機関車の構造及理論:上巻(その329)台車心向棒長さの求め方
6.台車心向棒長さの求め方
1軸台車では、どこを回転の中心とするかが、機関車の先導に最も関係の深い事である。心向棒があまり長いと、曲線では台車車輪はいつも外側レールに接触し、反対に短い時は内側レールに接触するから、特殊な事情のある場合のほかは、できるだけ理論上のものと一致させたいのである。
以下、心向棒の長さを求める方法について述べてみよう。
第359図においてABを固定軸距、またC点を心向棒の支点とし、xすなわちCDを心向棒の長さと仮定すれば、台車がABDなる曲線に沿って進行するに最も良好なる方向はCDが曲線に切線の方向にある場合であるから、Cより曲線に切線CDを引くときは、CDはすなわち求める心向棒の長さまたは心向軸箱の半径に相当し、平面幾何学の理によって次の式が成立するのである。
AC=固定軸距+BC
BC=第1動軸より心向棒支点までの距離
CD=心向棒の長さ
従ってABおよびBCの長さが一定すれば、AおよびBを通過するいかなる半径を有する曲線も、C点から引く円への切線の長さは等しいわけである。換言すれば、CDの長さに等しい心向棒を有する台車は、いかなる曲線においても車輪の方向は曲線に対し切線の位置を保持して、安全に通過し得るわけである。
しかして(111)式は、未知の点Cを既知としての算式法であるから、これを既知の数のみより計算し得るよう書き改めると、次の様になる。今、
a=固定軸距の中心より先輪軸中心までの距離
b=固定軸距の中心より第1動輪軸中心までの距離
x=心向棒の長さ(心向棒支点から先輪軸までの距離)
とすれば
(111)式は次の様になる。
すなわち、上式によって心向棒の長さが決定されるのである。
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