首相という存在ひとつとっても、辞任したばかりのアーダーンで言えば、
就任したときは30代の女の人ということで話題になって、オーストラリア人白人至上主義者にモスクが襲われてイスラム人たちが殺されて、社会が苦しみのなかに落ちると、自分もショックを受けて、弱さを隠そうともせずに、顔を青ざめさせ、ムスリム人たちと一緒になって泣いて、強い指導者を演じようとさえしなかった。
いまの世界では珍しい純正左派で、例えば、実現できないまま引退してしまったが、ニュージーランドの社会構造の根幹を破壊するかも知れなかったキャピタルゲインタックスの導入を公約として、
冨をためらわずに、どんどん富裕層から貧困層に移転しようとした。
落ち着いて考えれば、左翼が現実主義者の集団で、現実社会を建設する「現実をがっちりつかむ両手」を持っている事実ひとつとっても、ニュージーランドは日本とは対極といってもいいくらい正反対の国なのが判るとおもいます。
絵空事はなにも通用しない。
日本では、夫婦は同姓でないといかんとか、夫婦別姓では社会が混乱するとか、日本の人には日本の人の理屈があるのに決まっているが、
特にニュージーランド人だけではなくて、他国人が聞いたら、?????で、
どうして、そんなヘンなことを考えるのだろう、と通常の西洋頭では理解不能な議論が続いているが、
アーダーンは、首相になったときから未婚のままTVキャスターのボーイフレンドと一緒に住んでいて、在任中に妊娠して出産して法の上ではシングルマザーになって、世界で初めてだったか、ブットについで二人目だったか、
首相として公式に産休を取った。
もっとも、当然といえばいいのか、なんというのか、文字や映像で報道されてもこういうことは伝わらないが、社会自体がまったく異なるので、首相といえども、街やスーパーで会えば挨拶くらいはするし、
ボーティー(ボート乗り)で釣りが好きなボーイフレンドのほうも、あのひとは、ぼくやなんかがボートを置いているマリーナのひとつに籍があるので、他の顔見知りたちと同様、暇があれば一緒にマリーナのパブでビールくらいは飲みます。
日本語人は垂直な階層を異様なくらい好むが、英語人は、もともと北海の出なので、水平な世の中を好んでいる。
北海地方は、くっそ寒い上に、ドビンボで、肩を寄せ合って生きていかなければならなかったからで、中緯度の文明に属した国々と異なるのは、高緯度文明にあっては、
村落がひと冬過ぎてみたら、飢えと寒さで壊滅していた、などということはザラにあって、
その運命を免れた共同体も、船大工を動員して急造した船を連ねて、
東へ南へ、あとではコンパスもないのに陸影もない大海を何日も航海して西へ、掠奪しに出かなければ生きていけなかった。
余計なことを書くと、かつては、掠奪にでたときの戦闘に、中心になる男どもだけでは戦闘員が足りないので、女たちも加わって戦士として戦った、とおもわれていたが、調査科学が進み、発掘が進むに従って、女たちは加勢ではなくて、戦争を指導する役割も担っていて、新事実のなかでも、ニュースを聞いて、みながぶっとんだのは、めっちゃ有名な伝説的な将軍が、愛馬と一緒に葬られていた棺を調査してみたら、実は女の人であったことで、かつては架空の伝説と考えられていた、女戦士だけのエリート戦隊も、現実だったことが、いまでは判っています。
英語人や北欧語人が、ごく自然に男女平等指向なのは、もともとは、富裕な社会、例をあげればフランスのように、女の人に社会精神上のノーブルな椅子を与えて、恭しく敬意を持って接するような騎士道が発達しうるほど豊かではなかったからで、匹夫匹婦の、ヒップな社会で、くだらないダジャレを言って申し訳ありませんでした、英語人がレディなんて、田舎者の大根芝居みたいなことを言い出すのは、フランス化したバイキングであるノルマンがイギリスを征服したあとのことで、
それまでは男も女も均しく斧や大刀をぶん回して、殺戮の血を頭から浴びて生活していた。
男同士でも、最後にものをいうのは暴力で、体格が小さく生まれつけば、子供時代から嘲笑されて、意見が対立すれば殴られ、組み敷かれ、言うことを訊かされたが、男女が性別は関係なく共同して暮らしていたと言っても、女の人が常に肉体的なハンディキャップを背負っていたことは、間違いないでしょうけど。
日本は、どうだろうか、というと、暮らし向きが悪くなると、簡単に言って虫がいい条件を押しつけようとする「交易」に乗りだして、海を押し渡って、相手が、それでは商売でなくて、強請りではないか、お断りだね、だから野蛮人は困る、と文明が遅れた者達への軽蔑が滲み出た反応を示すと、翌日、今度は褌一丁に、抜き身の日本刀を担ぐという、すごいカッコで戻って来て、昨日自分たちをせせら笑った奴らを、当たるを幸い切り倒し、ぶち殺して、逃げ遅れた妻や娘たちを、褌を外すだけという簡便さで集団で強姦する「倭寇」と呼んで怖れられる集団で、なにしろ日本人は北海人ほど恒常的にドビンボだったわけではなくて、条件がいい年は海賊をする必要がなかったので、
