もう代わりなんかいない
このような「2024年問題」を前に人手不足が顕在化しようとしている物流業界同様、これまでにない人手不足で厳しい状態にあるのが飲食業界だ。
「一度辞めるとスタッフの補充が効かない。コロナ禍でやむを得ずシフトを減らした元スタッフも別の仕事についている」
都下の居酒屋チェーン社員はこれまでにない人手不足に悩む。
「以前の人手不足と違い、選別した上での人手不足でなく求人をかけてもアルバイトの応募者が来ない。外食が敬遠されているように感じる」
元々飲食業界は物流業界同様、慢性的な人手不足にあったが従来のパート主婦や学生アルバイト、そして外国人労働者で回している状態にあった。非正社員の人手不足を感じる企業は8割と業界別で旅館・ホテルと並んで飲食業界が突出した高水準にある(2023年1月、帝国データバンク)。
「もう代わりなんかいない。業務も賃金もまったく見合っていないのが実情で、働いてくれる人が少ない状態にある。とくに若者はアルバイトでも外食を敬遠する。インターネットの影響も大きい。割に合わないと見られている」
かつては小売業界同様に若者、とくに学生のアルバイトとして定番だった外食産業だが近年は敬遠されることも多い。ましてや少子化で若手アルバイトは奪い合いにある。コロナ禍にシフトを減らしてしまったことも原因だが、店によっては「働きたい」「制服を着たい」と人気の店もあるので全部がそうではないにせよ、ネットを中心とした外食産業の口コミなどの評判も影響したのではとのこと。
「外国人スタッフもコロナ禍に同様のシフト削減や一時休業で戻ってこない人がいる。本部はシニア層の採用に力を入れているが、人手不足を解消するほどではない」
大手ハンバーガーチェーンやコーヒーチェーンなども積極的にシニア、定年後の高齢者の採用に積極的なのはやはり「人手不足」にある。
「ただしシニアで長時間入れる人は少ない。業界の問題だが居酒屋はとにかく激務で、辞めてしまうシニアも多い。時給を上げればいいという問題でもない」