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しょうなんでんしゃ のブログ
 1/80くらいの鉄道模型の工作
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タンニン酸と鉄の反応
初めに、これは“鉄”の黒染めに限った方法であることをお断りしておく。
そのため真鍮や洋白などの“銅合金”には使えない。

「じゃあ、ステンレスは?」
・・・“ステイン(stain)”が“レス(-less)”なのだ。業者に任せた方が無難である

金属の鉄(0価)は酸化されると鉄イオンになる。鉄イオンには二価(Fe2+)と三価(Fe3+)が存在する。三価の鉄イオン(Fe3+)はフェノール類と反応して青~紫色に呈色する、これはフェノール性水酸基の検出反応として知られている。

ベンゼン環に水酸基が複数あるポリフェノール類の中でも、タンニン酸(※)と三価の鉄が結合すると水に不溶性の黒色錯体を生じる。これがタンニンを用いた鉄の黒染めの原理である。
(※タンニン酸はタンニンが加水分解されて生じたもの)

黒インク(ブルー・ブラックインク)、江戸時代までの鉄漿(おはぐろ)、南部鉄瓶の防錆にも利用されており、近年では防錆と装飾を兼ねてナイフの黒染めをする人もいる。ちなみに黒インクは西洋の文化であり、東洋は煤と膠から作られた墨すなわちカーボンブラックである。

さて、鉄の黒染めに使われるタンニン酸の元になるタンニンを得るにはいくつかの方法がある。
古くは五倍子という虫コブから得る方法が鉄漿(おはぐろ)やブルー・ブラックインクに使われていた。南部鉄瓶の場合は緑茶が使われるとのこと。ナイフの黒染めでは紅茶がトレンドらしいが、食酢を入れるので臭いが強烈だそうな。
ちなみに嗜好飲料中のタンニン、カフェインの含有量(PDFファイル)によると、緑茶と紅茶でさほど差は無い。

また、タンニン酸を主成分とした錆転換剤も売られているが、結構な御値段だ。その他、柿渋でも鉄の黒染めが出来る


さてさて、
黒染めの方法はいたって簡単。

鉄の表面をよく磨いておく。(再掲)
鉄黒染 (1)

そして煮る。
鉄黒染 (3)

時々空気にさらしながら10分も煮ればこうなる。
鉄黒染 (4)

キッチンペーパーで軽く磨いたところ。
鉄黒染 (5)

ゴシゴシ洗ってみた、何だかまだまだのようだ。
鉄黒染 (6)

煮汁を捨てたら真っ黒!黒インクが生じたのと同じだ。
鉄黒染 (10)

磨いては煮るを繰り返すらしいが・・・面倒だ(←でた!)

偶然(?)にも試薬のタンニン酸があった、エッチングの時に遊んだ残りだ。
鉄黒染 (7)

比較のために先の黒染め膜をスチールウールで剥がした。

水で練って擦り付けただけで変色してきた、スゲー。
鉄黒染 (8)

同様に10分間煮てみた。
鉄黒染 (13)

装飾品ではないのでこれでヨシとした。
良く洗ってから防錆油を塗って切断機に取り付けた。

<おわり>
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鉄の黒染め
切断機の輪っかを叩いたり削ったり磨いたりしたのでピカピカになってしまった。
これではすぐに赤錆が生じてしまうので黒染めしてみた。

鉄の黒染めは「ブルーイング」とも呼ばれ、黒光りした銃身がそれである。防錆効果と装飾も兼ねた表面処理の一つらしい。
さすが銃社会、とはあまり大きな声で言いたくないが、米国バーチウッド社から各種黒染め液が発売されている。わが国でもモデルガンショップなどで入手でき、モデルガンのみならずゴルフのアイアンヘッドからコレクションナイフまで幅広く使われている。

ただ結構なお値段だ。それに「Toxicがどうのこうの・・・」と書かれている、成分表示が無いのは化学屋にとって気持ち良いものではない。筆者もバーチウッドのBrass用黒染め液を持っているが、正直いさみやの常温黒染め液の方が使いやすい。

そこで鉄の黒染め剤として選んだのが「百均の粉末緑茶」だ。これ以上安全なものは無い。

鉄黒染 (1)

「お茶で黒染めだなんて、バカも休み休み言え!」
という人と、
「なるほどネ!」
という人がいると思う。

(つづく)
切断機のお手入れ
我が家の切断機(シャーリング、shearing)は父親が買ったもの。40年くらいは経つのだろう。
錆びだらけだが、まだまだ切れる。

同時期に製造されたと思われるdda40x氏の切断機のハンドルが折れた事を知り、ウチのはどうかと不安になった。ハンドルのボールの色(ウチのは青色)が違うだけでインチのボルトだ。モハメイドペーパー氏の物が同じ青色のボールなのでウチの(正確には父親の)と同一だろう、40年前にピノチオで買ったとブログに述べられている。

