人生を仕組み化していったら結婚できた件

この記事は妻にレビューしてもらっています。

概要

この春結婚しました。 我々二人の生活は、多くの仕組み化・組織化を実行しているという点でかなり変である、ユニークだと思います。この記事では我々が導入している仕組み化を紹介していきたいと思います。

経緯

妻とは一年ほど前から人生をよりよく生きるためのアドバイスをし合う朋友・盟友的関係を築いていました。 お互いの人生には課題が山積しており、それを抜本的に改善する必要があったのです。 そのために我々は仕組みの力に頼ろうと、さまざまな人生の仕組み化を図りました。 改革は功を奏し、我々の抱えていた諸問題は対処可能になっていきました。 また、お互いの課題解決的なコミュニケーションが大いに促進され、相互理解が深まっていきました。 我々の協力関係が実り多いものであることを深く確信した我々は、お互いの人生に貢献したい、二人三脚でこの人生を楽しんでいきたい、一緒のチームメンバーとして私生活というプロジェクトを回していきたいという気持ちから、お互いを一生の伴侶とすることを決断し、この度婚姻届を提出いたしました。

前置き

このような手法が我々にうまく適合したのは、以下の我々固有の要素が大きいと思います。

  • 人生をガチガチに分析的・合理的にコントロールすることへの抵抗が薄い
  • 今までの生き方では解決できない(近い将来に破綻してしまうであろう)人生上の困難を抱えており、強力なツールを用いて解決する必要があった
  • 二人ともITエンジニアであり、プロジェクトの管理手法として業務で近い手法を用いていた。

このようなケースに当てはまる二人でない限り、以下で述べるような手法を私生活に取り入れることには不快感が伴うかもしれません。 あくまで特殊ケースの一つとして捉えていただければ幸いです。

我々が抱えていた問題

以下の問題は、我々が手を結ぶ前に、少なくとも一人以上が抱えていた問題です。

  • 金銭計画が大いに問題があった
    • 収入・出費などが把握し切れておらず、赤字傾向なのか黒字傾向なのかも把握できていなかった(実際赤字傾向であることが判明し、改善を行った)
  • 体重推移に問題があった
    • 体重のログがとられておらず、傾向の推移が把握できていなかった
  • ガムシャラに色々な分野に憧れていたが、どれも中途半端になってしまい身についていなかった
  • 今まで何の分野で活動してきて、どういう能力・実績があるのかのログがとられておらず、成長しているのか、しているとしたらどの分野が成長しているのか実感が得にくかった
  • 私生活の予定の量の管理ができず、忙しい時期と暇な時期が存在していた
  • 私生活における1年〜3年スパンの計画が立っていなかった

導入していった管理手法

これらの問題を解決、あるいは少なくとも管理可能にするために、我々は以下のような管理手法を導入していきました。

金銭管理のスプレッドシート管理化

当初解決すべき問題は金銭面でした。 特に妻は複数の収入源がある上で複数の支払いを別々のタイミングで抱えており、残高の推移が把握できていませんでした。 早急に解決すべき問題として、一番最初にスプレッドシートで入金・出金のタイミングを可視化していきました。

これにより、当面は問題がないことを確かめられたり、あるいは問題がある場合にはどうやりくりして対処するかを検討することができるようになりました。 この可視化によりマネーフローの改善には抜本的な解決が必要であることが判明し、家族などを巻き込んで現状を報告して現在のマネーフローを変更するなど、問題解決に向けた行動を起こすための我々の判断根拠にもなりました。

週例報告会(weekly sync)を設定

上記の金銭繰り計画を立案した後、当面のスケジュール管理と金銭管理が予定通り行われているかを管理し、そうでない場合は早めに検知して何らかの手を打つ必要がありました。 そこで google document に以下のような資料を作成し、毎週報告会をするようにしました。

以下は報告会のログです。

KPT実施

KPT とは、成功したことを記録し以降も継続できるようにし、まずかったことも記録し再発防止策、解決策などを考えるための枠組みです。

(参考:「いいね!」できるKPTをスプレッドシートで作る! - Qiita

これを上のweekly sync 時に毎回実行することで、起こったトラブルのロギングや、行った実績の簡易的な可視化を図るようにしました。

回数が増えていくにつれ、我々がこれだけ建設的な議論や相互理解を深めてきたのだという証拠にもなりました。

2人用discord 鯖作成

解決すべきトピックベースで議論をするために、複数チャンネルを管理できる2人用個人discord鯖は便利でした。 問題別にチャンネルを作り、各チャンネルに議論を蓄積させていきました。

