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(竹雄)若 着きましたよ!
(駆けてくる足音)
(万太郎)来たか~!
ようよう来たのう!
竹雄 残りの本は?はいはい お待ちを。
(タキ)何の騒ぎで!?
おばあちゃん 見てください!
「重訂 本草綱目啓蒙」!
大阪に注文して やっと着いたがですき!
何じゃ?
この全巻一そろいは 名教館にもないがじゃ!
おばあちゃん買うてくれて ホンマに ありがとう!
ありがとう!
早う読みたいのう!大阪とは…。
本を買いたいとは 聞いちょったけんど…。
(豊治)いや~ すごい量じゃのう!(紀平)な… なんぼした?
あ…。ん?
えっ… 何じゃ こりゃ!?
これ あの 番頭のふたつき分の給金よりも高いじゃないかえ!?
貴重な本じゃそうですき。何の本じゃ?
いや… わしは分かりませんき。
何の本じゃ? これ。
ああ…。
草の本です。ん?草?
草。草!?
草…。草。
失礼します。
草なあ…。
峰屋の金を使うてのう…。こりゃあ ご立派なご当主じゃ。
ん…。
♪~
♪「言葉足らずの愛を 愛を貴方へ」
♪「私は決して今を」
♪「今を憎んではいない」
♪「命ある日々 静かに誰かを 愛した日々」
♪「空が晴れたら 愛を、愛を伝えて」
♪「涙は明日の為 新しい花の種」
♪「空が晴れたら」
♪「逢いに、逢いに来て欲しい」
♪「涙は枯れないわ 明日へと繋がる輪」
痛い! おばあちゃん 何!?黙らんかえ!
万太郎!嫌じゃ!えいき 座っちょり!
ん!
本を読むがも えいが仕事を覚えてからじゃ。
まずは 見ゆうだけで えい。
(ふじ)大奥様 支度ができましたき。ん。
わしは 出てくるき。おまんは当主として そこに座っちょり!
え~?(ふじ)ほな 行きましょう。
行ってらっしゃいませ!(一同)行ってらっしゃいませ!
いらっしゃいませ!いらっしゃいませ!
お待ちしておりました!いつもありがとうございます。
これは なかなかの…。(笑い声)
竹雄!はい?
一生の願いじゃ。
一生の願いをこんなとこで使わんとってください。
♪~
お…。
お帰りなさいませ。またお待ちしちょります。
(市蔵)ありがとうございました!
(ふじ)今 戻られました。
(市蔵)お帰りなさいませ。お帰りなさいませ。
万太郎は ずっと おったかえ?
はい。得意先のまとめを ようご覧になって。
あっ!?何ですか!
おまんは 当主の自覚が足らん!仏間で待っちょき!
はい…。
捨てちょいて!はい!
お…。 うわ!
こ… こりゃあ…。
若様 そらで お描きになったがで?ああ。 フフ…。
こりゃあ うまいねや。
全部で 豚は 何匹になる?こりゃあ 多すぎじゃ!
(寛太)ねえねえ 万ちゃん ここ どういう意味?
「人を表す代名詞。異なる人物を おのおの別の言葉で表すもの」と書いちゅうね。
(寛太)うん…。訳す時に 「in which」はあまり気に留めんでも えいで。
さすが万ちゃん ありがとう!
「in which」は あんまり気に留めんでもえいらしいですき!
お~!
(古沢)語学は 槙野の右に出る者は おらんのう。
あいつは 辞書さえあったら大抵の本は読めるし 文章も書ける。
槙野だけじゃない。名教館で学ぶ者らあはいつか 日の本を導く人材に…いや 世界の人材になるがやき。
そんな 遠くへ…?
(蘭光)いや~ かたじけない。私は これに目がのうて…。
ヘヘヘ。 うっ よいしょ。
ほい。ほんで 今日は どういったご用向きで?
蘭光先生。 万太郎は 本日限りでやめさせていただきとう存じます。
お世話になりました。
待って! 何で!?
おばあちゃん どういうこと?
万太郎は 峰屋の当主。商いを学ばなくてはなりません。
明日からは 店に入れ実地で覚えさせようと存じます。
嫌じゃ! おばあちゃん!
帰るぞね。
ここに おりたい!わし 嫌じゃ! やめとうない!
逆らいな!そんなふうに育てた覚えは ない!
わしにはおまんを育て上げる務めがある!
おまんは 峰屋の当主じゃ!そんなもんに なりとうない!
万太郎!当主らあ 嫌じゃ!
槙野 その辺にしちょけ。
峰屋さん ご心配なさらんでも名教館は 今月の末に廃止されます。
政府が 全国で一斉に 小学校というものを始めることになりました。
教える内容も政府が定め教師が遣わされてくるそうです。
ほんじゃき 私はもう ここにいる理由は ありません。
佐川を離れようと思います。
彼らに教える日々は あと僅かです。
先生…。
そんな…。 嫌じゃ!(佑一郎)わしも嫌です!
行かんとってください!
先生!あああ…。ハハ。
嫌じゃ!
なあ ふじ… 万太郎が当主としてシャンと育たんがは男親が おらんきじゃろうか?(ふじ)えっ?
万太郎の勉学は男親の代わりじゃないろうか?
何を… 弱気になっちょられますか。
若様の草好きがどういて そうつながるがです?
子供が 石らあ カエルらあにうつつを抜かすがは ようあること。
そのうち つきものが落ちたみたいにシャンとなさいます。
失礼します。 大奥様 蘭光先生が。ん?
まあ 先生…。ああ…。
ハハ 教え子との別れは 慣れちゅうけんど後味が悪くてのう。
一泊 万太郎君をお貸しいただきたい。一泊というがは?
気晴らしに 歩きに行こうかと。
この地の自然を 私が見納めたいがですよ。
おお どういた?
ここに ナンバンギセルが生えちょります!
おまん 早咲きじゃのう。
槙野 一人で行くな。
先生 どこまで行くがですか?
♪~(蘭光の鼻歌)
大丈夫かえ?はい!
ほら。 ヘヘヘ… 仁淀川じゃ。
(万太郎 佑一郎)うわ~!
(蘭光)おう 走れ 走れ!
きれいじゃ!きれいじゃのう!
あ~ 気持ちええのう!
わあ!
♪~
(2人)お~!おら… よいしょ!
アハハハ…!お~!
ほら!おお!
ここで泊まるぞ。
「ここで」って 外で寝るゆうことですか?ああ。
風邪をひきます。
軟弱者め!こんな大きな川 初めて見ました。
ああ 今は こんなに穏やかじゃけんど一度 暴れたら 土地も人も のみ込む。
自然の力は 人よりも大きい。人は それを封じ込むことは できん。
では 共に生きるにはどうしたらえいがでしょう?
ん?
うん… うん…。
佐川では見たことないのう。
おまんらあは川が好きでここにおるがか?
(蘭光)それは 何やと思う?
この葉の切れ込みの具合はトウキじゃないろか?え? どれ?
(においを嗅ぐ音)
違うな。 似て非なるもの。さしずめ イヌトウキといったところか。
トウキとは においが違う。
におい?ああ。
文字の知識を超えて 本物を手に取り初めて 自分だけのもんにできる。
見た目 におい 手触り味。
あっ! 先生 食うた。
こういう確かめ方もある。
毒もあるき何でもかんでも口に入れたら いかん。
これは 食うても えい。
苦い…。(蘭光)ハハハハハ… そやろ? ハハハ…。
さ~て 暗うなる前に夕げの菜を手に入れるぞ~!
ヘヘヘヘ…。
先生 待ってください!