@chablis777
シャブリ

---------------------------------

----R----011--------------------
----a-----------------------------
----n-----------------------
----m------------------------------
----a-n-----------------------
-----------------------------------
---------------------------------------------------------------


(万太郎)ハァ ハァ…。
ハァ… ハァ…。
おまんは 誰じゃ?
あ…。
触って えいか?
♪~
ああ… おまん わしを呼んでくれたのう。
♪~
♪「言葉足らずの愛を 愛を貴方へ」
♪「私は決して今を」
♪「今を憎んではいない」
♪「命ある日々 静かに誰かを 愛した日々」
♪「空が晴れたら 愛を、愛を伝えて」
♪「涙は明日の為」
♪「新しい花の種」
♪「空が晴れたら」
♪「逢いに、逢いに来て欲しい」
♪「涙は枯れないわ 明日へと繋がる輪」
♪「言葉足らずの愛を」
♪「愛の花を 貴方へ」
秋 峰屋では今年も また 酒造りが始まります。
蔵人たちを迎える日峰屋は 総出で準備に追われ…。
(竹雄)米は こっちじゃ。蔵に運び込んじょいてくれ!
竹雄は 立派な働き手として成長していました。
綾には縁談が 次々と舞い込んでいましたが…。
(ふじ)まあ! こっちも よう似合うて。あ~ みんな 似合うて…。
失礼します。 大奥様 蔵人衆が参りました。
(ふじ)あっ!お迎え 行ってきます!あっ 綾様!
もう~家業に熱心なのは えいですけんど…。
(タキ)綾と万太郎…2人を足して 割りたいぐらいじゃ。
若 読書中 失礼します。蔵人衆が着きましたき。
若?
わ…。
若~!
♪~
いかん!
よう いらっしゃいました。今年も よろしゅうお願いいたします。
(小声で)万太郎は?やられました。
親方 蔵人衆 よういらしたのう。
峰屋は おまさんらあだけが頼りじゃ。頼むきね!
(一同)へい! よろしゅうお願いします!
すまん! すまん どいてくれんかえ!
すまん!峰屋の若旦那 相変わらずじゃのう。
ありゃ 商売に向かんき。
つい夢中になってしもうた…。
(戸が開く音)ハァ ハァ ハァ…。
いやいやいやいや… 間に合うた~!アハハハ!
いや~ 神主さん どうぞ やってください。
わしも 神さんにお礼を言いたかったところじゃ。
(豊治)ご本家 礼とは?
あ… いや~ 今日もいい日じゃったきのう~! アハハ…。
ああ どうぞ どうぞ。
万太郎 迷惑だけは かけたらいかんが!
そうですき!出るやったら 出ると 何でひと言…。
言うたら 止めるじゃろ。当たり前でしょう!
好きなことがあるがは しかたない。
けんど 当主の務めは果たさんといかん。
蔵入りの日のおはらいは一年で たったの一日!
今日だけはビシッとおらんと いかんかったろ!
けんど 姉ちゃん…この時期の雨が上がった 今日今日一日 この昼間だけゆうことがあるがじゃ。
その上 草木は 歩かんきね…。言い訳せん!
酒造りは 蔵人さんらあが やってくれる。
ほんなら せめて 蔵元は真心ばあ 尽くさんと。はい…。
分かったら 親方と蔵人さんらあによう挨拶してきいや。
はい…。若 行きますよ。
♪~
あ…。
(幸吉)わしらのことを思うてくださって…。
弟は まだ頼りのうて。よう言うて聞かせますき。
綾様 わしは 幸吉と申します。
昔 見習いの時分峰屋で修業したことがあります。
今年からは麹屋をさせていただくことになりました。
麹…。「峰乃月」は うまい酒です。
味を守れるよう努めますき。
あの…。
はい?
いえ… 何ちゃあ ないです。
はい?
麹とは どういうもんですろうか?
蒸した米が どういて酒になるがか書き物を読みよっても ふに落ちません。
女が酒造りに立ち入ったらいかんがは分かっちょります。
けんど…。
お教えしましょうか?えっ?