筆者が持ってきてからはネジ込み式のハンドルと2本の足以外、分解したことが無い。これを機に分解してみた。


正確な寸法(インチサイズ?)は不明だがハンドルと回転軸の直径は約12mm。※訂正:約15.9mm=5/8インチだった。
ハンドルがネジ込まれている輪っかが、どうにも主軸から抜けない。多少は動くので錆のためではなさそうだ。よく見ると回転軸の凹みの周囲が変形していた。ハンドル先端がズレたまま長年使っていたらしい。ギヤプーラーを持ていないので、よろしくないとは知っていながらコンコンコンコン少しずつ叩きだしたり、変形した凹部をネジ穴からキサゲで削ったりしてみた。1時間かかって何とか輪っかを外せた。


2個のカムは止めネジを回しただけで回転軸からスルスルと抜けてしまった。

5-56やら6-66やらを総動員してサビ取りを行い、刃の部分は上下面のみを磨いてからアーカンソーで研いだ。切断や動作に関係のない部分はそれほどサビ取りしていない。
shearing02.jpg

そして今回の目玉であるdda40x氏の切断機のステージを組み付けてみた。
あまりにも古い型式だったので諦めていたが「使えますよ」と教えて頂いたので頒布してもらった。
shearing03.jpg

ステージが僅かに高かったので本体下部に1.5mmほどスペーサーを挟んだところ、ステージと下刃天面が面一となった。

とても使いやすくなった。

しめて18kg。

shearing04.jpg
手の洗浄剤
防錆・潤滑剤を製造しているのであれば、当然それが付着した時の洗浄剤も必要だ。
化成品メーカーが油脂だけを開発して、洗剤は他社製品を購入するなど滑稽な話である。

先のKUREから「NEWシトラスクリーン」というハンドクリーナー(写真右)もラインナップされている。
これも“商売”である。
手の洗浄剤

白いトロトロの液体を手に付けて擦り合わせるとザラザラした感触がある。
“グリース、タール、オイル、カーボン、油性インク、油性ペンキなどの油汚れの洗浄”と謳っているが・・・ハテ?、どこかで聞いた文句だ。


そう、マッハ模型の「マッハキングフレッシュ」。中身はクラレの「キングフレッシュ」(写真左)そのままである。クラレは2L(約1.7kg)=4,000円。それほど使わないなら模型店でマッハのを買うが、それでも100g=1,400円とかなり割高である。業務用を買って仲間内で分ければ安く済むが、残念ながら使っている人はあまりいないようだ。

キングフレッシュは豆腐作りの“おから“のようにボソボソしている。手に擦り込んで揉み洗いするが、水は付けない。
シトラスクリーンは液体なのでそのまま手に擦り込めば良い。ポンプ式もある、1.9L=2,580円也

どちらも柑橘系の香りがする。

テルペン大好き!
防錆と潤滑
「CRCをシュッとひと吹き」
よく耳にするセリフだ。

良くも悪しくも“CRC”と言えば「KURE 5-56」を指すのが普通だと思う。

サビが落ちる。
ついでにグリスも落ちる。
だからまた錆びる。

手持ちの5-56が古くなったので、船舶用の6-66を買ってみた。何が違うのやら。




ブログのタイトルも「しょうなんでんしゃ」と言うくらいなので海に近い、と言っても海岸線から1kmくらいは離れている。
それでも南風の日は海のニオイが漂い何ともダウナーな気分にしてくれる。“磯の香り”などという上品なものではない。

ニオイとともに塩分も飛んでくる。そのため湘南では自転車も錆びやすいと言われている。みんな錆びたチェーンをギシギシ鳴らしながら走っている。輪業をやるなら湘南に限る。

数年前、軟膏基剤の期限が切れたのでチェーンに塗った。ほとんど雨ざらしだが、おかげでほぼ無音で走るようになった。簡単な潤滑剤である。
プラスチベース

基剤の主成分は流動パラフィン(通称:流パラ)、昔ながらのベビーオイルから近年流行りのハーバリウム(Herbarium)もこれ。ヌジョールほど高級な物ではない。ロウソクもパラフィンだが流パラは「常温で液体」のもの。

流パラだけではタラタラ垂れてしまうので、“つなぎ”として分子量21000程度のポリエチレンを加えて半固体の軟膏としている。


CRCを吹いただけでは、その時は良いかもしれないがいずれ錆びてくるので何らかの保護が必要だ。

何事も過信は禁物。
ある意味、防錆スプレーも“商売”なのだ。
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