見学を行いました。海神丸はこの日新港地区に初入港しました。入港時の写真は、神戸観光局よりご提供いただきました。翌9月9日には、大型ヨットのクライナーベルクと、実習船白鷗での乗船実習を行います。
海神丸では、夏季と春季の年2回、研究を目的とした航海を行っています。今年の夏季研究航海は、2泊3日の日程で実施されました。航行海域は大阪湾で、海神丸に搭載されている観測機器の作動確認や、大阪湾断層を対象とした海底地形・海底下地層構造の調査など、3つのテーマに関する研究が行われました。