すぐに大半は辮髪だかチョンマゲだか、どっちだかよくわからない髪型で、
どうも「倭寇」とは言い条、中国の人のほうが多かったようだが、ともかく、
よく考えてみると、やってたことが似ていなくもない。
海賊なかまなのに、と、子供のころ、日本にいたときは、よく考えた。
どうして日本では北海と異なって女のひとたちの社会的地位が低い、というか、地位も居場所もないのか。
自分が属していなくて「外面」しか見せてくれない社会に対しては、よくあることで、理屈でばかり考えるので、米作は麦作よりも圧倒的に収量がおおくて、食料効率がよいので、人口が急激に多くなってひとが十分に数が居た結果、社会役割の分化が起きて、女のひとびとは家事向きの仕事に特化して、男のほうは外に出て「稼ぎ」をもって帰って来ることに特化したのか、とか、基本は男と女は「別の生物」として扱うことになっている儒教の影響なのかしら、とか、現実と接点がない子供の頭でいろいろ考えたが、なにしろ他人事なので、そのうち、めんどくさくなって考えることをやめてしまって、毎日、街がまるごとアミューズメントパークであるとしかおもえない東京で、毎日、ぶんぶん遊んで暮らすことしか考えなくなってしまった。
日本の経済不振の原因は、吝い経営者たちと、「経営者の立場に立って自分の会社を考える」、
なんであんたがそんなこと考えてんの?な、ナゾい日本の被雇用者たちの相手の事情を常に考えすぎる癖によって引き起こされた低賃金の慣習を最大のものとして、
人口減少と老齢化による市場の縮退、マスコミ用語でいう「消費者マインドの冷え込み」くらいが主要な原因だが、チン〇ンが付いてないと社会に居場所が見つからない、という女のひとたちへの、構造と社会心理と文化習慣と、そのうえに言語の構造まで加わった、これでもかこれでもかこれでもか、な女の人たちへの差別も通常考えられているよりおおきな要因に見える。
日本の人は、「一億総懺悔」なんちゃって、大規模演歌みたいな情緒に酔ったりするが、
この一億の半分は、社会の側から無理矢理「お荷物」にさせられている女のひとたちで、例えば経済市場が典型だが、性別による収入の差も加わって、見た目の半分の5000万人も実効的な人口があればいいほうでしょう。
むかし日本にいたときに、「あの人は、女なのに数学が出来てすごいんだ」と目を輝かせて話す大学人がいたり、「ミナさんは、女と言っても、根性があるから」と述べる上司が存在したりして、ぶっくらこくのを通り越して、どう反応するのがいいか判らないことがよくあったが、
考えていたら、チン〇ン付きの側であるにも関わらず、猛然と不愉快になってきたので、
「女だてらに」という、女の人の作家が述べた言葉を、いわば、わざと、あげつらって、題名にして、いまよりも、もっとヘタッピだった日本語で記事を書いたりしたが、そういうこととは別に、かつての北海人たち、ヴァイキングと呼ばれたビンボ人集団に倣って、もういいかげん、女の人たちを仲間とみなせばどうなのか、と、よく考える。
子供のときは、もちろん、やや長じてからも、
「ガメ、今夜、ひまだから一発やろうぜ」
「あー、くたびれた。動きたくない。ガメ、ちょっとタンポン買って来て」
の社会で育ったので、
日本での男の人と女の人の感情の相剋を、よく判っているとは言えない。
日本、韓国、インドというような国は、ほとんど男の側からは意識もされない形で、ごく自然に、「女は、好きな男の前で足を開いていればいいんだ」と言わんばっかりの女の人への差別が猖獗していて、男であっても、あれだけ賢い人が揃っている国なのに、女の人のことになると、愚かどころの話ではなくなってしまう。
どうも日本では、女の人も人間として扱わないとダメなんじゃないの?と述べると、
「フェミ」という省略の仕方がすでに攻撃的で侮蔑的なラベルをペタッと貼られて、
フェミニストをタリバンのような存在として忌み嫌う男のひとびとが意外な多数で存在するらしい。
いっぽうで日本の「フェミニスト」は、カッコの括り方を変えて「日本の」フェミニストと書き換えたくなるくらいで、いろいろ、具体的な言及は気の毒なので避けるが、
いちどならず「ガメ・オベールが人種差別主義者なのは誰でも知っていることだが」と「日本のフェミニスト」たちが述べていたり、ガメ・オベールが暴力好きなDV男なのは、ひと目でわかるが、と書かれていたりして、
なんだか閉口なので、普段の生活で一緒に遊びに行ったりする英語人のフェミニストの女のひとたちと異なり過ぎて、距離を置く、というのでもなく、自然に関心がなくなってしまったが、
まるで政治集団のようになって、傍からみているとフェミニズムが冷たい教条のようにしか見えなくなってしまっている。
