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下にスライドして行って、見てくださいね。

SILK JAPAN80 29MHz FM  2021.08.10 新規UP

発売は、1986年(
無線機MUSEUM参照)なので、2021年現在で、35年前の製品です。
今でも、ネットオークションで結構見かけるので、それなりの販売数だったのですね。

入手してもいいかなぁ~ と、考えた時期もあったのですが、下記の理由で断念しました。
フロントパネルの地色が濃い緑色で、そこに印字してある 赤文字が小さくて、
かなり見づらいんですよね。 (シルバーパネルの物もあるようです。)

メインの機種として、毎日使用すれば、ツマミやスイッチの機能などは、いちいち文字を見なくても
覚えて操作出来てしまうと思いますが、自分的にはダメでした~。

( 画像は、Twitter ラジ和尚@JOOR受信中 様から拝借しています。)



ネット検索で、いろいろと調べて見たら、Pace8035 や、Lovely Mate40 と言う CB機(AM専用機)と、
中の回路構成が、ほぼ同じらしいと言う記述を見つけました。

JE6XXC局の記事 ⇒ FCC40ch CB機 LOVELY MATE40
JE6XXC局の記事 ⇒ 10mモービル機 SILK JAPAN-80Ⅱ

ベースになっているのは、Pace8035です。
この機種は、1977年の時点で アメリカで販売されています。
Worldradiohistory.com ⇒ 1977年6月号の CB Radio S9 Magazine 54(誌面 52)ページに掲載されています。

SILK JAPAN80 のメイン基板は、Pace8035 と ほぼ同じ物ですから
スプリアス基準が ユルユルの時代に設計された物ですね。

Pace8035が 違法CB機として、日本国内でも売られるようになったのは、1980年代になってからのようです。
当時の使用者が、思い出として掲示板に書いたコメントを見ると、スプリアス的な問題が発生していた事が分かります。

東京すわんさんのサイト ⇒ みなさんと東京すわん掲示板 YAHOO珍品カタログ2 


【 回路図について 】

回路図は、当時、取説と一緒に、添付されていたらしく、ネット上にUPされている物を見つけました。
しかし、送信機系統図 などの記載は無いようです。
取り合えず、送信機系統図を作ってみる事にしました。

下記の回路図で、『 FMユニット 』 部分が空欄になっています。
この部分は、受信部 ・ FM復調用の回路なので、分からなくても問題ありません。

( 画像は、Twitter ラジ和尚@JOOR受信中 様から拝借しています。)  文字が潰れていますが、何とか読み取る事ができました。

【 送信機系統図 & PLL系統図 】

パワコン回路や、チャンネル選択回路など、記載しなくても問題ない部分は、省略してあります。
Loop OSCの周波数や、分周比Nなどは、皆さんの手元にある実機に合わせて書き換えて下さい。

※ SILK JAPAN80 は、JARD のスプリアス確認保証可能機材リストに記載がありません。

系統図を、回路図どうりに作成しましたが、よく見たら 29.790MHz って、アマバンドから ハミ出してますね。

取説で、バンド切り替えスイッチの説明では、29.79 の表記ですが、定格の欄では、さすがに 29.70 って書いてある。
当時は、これでも JARL の登録機種だったんですから、ゆる~い時代でしたね。

オフバンドを防止する方法としては、LoopOSC の DX用 水晶 38.525MHz を、取り外してしまうのが一番簡単です。
また、LoopOSC の DX用 水晶 38.525MHzを、-100KHzの 38.425MHz 特注水晶などに交換する方法もあります。


下記の系統図で、そのまま申請すると、通らない可能性があります。
【 修正して下さい 】
CEPT の記載を、39.695~40.395MHz に修正、 → の記載を、29.000~29.700MHz に修正します。



回路図で、PLL-IC M58473P のPD 出力に接続されている Q25 MPSA13 ですが
図面の表記を一見すると I C-Amp? なのかな~と思いました。
実際に、兄弟機の Pace8035 で、その部品を確認した所、モトローラ製のダーリントントランジスタでした。
下記では、Amp と記載していますが、LoopFilter Amp ですね。

下記のPLL系統図で、そのまま申請すると、通らない可能性があります。
【 修正して下さい 】
LoopOSC 38.525MHzの記載を、38.435MHzに修正、  VCO の上と、PLL回路出力の記載を、39.695~40.395MHz に修正します。



【 PLL 受信時の動作 】
(LOW) Loop OSC周波数 ⇒ 38.125MHz  VCO周波数 39.695~40.085MHz  N = 157~196
(D X) Loop OSC周波数 ⇒ 38.525MHz  VCO周波数 40.095~40.485MHz  N = 157~196
VCOの周波数が、受信時の 1st-Mix 用の周波数となります。


【 PLL 送信時の動作 】
送信時も、VCOの周波数は、そのままです。
10.695MHz OSC の出力と、VCOの周波数を混合して、送信周波数を作り出しています。

リピータースイッチを、RPT側に切り替えると、OSCの発振周波数が、10.695MHzから
10.795MHz に切り替わり、送信の時だけ周波数が-100KHz 低くなります。


【 スプリアスの考察 】
10.695MHz & 10.795MHz OSC の直後に FL-2 10.7MHz のモノリシックフィルターが挿入されています。
これは、n倍の高調波成分をカットする為だと思われます。
このような使い方は、なかなか見ないですね。 = スプリアスを抑え切れなかったと言う事でしょうか。

この無線機で使用できる上限の周波数は、29.700MHz(29.690MHz)です。
10.695MHz OSC の3倍高調波は、32.085MHz となります。
32.085 - 29.700 = 2.385MHz しか差がありません。

ミキサー後に、バンドパスフィルターを入れたとしても、約2MHz の違いでは十分な選択度が得られず、
目的の周波数だけを通過させるのは難しいです。
苦肉の策として 高調波をカットする為に 10.7MHz のモノリシックフィルターを挿入したのだと思われます。
でも、取り合えず、ミキサーの後に バンドパスフィルターは入れて欲しかったですね。


【 取り扱い説明書 】
送信部の定格を見ると、スプリアス発射強度が -40db以下とあります。
この時点で、すでに新スプリアス対応が、かなりキビシイですよね。
外付けのバンドパスフィルター等で 新スプリアス基準がクリア出来るのかは、実際に測定して見ないと何とも言えません。

( 画像は、Twitter ラジ和尚@JOOR受信中 様から拝借しています。)



バンド切り替えスイッチ DX 側で、29.79MHz って、バンド外に、90KHz はみ出してます。



調整方法などは、実機が無いので記載していません。
兄弟機の Pace8035 と、Lovely Mate40 は、手元にあるので、どうするか考え中です。

この、SILK JAPAN80 ですが、元々 系統図が添付されていないのでしょうか。
新スプリアス規格になってから、TSS や、JARD の保証認定を通して使用している局は、
少ないのでは、と思います。

オークションに出品されているのを結構見かけますが、簡単に新スプリアスの保証認定を
受けられないと考えたら、コレクター以外の皆さんは、手放しますよね。

変調方式が違うだけで、送信回路は、Pace8035 と同じ物なので、気が向いたらスプリアス値も測定して見たいと思います。
取り合えず、皆さんの参考になれば幸いです。



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