「残りの洗濯物も回してきました！！！！！！！！！！！！！！！！」
「あとは待つだけです。お茶でも入れましょうか」

そんな陽気の中でも花丸元気印のエールちゃんと、頭にタオル巻いてやる気満々のソングラインちゃんが戻ってくる
この二人も今日はオフなのだが、こっちが洗濯物一気にやっちまうかと決めたことをどこからか聞きつけて駆けつけてくれた
本当にいい後輩たちだよなぁ………と、そうそう
いい後輩といえば、だ

「ぁ、あの………こちらも、終わりました………」

空の洗濯籠を持って、おずおずと姿を現すそのウマ娘
目を隠すその前髪の下では気弱そうな目がこちらを見ていて、なんかこう小動物的な庇護欲を掻き立てるその姿

「ありがとうッス、ハギノモーリスちゃん。んじゃま、ソングラインちゃんの言う通り休憩にしますか。手洗って、お茶準備するッスよ」

新入部員（仮）、ハギノモーリスちゃんもこうして参加してくれているわけだし
ほんといい後輩持ったなぁ、と改めて実感しつつ手を洗いに小屋に戻る
差し込む日差しあたたかな休みの今日、プレハブ小屋はいい洗濯日和だった

●

「急に決めたことなのにわざわざみんなありがとうッス」

昨日作ったマカロンと紅茶でお茶にしながら、手伝ってくれた面々にお礼を言う
プイ先輩はなんかハムスターみたいにマカロン食べてるけど、放置でいいか

「ぃ、ぃぇ………その、時間は空いてましたし、こういう作業も部活の一環ですし………」
「こういう日にお洗濯するとポカポカで気持ちいいですからね！！！！！！！！！！！！！！！」
「それに、最近天気も変わりやすいですからこういう日を逃すといつできるかわからないですし………」

やっぱり、みんな綺麗好きだからね
マカロンもなかなか好評のようでなによりだ。手間暇かけてカラフルに作った甲斐があったというもの
マカロンって見栄えもいいからお土産とかにもピッタリなんだよなぁと。始めてやった時はこんなもん作るれるのかと思ったけど、慣れてしまえばなんのことはなかった

「こういう日に干した布団も気持ちよく眠れるんスよね」
「あ、わかるプイ。干した後のお布団ってなんかいい匂いしてよく寝れるプイ」

実際今日同室のシオンを叩き起こして布団干してきたので、後で戻って取り込まねば。お土産にマカロンでも持っていけばいいだろう
流石の流石に今日は天気の急変もないだろうし。のんびりできるというものだ

「本当は大掃除までやっちゃいたかったんスけどね。ま、それは次の天気いい時にでもやっておくッス」
「先輩、改めて本当にマメですよね………」
「もっと言えば草刈りもやっちゃいたいんスよ。だんだん伸びてきてるんで」

そう言って窓の外を見るが、いやはやなんとも
もっさもさに伸びちゃってる部分も何か所かある。今のうちに始末しとかないと、手が付けられないことになりそうだ
桜が散って冷え込む日も減ってきたと思ったらすぐこれだ。鎌とか出しておかないと………おっと、それもそうだが

「草刈り機の使用許可もとっておかないとッスねぇ」
「く、草刈り機ですか！？」
「またおねーちゃんとのコンビでやるプイ？」
「そうッスね。聖剣先輩あたりいれば一番なんスけど」

ハギノモーリスちゃんは驚いているが、これもこのチームの特色なので慣れてもらうしかない

「きょ、許可降りるんですか？」
「前は降りたよ。私もやらせてもらいたかったけど、それは駄目って言われちゃって」
「電動でもいいので一個備品でほしいですね！！！！！！！！！！」

そうなんだよなぁ、と。ただそれは流石に難しいか
というのも、流石の流石に回転工具を扱わせるのは学園側としてはあまりいい顔をしないようで
前にチェーンソー勝手に使ってたら速攻でバンブーポリス飛んできたのはいい思い出だ。小屋の補修作業のグラインダーですら渋られたんだし
本当はマジで備品でほしいのだけど………

