毎月引き出される預金こそ失踪した息子が生きている証だと信じ、行方を探し続ける家族がいる。
現在26歳になる石垣浩史さんは、2017年8月13日、「お盆休みが取れたから帰省する」と静岡の両親にLINEで連絡を入れたあと、1人暮らしをしていた埼玉県越谷市の自宅アパートから失踪した。17日になり、無断欠勤しているとの連絡を受けた父・安敏さんが様子を見にアパートに向かったが、そこに浩史さんの姿はなかった。その足で警察に捜索願を出したが、警察は事件性がないと判断。積極的な捜査には至らなかった。
「男やもめなので散らかった状態ではあったが、鍵は窓も含めて閉まっていた。素人から見ても、事件性があるようには見えなかったし、同行してくれた警察の方の判断も同じだった。ただ、もう少し重大に受け取って欲しい、そう思うような対応ではあった」(安敏さん)。
1993年3月1日生まれ、身長171cmのやせ型。血液型はB型で、英語が堪能だという浩史さんは、山梨県の大学を卒業後、2016年4月、越谷市の機械メーカーに営業職として就職した。失踪当時はまだ研修期間中で、仲が良かった同僚は「真面目な性格で、ギャンブルや酒もやらず、大きな借金もなかった。人付き合いは良かったが、彼女がいたという話は聞いたことがない。仕事や私生活での悩みも聞いたことがないし、失踪する理由が分からない」と話す。安敏さんも「"お盆休みに帰る"と、高校時代の友達にも連絡をしていた」と証言する。
2017年11月、SNSなどでも情報を発信していた両親の元に、横浜のコンビニエンスストアから「似たような人が来ていたようなので、防犯カメラを確認してみますか?」との連絡が入った。浩史さんは横浜ベイスターズの大ファンだったということから、横浜に現れた可能性もゼロではない。その後、越谷の警察署を相談に訪れた際に取材に来ていたカメラマンが幹部に掛け合った結果、映像を見ることができたのだという。安敏さんは「間違いなく息子だった。こざっぱりとした、上下白の恰好をしていた。新興宗教の服装のような印象を受けた。他にも町田の駅前にいたとか、横浜の馬車道にいたというような情報があった」と話す。番組が周辺で聞き込みを行ったところ、今年4月、横浜スタジアム内のショップでベイスターズの白地に青のストライプの入ったユニフォームを着た浩史さんらしき人を見たとのショップ店員の証言も得られた。
「警察でも上の方が言ってくれると動くというところはある。だからもう少し一生懸命やってくれれば、何とかなるというところも多いのではと思っている。やはり、警察関係も年度、年度で担当者が変わる。そうすると引き継ぎがうまくいっていなくて、また最初から次の担当者に説明しなければいけなくて、進まない状態でもどかしい」(安敏さん)。
手掛かりは他にもある。それが浩史さんの残していった預金通帳だ。キャッシュカードを所持している可能性があることから、本人が預金を引き出すことを考え、入金を続けたところ、概ね1週間以内に引き出されることがわかり、銀行に情報提供を求めた。しかし個人情報保護の観点から、親であってもATMの映像を見ることは許されなかった。父親は今も安否確認の意味も込め、月に2回、1000~3000円程度の振り込みを続けてきた「引き出されていることが確認できれば、やっぱり何とか生きてるんじゃないかと、ほっとするところもある」。
浩史さんの母親は「亡くなっていたらしょうがないし…。考えたくないけど、そうするしかないというのもあるし…」と苦しい胸の内を明かす。安敏さんも「なんせ悶々とした時間ばかり過ぎて、本当に胸が苦しくなるよ。毎日毎日。なんでこれだけ平凡な何もない子どもが行方不明になるのか…」と話しつつも、「銀行への振込がただ一つのつながりだと思っている。早く連絡だけでもくれれば。その一報を待っている」と話していた。
埼玉県警越谷警察署の連絡先は「048-964-0110」。AbemaTV『AbemaPrime』公式アカウントでも情報を受け付けている。「#アベプラ」を付け、投稿してほしい。