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しょうなんでんしゃ のブログ
 1/80くらいの鉄道模型の工作
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スパイク製2条ウォーム(4)
森井氏から頂いたコメントの追補。

氏のGBはその形状からGB-1302(車軸径3φ、C62用)かと思われる。スパイクモデルの価格表(H25年、PDFファイル)を見ても単品売りのGBはGB-1302(車軸径3φ)しかない。値段も9600用動輪セットはC62用動輪セットの2倍もするので別物の可能性が高い。

筆者の9600用GBは、動輪押えもダイカスト製で半円状の欠き取りがある。
動輪押えとGBでベアリングが支えられており、車軸はGBに触れていない。
スパイクギヤ14

動輪軸は1.5mmだった。
軸箱とベアリングでノギスが入らないため、スケールで挟んで測ってみた。
スパイクギヤ12


非動軸も1.5mm。
輪芯に見える軸端は一般的な動輪より細い。分解していないので、ジャーナル部分が1.5mmのストレートなのか段付きなのかは不明。
スパイクギヤ13


組み立てた状態。
動輪押えの底が無く、ギヤが露出している。
スパイクギヤ10

ギヤ下のクリアランスは非常に少ない。
動輪径=1250mm(1/80で15.5mm)の9600にとって、ダイカスト製の密閉式カバーは苦しいと言えよう。
スパイクギヤ11

BoB氏はギヤカバーを作ったりワッシャーを噛ませたり手を加えられたそうだ。(おそらく森井氏と同じ車軸径3φのGB-1302かと思われる)
それでもギヤにはアタリ・ハズレがあるらしい。


※筆者が言いたかった「それでも逆駆動できている」という事実をお見せするため、逆駆動の状況をYoutubeにアップしてみた。予想以上にスムーズな逆駆動だと思うが、如何だろうか?

GBの幅も狭いので13mmや12mmにも使いやすい。
これで、ギヤ比が互いに素だったら、ベアリングが正しく使われていたなら、密閉式ギヤカバーだったら・・・。


「3条ウォーム」と「スパイク製2条ウォーム」で“逆駆動できるGB”を連載した。特にHOサイズでの反響が大きかったのは、やはり潜在的な需要があるのだろうと勝手に納得した。

<おしまい>
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スパイク製2条ウォーム(3)
⑤ アイドラーギヤの軸に、ワッシャーが付いていた。
(画像は再掲)
スパイクギヤ01

ベアリングの外輪にアイドラーギヤが触れないためかと思いきや、これが微妙な寸法でベアリングの内輪・外輪ともに触れてしまう。アイドラーの軸を支えるベアリングはフランジ付きでGBに嵌っている。アイドラーが(ワッシャーを介すにせよ)外輪に触れるということは、GBに触れているのと同じことだ。

ゆえにワッシャーのサイズは、内径がアイドラー軸と同じで、外径がアウターレースの内径よりも小さいものが良い。



次に動輪まわりを見てみた。
スパイクギヤ06

ここでは全てにおいてベアリングの内輪・外輪が同時に接触していた。


ウォームホイールに外輪が触れている。
スパイクギヤ07

GBに内輪が擦っている。
スパイクギヤ08

3条ウォームには僅かな“逃げ”が彫られていたが、この場合は内輪が当たった痕としか見えない。


同様に、輪芯の内側にも軸箱内ベアリングの外輪が擦っている。
スパイクギヤ09


これでは折角のベアリングも本来の性能が発揮できない。

それでも逆駆動できているのだから、こんな些細な事はHOサイズの鉄道模型なら大した影響は無い」と言われる方もいらっしゃるかも知れない。しかし商品としてベアリングを使うのであれば、正しい使い方をするのは当然であると思う。

「講義ノート:もの作りのための機械設計工学」というサイトの下の方、「5.4.4 軸受を使用する際の要点」の「図5.35 回転体との接触」が解りやすい。
内輪と外輪が同時に接触してはダメなのだ。

ダメなものは、ダメなのだ。
スパイク製2条ウォーム
2019/8/28の 3条ウォームギヤ(3) にて、森井様から「スパイクモデルの2条ウォームギヤが逆駆動できる」とコメントを頂いている。

このギヤ(スパイク製13mmの9600用)は筆者の手元にもある。13mm用なので幅が狭くて使いやすそうだ。このキットは上回りがほぼ珊瑚の旧9600だったので「スタイル的には新9600の方がイイナァ」などと手付かずのまま呑気なことを言っているうちに、肝心の珊瑚模型が閉店してしまい、トホホである。

森井氏のコメントにもあるように、ウォームは細身の2条、樹脂製のアイドラを介して動輪軸のホイールに伝達される。Oゲージ用3条ウォームギヤを触れていたので果たしてどうかな?と思っていたが・・・、いざ“動輪を”回してみると割とスムーズに逆駆動できたのは意外だった。
と同時に“勿体ない!”と感じた。  せっかく逆駆動できるのに!

dda40x氏のブログでも度々話題に挙がっている。
2006年11月17日 はベアリングについて、2017年12月19日は歯数比について、良くない点を指摘されている。

筆者も詳しく見てみたところ、それらの問題点が理解できた。
スパイクギヤ01

①ギヤボックス(以下、GB)にウォーム軸のベアリングが内輪・外輪とも接触している。
②ウォームと前後のベアリングを含めて、GBとの間にワッシャー1枚分程度の隙間がある。
③スラストベアリングにラジアルベアリングの内輪・外輪とも接触している。
④ウォームの歯の末端でスラストのすべてを支えている(スラストベアリングに当たる段差部分が無い)。
⑤アイドラの軸にある謎のワシャーがベアリングの内輪・外輪ともに接触している。
⑥GBに動輪軸のベアリングが内輪・外輪とも接触している。

