気にならない人にはつまらない話だが、この時季は空調の止まった電車に乗るのが憂鬱である。油断がならない。あちこちで窓が開いているからだ。外気温が下がってきても混雑時などに車内が蒸し暑いと感じる人は少なくない。筆者は隙間風のような通風に弱い。
もちろん窓の開閉は乗客の自由。体感には個人差もある。開けたければ開ければよい。風の入る旅の車窓のうれしさも分かっているつもりだ。だが都会の通勤電車で風邪を引きたくはない。節電の夏場はともかく、この季節の車内換気の程度は微妙だろう。

だいたい電車の窓というものは一度開けられたら最後、肌寒くなっても、雨でも降り込まぬ限り、そのままである。開けても閉めない「無神経さ」のようなものがたまらない。そこで筆者がせっせと閉めて回るはめになる。そのためにトラブルになりかかったこともある。
窓の面倒には関与しない。余計な手出しは無用―。乗客はそろってそんな処世を旨としているのだろうか。試しにネット相談をのぞくと、開けたい人も閉めたい人もいながら、周りを慮って逡巡してしまう人が相当いると知った。
かつて大型の固定窓を備えた209系電車が登場したときは驚いたものだ。「開閉に及ばず」との設計思想が痛快だったが、それも改められた。筆者は横浜線205系との長い付き合い。悩みも尽きない。
(F)