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ちゅうごく経済
ネットで資金集め 広がる夢
ウェブサイト上で呼びかけ、共感した人から広く資金調達できるクラウドファンディング(CF)。中国地方でも様々な取り組みが広がっている。新しい資金調達のかたちが、従来では困難だった夢やアイデアの実現を支えている。
■子ども守る 学生が支援〈岡山〉
岡山県では放課後に子どもを預かり、一緒に遊んだり夕食を食べたりする事業「倉敷トワイライトホーム」が、目標の60万円を超える71万2500円を2月末までに集めた。
ホームは川崎医療福祉大の学生団体「子ども支援サークルにっこにこ」が主催。「夜に1人で過ごす子どもを無くしたい」と昨年6月に事業を立ち上げた。市内の一軒家に週3回、近隣の小中学校に通う子どもを招き、午後4時~8時半に預かっている。
子どもたちは保護者が仕事から帰ってくるまでホームで学生と勉強したり、遊んだり。夕食も学生が手作りし、午後6時ごろになると、子どもたちと学生が6畳ほどの居間で食卓を囲む。帰宅時間になると学生が家まで送る。
資金は食費や子どもの誕生会などの運営に充て、ほかは事業所の増設などに使う予定だ。代表の紀(き)奈那さん(21)は「子どもの居場所をつくり、地域とのつながりを生み出したい」と話している。(小川奈々)
■「近大ハニー」研究維持費に〈広島〉
近畿大学は、CFで研究資金を集めようと取り組む。6月には仲介サイトを運営するCAMPFIRE(東京)と提携。近大としては初の取り組みで、広島県東広島市のキャンパスで行われている「近大ハニープロジェクト」に対し、7日までに200万円の調達を目指している。
ハチミツは傷口に塗ると治りが早まると言われてきた。山本和彦准教授(生物化学)は細胞の増殖を活性化させる力があるかなどを検証しており、傷口に貼るテープや口内炎薬のメーカーとの連携も見据える。
松田博幸准教授(建築計画学)と共同で研究しており、過疎地域にハチが好むレンゲ畑を新たに作って観光地化を図るなど様々な活用を研究している。
飼育には巣箱一つで年20万円ほどかかる。維持費の大半は自費で3箱が限界だった。メーカーとの提携など研究を加速させるためにも規模が必要だといい、今年春に10箱に増やした。資金はその維持費に充てる。出資者にはミツを送り、採取する作業にも参加できるなどする。(神沢和敬)
■山根万理奈さん アルバムを制作〈島根〉
松江市出身のシンガー・ソングライター、山根万理奈さん(27)は、最新5枚目のアルバム「山根万理奈とマリナッチ楽団」(バーガーインレコード)を5月に出した。CFで集めた資金を使ってアルバムを出すのは3度目だ。
今回は、目標金額350万円に対し、400万円を超える額が集まった。ライブ音源配信、CDのブックレットへの名前記載など、出資額により特典が増える。10万円以上の出資では、要望に応えたオリジナル曲を制作してくれる。
今回も2曲収録されている。「JOY!」は広島県の男性ファンが中国横断自動車道・尾道松江線の全線開通を記念し「広島と松江をつなぐ曲を」と要望。ドライブしながら楽しめる曲に仕上げた。こうした曲づくりでファンとの接点も増えた。リクエストされることで、今までなかった発想の曲が誕生し新たな引き出しが見つかったという。
山根さんは「リクエスト曲を集めたアルバムをいつか出したい」と笑った。(井元茂)
■子どもの貧困ゼロ目標〈山口〉
「生まれ育った環境のために、学ぶことができない子、おなかいっぱい食べられない子、居場所がない子。そんな子どもをゼロにしたい」
こんな目標を掲げる「こども明日花(あ・す・はな)プロジェクト」が5月、山口市で発足した。代表は、NPO法人「山口せわやきネットワーク」の児玉頼幸さん(56)が務める。
準備と1年目の運営でかかる計250万円のうち150万円をCFで調達することを計画。地域型CF「FAAVO山口」で呼び掛け、7月7日までに125人から157万1千円を集め、目標を達成した。
7月9日に開かれた中学生向けの無料学習塾には7人が参加。大学生らの学習ボランティア4人が講師を務めた。昼食は旅館の若女将(おかみ)手製の卵焼きとおむすびを提供した。
資金調達方法としてCFを選んだ理由について、児玉代表は「行政に頼るのではなく、自分たちが抱える課題を自分たちで解決したい、との考えから」と話している。(大野博)
■神楽普及目指し衣装をそろえる〈鳥取〉
鳥取県西部を拠点に活動する若者の神楽団「鳥取荒神神楽研究会」は昨秋、地域型CF「FAAVO(ファーボ)鳥取」と提携、1カ月半で目標額の倍の約100万円を集め、衣装や道具をそろえた。代表の徳林亜美さん(26)は「新たな演目に挑戦できるようになった」と喜ぶ。CFが話題を呼び、公演回数も増えたという。
同研究会は県立日野高校(鳥取県日野町)の郷土芸能部OGの徳林さんを中心に5年前に設立された。山陰各地に残る神楽の保存会に師事し、神楽の文化を全国に発信するのが目的だ。
FAAVOは「購入型CF」とも呼ばれ、事業者は出資の「お礼」として、サービスやグッズをお返しする。徳林さんらは、研究会のオリジナルロゴを入れたバッグやTシャツ、パーカを製作し、返礼品にした。
出資者に使ってもらえれば、その周囲の人にも興味を持ってもらえると考えたという。徳林さんは「単に資金集めではなく、活動を広めるツールにもなりました」と話す。(古源盛一)
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