ついでに余計なことを書くと、アメリカ合衆国を例外として、英語人が女の人たちを平等に扱う傾向があるのは、あるいは扱おうと懸命に努力しているのは、社会の手続きとして、機会や待遇の面で性差があってはよろしくない、ということになっているので、気分はまた別で、男の内々では、例えば、男たち同士でパブでビールを飲んでいるときには、「ガメ、おまえは女を甘やかしすぎだ」と言われたりする。
この裏切り者めが、という調子です。
「モニのほうが頭がいいからね」と言うと、
顔を歪めて、目で、「また、おまえは、そういうことを言う、女房を甘やかしていいのか」と雄弁に述べている。
どうしておまえは女の本質が判らないのか。
洞察力、なさ杉晋作。
夜も更けて、知らない人が立ちんぼテーブルの向こうにいて、酔っ払い同士で話をしたりするときには、なにしろミソジニストが相手でも、平気で、気が向くと最近の女の人の頑張りを褒めたりするので、深刻に険悪な雰囲気になることもあるが、なにしろ、こちらのガタイがでかいので、
危険を感じるところまではいきません。
自分で考えてもフェミニストなところは微塵もなくて、女のひとたちも自分と同じ人間なのは判り切ったことなので、人間同士で、仲間意識を持っているだけのことで、
特殊な事情もあるかも知れなくて、なにしろ女の人は物理的に肉体的なパワーに劣るというような議論を聞いても、たいていの男の人も、こちらから見れば肉体的なパワーに劣っているので、
有意な差を感じない。
なにごとにつけて、男と女に分けて考える習慣自体がないようです。
人生の節目節目で助けてくれたのは、たまたまだとはおもうが女の人が多かったので、やさしい線や、fragileな感じのするシルエットを見ると、自然と好感を持ってしまうが、これは自分ではコントロールできることではないようです。
一方で、当たり前だが、女の人であってもダメな人はダメな人で、
日本語でも、性別とは関係なく唾棄すべき人間には、黙っている理由もないので、あんたは唾棄すべき人間だ、と述べるが、そういうときに決まってやってくる、
「女の人に対して軽蔑するべき人間だと述べるなんて、おまえは女性差別主義者だ。許せない」という人たちを見ていると、どうも日本で女の人が普通に人間として扱われるのは、随分、先のことになりそうだ、と考えます。
実のところ、考えて見ると、日本の性差別解消の難しさは、差別意識が、言語そのもの、文化そのものの深奥に根を下ろしていて、ちょっと欧州語の単語の男性型女性型と似たところがあって、
例えば日本語は言語そのものの歴史的記憶として、武家の、畳の上に正座して髷をゆった着物の女の人を秘匿しているが、北海人の男性と女性の役割思想を持ち込むことが、もしかしたら、伝統日本を根こそぎ否定することになりかねない。
女の人からしたら「それのどこが悪い」ということになるが、それでも「日本人であることを捨てる」のは、日本語人としては、おおきなおおきな決断で、ほんとにやれるのか、という気持ちがあります。
日本の人は、問題の解決を先送りして、あちこちを弥縫して、なにも変えないまま翌日を迎え翌年を迎える名手だが、ここに来て、手を付けていない山積された問題の山の圧力で、「手の施しようがない」という表現を使いたくなるほどの事態になっている。
女のひとたちへの言語の構造、社会の構造をあげての差別、差別と呼ぶのもバカバカしいような、疎外も、緊急な事態のひとつで、この問題に意識を向けないまま、例えば経済が回復するなんて、傍目には、到底ありえないことにおもえます。
経済発展を阻害しているおおきな問題のひとつ人口減を解決するために、大臣が
翻訳して要約すれば
「ここはひとつ若い女のひとには、あんまり先を考えずに足をおっぴらいでもらって、どんどんコンドームなしで頑張って、子宝に恵まれてください。めでたしめでたし。不肖わたくしも、お手伝いいたしたい」と述べたりしているが、そう簡単に、女の人がバカになれば解決するという問題ならば苦労はないので、
まず人間として認められて、次には社会制度上、子供をつくるということがキャリア上のマイナスになることはない、と国家が保障しなければ、子供を欲しくても産むのに死ぬほど悩まないわけがない。
純粋に国家再建の問題として女の人への疎外は致命的な障害になっている。
いつもいつも全体の側から個人を見る、逆ベクトル思考のお国柄なのに、この問題だけは、
「男だって差別されている」
「女ばかり優遇するのはおかしい」
とまでいう、言っているうちに着ている服が園児服にみるみる変わっていきそうな、実は「全体」を無視した純粋に個人的な感情だけで行われる発言が多いのは、母子、というような個人的な関係にまで還元されそうな、この問題の本質がよく現れているのかもしれません。
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