「それに、今後のこと考えると敷地しっかり確保しておきたいッスからね」
「ぷきゅ？今度何かあるプイ？」
「あ、もしかして例の件、正式に決まったんですか？」

そうそう、すっかり忘れていた。ついでだ、そのことの報告も兼ねてしまおうか

「今後もっと人数増える可能性と、今でさえカッツカツなスペース。これらを鑑みて、近いうちにプレハブの増築工事が入ることになったッス。つっても、明日明後日の話じゃないし詳しい日取りはまだ未定ッスけど」
「ついにですか！！！！！！！！！！！！！！！！！！！！」
「いうて、少し広くなるくらいッスけどね。今よりは全然スペースも増えると思うッスよ」

ハギノモーリスちゃんの仮加入から、いやその前からずっと話には出ていた、プレハブ小屋の手狭さの件。これの解決案がついに出たのだ
というか、もともと姉御や聖剣先輩、トレーナーを介して学園側に話はしていたのだけど、ようやっと許可が下りたって感じで
正直ハギノモーリスちゃん一人増えただけでも結構あちこち片づけてスペース確保しないといけなかったし、今後人数が増える可能性を考慮すると放置してもおけなくなったのだろう
なんだかんだウマ娘に必要なことはしっかりやってくれる学園で助かった。これで頭痛の種が一つ消えたわけだし

「そもそも今までが狭すぎたってのもあるんスよ。つーわけで、近々大掃除と片付けがあるんでみんな協力よろしくッス。もちろんプイ先輩も」
「………そういえば最近結構また私物増えてたプイ」
「忘れがちですけど、本当に忘れがちですけど先輩って本来別チームなんですよね……」

コクコクと頷いて同意するハギノモーリスちゃん。うん、君も最初勘違いしてたもんね
しかし久々に大掃除となると腕が鳴る。この際、いらん物は徹底的に捨ててまた綺麗さっぱりしてから新しいプレハブを迎えようじゃないか
フリマとかで不要物どんどん吐き出しても、すぐにまた部屋が埋まるのっていったい何なんだマジで。毎日のように片づけても追いつかないあたり本当に謎だ

「せっかくだし裏庭に家庭菜園でも作るプイ？どっかの覇王のチームみたいに」
「あそこのはもう家庭菜園ってレベル飛び越えて普通に農場になってきてるッスから……」
「この間もニンジンおすそ分けもらいましたね！！！！！！！！！！！！！！！！山盛りでした！！！！！！！！！！！！！！！」
「あ、あれ家庭菜園だったんですか！？てっきり、ぎょ、業者からかと……！！」
「まぁうん……そのうちに慣れるよ」

そうして休憩時間を過ごしていると、小屋の裏から聞こえる電子音
洗濯が終わったようだ。さて、そしたらさっさと干してしまおうか

「終わったみたいッスね。じゃあさっさと片付けて、そしたらしばらくまたのんびりして帰りますか」
「ぷっきゅう。なんかもうすぐにでも寝れそうなくらいポヤポヤしてたプイ」
「昼寝はこの後ッスよ。さ、やっちゃいましょ」

正直、自分もちょっと眠くなってるしね、なんて

●

「………………………」
「………………………おぅふ」
「………ﾌﾟｷｬｰ」

小屋の外、洗濯機の前
顔を真っ赤にして固まってしまったハギノモーリスちゃん。プイ先輩も大体おんなじ感じになっちゃった
そしてソングラインちゃんは………『それ』を手に持って、尻尾もピーンと立って固まっちゃった
何より、この場の誰よりも顔を真っ赤にして固まってしまっているのは………