また動輪軸のベアリングがウォームホイールに接触していたり、軸箱内のベアリングが輪芯の内側に接触している。

その他、ギヤ比が2:30:30(ウォーム:アイドラ:ホイール)で割り切れてしまうことや、ギヤカバーの下方が密閉されていないこともある。(動輪径が小さい9600ではギリギリで難しいのかも・・・)

※細かいことはさておいて、今回筆者が重要視していることは「それでも逆駆動できているという事実」である。

(つづく)
3条ウォームギヤ(3)
3条ウォームの開発談には色々な必須条件が公開されている。
http://dda40x.blog.jp/archives/50371584.html

コアレスモーターを使うのはもちろんのこと、ウォームの形状や進み角、ウォームとホイールの材質、ギヤ比の選定、ベアリングの使い方、二硫化モリブデングリースを使うこと、などなど。

実際にサンプルを拝見して自分なりに一番勉強になった点は「ベアリングの使い方」であった。

「Free rolling drive」(2006年11月17日)または「Free to Roll Mechanism」(2016年02月25日)と名づけられた3条ウォームギヤシステムは、入力軸(モーター軸)からウォーム、ウォームホイール、出力軸(車軸)に至るまで、触れているのはベアリングのインナーレース(内輪)だけである。そして内輪はギヤボックスのどこにも接触していない。つまり入力軸に与えられたエネルギーは、損失なくウォームの伝達に使われるのだ。

HOサイズのギヤボックスでは入力軸が球状メタルで保持され、ワッシャーを介してウォームがある。おまけに前後にガタがあるので前進時と後進時の走り具合に差が出ることもある。さらにウォームホイールに付けられた車軸はダイカスト製のギヤボックスで直接支えられている物が多い。

ボールベアリングを使えばエネルギー損失が極めて少なく動かせる訳だが、使い方を誤ると何の意味もなくなる。このサンプルでは、ウォームもホイールも内輪以外に触れないよう、その端には段がつけられており、ギヤボックス側も内輪に触れないよう、その部分が僅かに彫り込まれている。
08-3条ウォーム (4)

ウォームは構造上スラスト方向(軸方向)に力が掛かる。氏のブログでも以前アップされていた3条ウォームにはスラスト・ベアリングが付けられていた。(2006年11月14日)

今回の物にはそれが無い。

「精度高く作れば、要らない・・・押されたときに拡がらないように、外側を支える部分を正確に作ってあれば良い」と述べられている。(2017年12月21日)

確かに入力側のベアリングはギヤボックスに直接組み付けられていない。その代りカップ状のハウジングにガタが無く収まっている。もちろん内輪はハウジングに接触していない。その隙間には油が満たされている。油膜で保持されているのだ。HOサイズに多い左右分割式の鋳造ギヤボックスは、軸受けを直に保持出来るほど精度が高くない。球状メタルですらキチンと嵌らず回転が渋いこともある。
08-3条ウォーム (3)

スムーズな逆駆動(=高効率)はここまでしないと得られない。
言い換えれば、これらを遵守すれば自ずと逆駆動(=高効率)となる。

残念なことに自分でウォームとウォームホイール、ギヤボックスを設計して「Free rolling drive」を得るには、時間も資金もアタマも足りない。

それ以前に、HOサイズでそれを実現したところで、キーキー鳴るような客貨車を牽いていたのでは何の意味もない。Low-d車輪に匹敵する低抵抗車輪が必要となる。筆者はピボット車輪の転がり改善にも関心がある。そこは市販の車輪を再整備すれば何とかなるであろう…という考えに、今は甘んじている。

3条ウォームの牽引機とLow-D車輪のトレーラーが揃った時こそ、その真価を最大限に発揮すると言えよう。C62単機牽引のつばめフル編成やEF58の20系フル編成、長大な石炭列車も夢ではない。

もちろん輪軸のイコライジングや連結器の柔軟な首振り、客貨車重量の均一化、線路の整備なども忘れてはならない。


これ以上、自分の人生の課題を増やしていては、結局どれも中途半端になりかねない。

3条ウォームをなめ回すように観察して、そのままそっとお返しした。

色々と刺激的な夏休みであった。

(おわり)
3条ウォームギヤ(2)
「伝達効率が良いと逆駆動できる。逆駆動できると伝達効率が良い。」

やや理解しづらかったが実物を手に取ってみて納得した。

08-3条ウォーム (2)
左のアダチ製ギヤボックス(HOサイズ)に比べて一回り大きい。

ウォームギヤは、回転するウォームの山がホイールの山を“横に滑りながら”押すことで動力を伝達する。

これをイメージ出来るアニメーションがあった。
https://www.youtube.com/watch?v=poTZDDYT_C4

“滑る”というからには、そこに摩擦が生じる。

極端な例だが、このようなアニメーションを見つけた。
https://www.youtube.com/watch?v=DNCOcXpccCk
ウォームホイールの歯をローラーに変えて摩擦を減らした“逆駆動”とも言える。しかし、これでは角速度が一定ではないだろうから、凄まじい振動が出るだろう。

1)摩擦が無くなれば理屈では逆駆動が可能だ。言い換えれば逆駆動するためには摩擦を減らすことが必須である。
2)摩擦を減らせば当然、伝達効率は良くなる。
3)よって「逆駆動できるウォームギヤは、自ずと伝達効率が良い」という事が理解できよう。

(つづく)
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