岸田首相襲撃犯に“ネトウヨ”投稿歴 ツイート分析で透ける「格差にイラ立つ自民党支持者」の主張

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恵まれた“既存政治家”への怒りと羨望

 旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)などの宗教団体の組織票を含む「地盤」や、「看板」「カバン」に恵まれた“既存政治家”への怒りがにじむ。高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際政治学)が木村容疑者のツイートを分析したうえで、こう言う。

「当初、公選法の問題にフォーカスしていた意識が、資金力や組織票を持つ『既存政治家』への羨望の裏返しとも取れる憤りに変遷していく様子がうかがえます。岸田首相を名指ししていますが、恐らく、首相個人に恨みがあったわけではなく、世襲そのものや世襲が再生産する格差にイラ立ちを感じていたのではないか。カネや後ろ盾がなければ、政治家にはなれないという格差社会への恨みが根底にあるように思います」

 木村容疑者は岸田首相や安倍元首相を指弾する一方、いわゆる“ネトウヨ”のような一面ものぞかせていた。

〈岸田首相「留学生30万人」見直し さらに増やす計画策定を指示〉というNHKニュースを引用し、〈自国民より外国人を優遇する政治家は国賊と言います〉などと投稿。自民党のウルトラ保守派のような排外主義的な主張だ。

■もともとは自民党支持者だったか

 地元の自民党系市議(当時)が開いた市政報告会に足を運び、自民党の国会議員に被選挙権年齢の法改正を直訴していた経緯も踏まえれば、もともとは自民党支持者だったと考えられる。

 事件前の最後のツイートは〈投票だけは行っている、民主主義風の専制政治国家が日本です〉。こうした問題意識を持ちながら、まさに民主主義を破壊する暴挙に出たのは、短絡的と言わざるを得ない。さまざまな選挙で無所属などの独立系候補を多数取材しているフリーランスライターの畠山理仁氏はこう言う。

「確かに現行の選挙制度には問題があります。しかし、不備があると思うなら、同じような考えを持つ人々を結集して民主的なルールにのっとった戦い方で変えていくのが筋。今回の襲撃事件は、人前に出たくない候補者が街頭に立たない言い訳に使われてしまうかもしれず、それこそ容疑者自身が訴えていた制度改革を結果的に遅らせることになりかねません」

〈普通の国民が政治家になれる民主主義国を目指します〉とツイッターでうたっていた木村容疑者。自ら民主主義を踏みにじった今、何を思っているのか。

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