ドイツが脱原発完了 揺れた廃止論、国民は延長支持6割
【ベルリン=南毅郎、フランクフルト=林英樹】欧州最大の経済大国ドイツで15日、国内に残る全3基の原子力発電所が稼働を終える。歴代政権が掲げてきた「脱原発」は先送りを経てようやく実現するものの、インフレが続くなか世論の6割は延長を支持する。中道左派のショルツ政権は放射性廃棄物の処分などを理由に、約60年におよぶ原発の時代を終えるのが合理的と判断した。
現地時間の15日夜、国内の原発3基が電源利用を...
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(更新)- 諸富徹京都大学大学院経済学研究科 教授分析・考察
ドイツがついに、原発利用の時代に幕を下ろしたのは感慨深い。結局、脱原発へ向けた「着陸態勢」に入っていた政府と電力会社の双方にとって、脱原発はウクライナ危機でも揺らがない既定路線だった。背景として、原発もまたウラン輸入に関して「ロシア依存」だったという点が興味深い。つまり「脱原発=脱ロシア」というわけだ。加えて、すでに電力消費の5割近くを再エネで賄い、2030年までにその比率を8割に引き上げるドイツにとって、原発がもはや電源として重要性を失っていたという事情も大きい。ドイツは対仏をはじめ、隣国ほぼすべてに対して電力の輸出超過国だ。脱原発後の電力安定供給に関して、ドイツは自信をもっているはずだ。
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(更新) - 岩間陽子政策研究大学院大学 政策研究科 教授分析・考察
脱原発は、2002年にシュレーダー政権が決めたもので、今の社民党と緑の党の指導層にとっては思い入れのある問題でした。ただ、過渡期にガスが果たすはずだった役割が抜け落ちた以上、かなりの部分石炭に頼り続けなければならず、2030年脱石炭火力という計画は達成できるのか、温暖化対策の観点からも、原子力というオプションを捨ててしまうことが賢明なのか、ドイツ国民世論は、2011年当時よりはかなり冷静になっています。EU全体で見た場合は、原発の重要性の認識はあります。日本はより安全な原発技術をエネルギー・ミックスの中で賢く使っていくことを世界的にリードしていく気持ちをもって良いと思います。
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