岸田首相襲撃犯が日本の選挙制度に一石 立候補年齢と世界一高い供託金は戦後見直しナシ
この国の選挙制度に一石を投じたかったのか。首相襲撃犯の木村隆二容疑者が昨年6月に起こした国賠訴訟。代理人の弁護士を付けない「本人訴訟」で主張したのは公選法の年齢要件や供託金制度への不満だ。
昨年9月には地元の元市議の市政報告会にも参加。被選挙権年齢を「引き下げるべきだ」と意見していた。爆弾男の肩を持つわけじゃないが、この国は確かに立候補の「壁」が高すぎる。
■無関心を助長する「シルバー民主主義」の打破
今年の統一地方選では、被選挙権のない複数の若者が不受理覚悟で立候補を届け出。6月に被選挙権年齢の引き下げを求める集団訴訟を起こす予定だ。もちろん、木村容疑者の動きとは一切関係ない。選挙権を持ちながら同年代を代表に選べない現状や、政治への諦めや無関心を助長する「シルバー民主主義」の打破に向けた異議申し立てだろう。
投票できる年齢が18歳に引き下げられて7年。被選挙権年齢は今なお25歳(知事と参院議員は30歳)のまま。現行憲法下で一度も見直されていない。選挙制度を所管する総務省は「社会的経験に基づく思慮と分別を踏まえて設定している」と説明するが、諸外国に比べ、日本の立候補できる年齢は高い。国立国会図書館の調査だと、世界の195カ国・地域の下院議員になれる年齢(2020年時点)は、17~23歳が全体の67%。18歳が65カ国と約3分の1を占めた。