「教育格差に実感が湧かない」
2020年代のSNSで炎上しやすい話題といえば、政治、ジェンダー、学歴が3強といったところだろうか。
7月のあるとき、ツイッターのタイムラインをひときわ賑わす話題があった。そこでは東京大学理科3類(医学部)という、名実ともに日本最高難度を誇る大学を卒業した人が、いま世間で言われるところの「教育格差」について、個人的に実感が湧かない――と素朴な感想を漏らしたことで人びとからの激しい非難を浴び、いわゆる「炎上」状態になってしまっていた。https://togetter.com/li/1917004
発端となった発言を要約すれば「お金がなくて塾に行けないのなら、自分で参考書を買えば安上がりだし、参考書すら買えないというのであれば、いまどきならYouTubeに塾や参考書と同等の優秀な講義が公開されているのだからそれを視聴すれば事足りる」といった旨だ。悪気があったわけではなく、富裕層と貧困層の間に広がる教育格差に対して素朴な感想を述べたにすぎなかったのだが、それが人びとの逆鱗に触れ、方々から非難を浴びてしまったのである。
しかしながら、大炎上してしまった当該の発言について、是非はどうあれ、必ずしもナンセンスなことを言っているわけではない。むしろ現代社会の「分断」や「格差」について、きわめて示唆的ですらあった。