個人JIRA導入

問題が洗い出されていき、やらなければいけないことが増えてくるにつれ、やるべきTODOの一覧・達成度・消化率などが把握しきれなくなってきました。 そこで、IT系でよく用いられているタスク管理ツールであるJIRAを導入し、毎週その週にやることを決めることにしました。

これによりタスクは一覧が可視化されるうえに、1週間でこなせる適切な粒度までブレイクダウンされることで計画の質が上がり、実行がしやすくなりました。

ガムシャラに頑張るのではなく、計画を立てて体系的にやるべきことをこなしていく癖を付けられたのではないかと思っています。

JIRAにはタスクと紐づいたロードマップ機能もあり、こちらも数か月単位での課題を管理するのに便利でした。

資料置き場をGROWIで作成

仕組み化や作成していくドキュメントが増えるにつれ、資料が探しにくくなっていきました。 ドキュメントの散逸を防ぐために資料管理ツールを導入しようと、growi を導入しました。

自前でAWS上にEC2インスタンスを立てて動かし、ストレージはmongoDB atlas というマネージドDBを用いています。

構造化されたドキュメント管理ツールは使いやすいです。

定例会再策定

ドキュメント管理体制が整ってきたところで、定期的に過去の決定振り返りをできるように、以下のように定例会を設計しなおしました。

たとえば以下のように四半期目標を立てたりしています。

家事Ops第一宣言

我々は趣味開発や勉強の進捗を家事より優先してしまう癖があるようでした。そこでそれを戒めるために「家事Ops第一宣言」を制定し、家事を回す重要さの程度について合意をし、基準に基づき問題がないかどうか判断できるようにしました。

以下は宣言の引用です。

# 意義

家事は重要である。家事が滞り、生活の質が下がっていくと、その他の活動の生産性全体が下がってしまう。
また、軽微な汚れなどを日常的に掃除するのはたやすいが、たまった汚れや散らかり切った部屋を片付けるのは容易ではない。

これらの2つの観点から、日常的に家事を継続し、家事破綻状態をそもそも発生させないことが重要なのである。よって以下の宣言を定める。

# 家事Ops第一宣言

1. 家事の遅滞があるときは、進捗や娯楽よりも優先して家事を行う。
2. 家事の優先順位は運動・プログラミング・勉強よりも高い。
3. 家事の劣化を放置して進捗を産むのは、コードベースやインフラの劣化を放置して新機能開発に工数を割くことに等しい。

# Opsスタンダード

家の中がどのような状態であればよいかここで定義する。


## 観点

### クリアランス

余計なものが場に出ている状態は以下の観点でよくない。
- 物が多いと散らかって見えて、見た目が劣化する
- 場に出ているものが多いと物品の在庫管理がしにくくなる
- 物がたくさんあると、その下の床や板が掃除しにくくなり、汚れが溜まりやすくなる
- 物が散在していると作業がしづらくなる

したがって、物を出しっぱなしにしてはいけない。

### 清掃

ゴミがなく、清潔に保たれなければならない。

### 収納

雑然と小物が入っている状態はよくない。小物が複数種類ある場合は小収納に分けて棚や押し入れにしまう。

## 具体的な基準

### クリアランス

####- 床に家具以外が直接置かれていてはいけない

#### 台所

- 洗剤・スポンジ入れ以外が上に直接出ていてはいけない

#### 流し

- 食器などが放置されていてはいけない
  - 例外: 三角コーナーはOK

#### テーブル

- 物が置かれていてはいけない


#### 玄関

- 靴が全てしまわれている

### 清掃

- 階段や廊下、居間・和室・洋室にほこりをためない
- 食器が洗わずに放置されていてはいけない
- 空き缶・紙パックなどは袋か正しい場所にしまわれている


### 収納

- すべてを雑に放り込んでいる収納がない
- 要らないものを捨てずに持っていてはいけない

短期で解決できない家事の問題点は github issues で管理

家事の問題のうち、時間や労力・金銭の面で短期的に解決できない、JIRAチケット化して取り組む元気もない問題は、とりあえずgithub issuesの形で管理することにしています。

まとめ

我々はかつて生活や学習面で大いに問題があり、我々の注意力だけで改善するのは不可能だと思い、様々な管理手法・管理の仕組みを導入しました。 これは必ずしも万人に適する方法ではないと思いますが(というかこんな私生活をしている人はあまりいないのではと思います。。。)、少なくとも我々の生活を改善するためには大いに役立ち、相互信頼を醸成するために有効でした。 これを読んだ人に対して何か有用な知見が供給できていれば幸いです。

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