(幸吉)蔵に入らんでも 綾様に酒のことを教えることは できますき。
うれしいです。幸吉さん ありがとうございます。
もったいないき。「幸吉」とお呼びください。
♪~
(寛太)万ちゃん 全然分からんが?
ああ こんな黄色い釣り鐘の花いっぺん見たら忘れん。
けんど どの本でも読んだ覚えないき。
(寛太)これだけ読んじょってもかえ?ああ…。
ほんじゃき堀田先生に「植学啓原」ゆう本がないか聞いてほしいがじゃ。先生やったら お医者のつながりで手に入るじゃろ。ほ~ん。
分かった 聞いてみる。うん。
けんどね… 万ちゃん。うん?
友達おらんがか?
えっ? えっ!?
あっ 違う 違う!わしじゃのうて 草花の友達じゃ。
万ちゃんは 草花の研究で困ったら本で読むしかないじゃろ?
友達がおったら…。おるよ! 友達。
それ 小学校の壁に掛かっちょったやつじゃないかえ?
ほうじゃ。 え~… あっ ここ ここ!
ここ! ここの先生方とは仲ようなれるろうと思うたがじゃ。
ほんじゃき 里中先生 野田先生がわしの心の友じゃ!
万ちゃんよう 心の友ゆうがはおらんがと おんなじじゃ。
おるき! 文部省博物局! ここにおる!東京じゃろ? 異国ばあ 遠いき。
まあ 無理じゃろ。
峰屋も 今は大変な時期じゃろ?大変ゆうて 何が?
綾ねえちゃんの縁談!あ~… そうか?
はあ…。 はあ~…。
大奥様 綾様のお着物仕立て上がってまいりましたよ。
ああ… きれいじゃのう。はい。
綾様は どこへ出しても恥ずかしゅうないお嬢様ですき今度という今度は 固まりましょう。
けんど 綾は万太郎と違うて家業に熱心じゃ。
綾がおらんようなったら万太郎は もっと だらしのうなる。
そう言われたち綾様を 若旦那に縛りつけちょってはどんどん時期が遅うなります。
盛りを越しては おかわいそうですきね。
う~ん…。
(たま)失礼いたします。大奥様 お客様でございます。
あら! うわさをすれば黒木屋さんでございましょうか ハハッ!
いよいよ 見合いの日取りを言うてきましたろうか。 ハハハ…。
何です? おばあちゃん 改まって。
(タキ)さっき お役人が訪ねてきてのう。
来年の春 東京で内国勧業博覧会ゆうもんが開かれるそうじゃ。
東京!?内国勧業博覧会?
その博覧会の清酒部門に峰乃月を出品せんかと。
酒を競うがですか?
峰屋の酒は 深尾のお殿様のためにお造りしていた献上品。
お殿様の お口に合うた酒じゃ。
それを よその知らん者が勝手に品定めするらあ 品がない。
下劣な催し物じゃ。
けんど おばあちゃん…。
こりゃあ 断るゆうことで えいのう?
いいや。 断ったらいかんき。
おばあちゃん パリやアメリカじゃ博覧会が盛んに行われゆう。
徳川の昭武公も見に行かれちゅうがじゃ。これは 見せ物じゃない。
順位を競うことで 産業全体の切磋琢磨を図ろうとしゆうがじゃ。
全然 下劣じゃない!
う~ん こりゃあ峰屋の酒が知られる機会でもある。
御一新から13年峰乃月はいつまでも殿様の酒じゃおられんき。
これからは日の本じゅうへ届けていかんと。
ほう…。ほんじゃき わしは… そうわしは 出すべきじゃと思う!
博覧会に出たら 東京に移られた深尾の殿様も お喜びじゃろう!
まあ 当主のおまんがそう言うがやったら…。
来年の出品ゆうことは今年の仕込みが肝心になるね!
う~ん わしも忙しゅうなるき…。
失礼いたします。
万太郎が 初めて当主に見えたき。ええ。 本当に立派な…。
うお~!
東京じゃ~!
うお~ 東京! 東京!
東京! 東京! 東京! 東京!
アハハハハ 東京じゃ!
ええっ 夢やない!えっ えっ えっ どうしよう…。
竹雄。 竹雄… 竹雄!
竹雄! 竹雄?
竹雄! あっ 竹雄 おったか! 来いや!
若が来てください。 お客様です。
客? 誰じゃ?
小学校の校長先生ですき!
あ… え…?
ああ… あ~ あ~。
(校長)ご無沙汰しておる。槙野君 立派になったね。
あ… ええ…。校長先生 ご無沙汰しちょります。
どうなさいました?折り入って 相談があってね。
君 小学校の教師にならんか?
はあ!?


via Twishort Web App

Made by @trknov