「家族の同意なく強制入院」滝山病院元患者が告訴 埼玉県警が捜査へ

比嘉展玖
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 東京都八王子市精神科滝山病院」に家族の同意を得ないまま強制入院させられたとして、埼玉県所沢市に住んでいた50代の元男性患者が、同市の職員らと同病院の元院長らを監禁の疑いで告訴し、埼玉県警は受理した。県警は慎重に捜査を進めるとみられる。

 告訴は3月1日付で、受理は4月18日付。告訴状では、所沢市の職員2人と同病院の担当者は2018年11月、統合失調症を発症していた男性について、必要な家族の同意を得ずに同病院に医療保護入院させ、監禁したと主張している。

 強制入院の一種の医療保護入院は法律上、家族の同意が必要だが、連絡がつかないなどの場合は首長の同意で入院させることができる。告訴状によると、男性には市内に住む姉がおり、連絡が取れる状態だったという。同市が作った資料には姉について「音信不通」と記されており、男性は虚偽の文書を作成した疑いでも市職員らを告発した。

 患者側代理人の相原啓介弁護士は19日に記者会見し、「誤った強制入院制度の運用は全国各地で行われているのではないか。今回だけが特殊な事例とは思えない」と話した。

 所沢市は取材に、「警察から市に対してそのような連絡はまだ来ておらず、詳細を把握していないが、警察の捜査には全面的に協力をしていきます」とした。

 市関係者は2月の取材に、「記録が残っていないが、担当職員は姉に電話をかけていたはず」と説明。滝山病院を選んだ理由については「18年当時は、周辺で透析が受けられる精神科病院は滝山しかなかった」と話した。

 滝山病院を巡っては、看護師ら計4人が患者に暴行したなどとして刑事告発され、警視庁は2月、このうち50代の男性看護師を暴行容疑で逮捕。この看護師は3月に罰金20万円の略式命令を受けた。同庁はその後に30代の看護師を同容疑で逮捕し、別の50代の看護師も同容疑で書類送検した。(比嘉展玖)

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