「………違うんです」

なんか、前にもこんなことあったなぁ………しかも何回か

「その………普段はこういうのばっかりじゃなくて………」

エールちゃんは、なんかもう見てられないほどに顔を真っ赤にして俯いちゃって
ああ、もう。顔から火が出そう、とはまさにこのことか。目に涙溜めてふるふるしちゃってるし

「違うんです………普段こんなスケベなのばっかりじゃなくて………」

ソングラインちゃんが持っているのは……艶やかなグリーンの下着
それも、レースましまし、若干一部透けてる所もある。ていうか、結構な部分すけすけ………
それにその、なんか………うん。めっちゃ大きいよね

「………また大きくなったプイ？」

プイ先輩の言葉がトドメになって、カクンとその場に膝から崩れ落ちてしまった
うん、間違いない。前に見たそれよりも確実にサイズアップしてる。まだ大きくなるとは………
ソングラインちゃんは………なんかもうダメそうだ。尻尾と耳をピンと立たせて固まったまま、ブツブツと小さい声で「おのれメイケイエール………」と呟くマシンになり果ててしまった
と思ったら、ちらっと自分のそこを見て

「………………ｷﾞﾘｨ」

めっちゃ歯ぎしりしてる。凄い顔で歯ぎしりしてる

「違うんです………エール、スケベな子じゃないんです………違うんです………」
「ｵﾉﾚﾒｲｹｲｴｰﾙ………」
「………ぁ、ぁの、大丈夫………でしょうか」

そっか、ハギノモーリスちゃんはこの光景は初めてだったか
そっとしておくッスよ、と小声で耳打ちして洗濯籠を担ぎ干場に向かう

「ほ、本当に大丈夫でしょうか………」
「なんだかんだ喧嘩とかにはならないし、前にも何度かあったことなんで放置で大丈夫ッスよ」
「むしろ下手に手を突っ込んだら火傷しそうプイ」

プイ先輩の言う通り、変に刺激しないで自然に沈下するのを待とう。エールちゃんにはちょっと申し訳ないけど
ハギノモーリスちゃんは不安そうな顔だけど………いやなんか、自分のを見てちょっとため息ついてる。この子も若干ダメージ受けたなこれ
いや、うん………あの戦闘力を目にするとそうなるのはわかるけどさ
かくいう自分やプイ先輩も初見ではかなりダメージ受けたし

「まあ、さっさと干しちゃいましょっか」
「そ、そうですね………」
「洗濯バサミ借りるプーイ」

そうして、作業再開。物干し竿に次々に洗濯物を干していく
途中、復活したエールちゃんとソングラインちゃんも合流して全員で。流石にこの人数でやっていくと早い早い、あっという間に終わりが見えてくる

「んー、もうそろそろ終わりプイ？」
「そうッスね。この分ならしっかり乾いてくれるでしょうし、問題も無さそうッスね」
「こっちももう終わりです！！！！！！！！！！！！！！！」

改めて空を見ると、相も変わらず雲一つない晴天で
ここから天候が崩れるとしたらそりゃもう天変地異の類だ。諦めるしかない
最後の洗濯物をしっかり干して、これでオッケー。洗濯籠は全て空になって、洗濯物の全てはそよ風になびいている
一人だったら今頃もまだせっせせっせとやっていたことだろう。やはりみんなに来てもらえて本当に助かった

「いやー、本当に助かったッス。さ、もう一休みしてから解散にしましょ」
「あれ？取り込みはどうするプイ？」
「それはウチがやっておくんで大丈夫ッスよ。そのくらいは簡単なもんッスから」

みんなぞろぞろと部屋に入って、手を洗ってテーブルの周りへ
もう一度紅茶でも淹れようか………と思った時だった
ポケットに入れてた携帯が、メッセージの着信を告げる。誰だ一体、と思って見て見ると

「………うげぇ」

思わず、白目を剥きそうになってしまう。いやー……久々に来たなぁ………

「ど、どうしたんですか………？な、何か問題でも………」
「めっちゃ白目剥いてるプイ。ここまで凄い顔は久々に見たプイ」

そりゃそうですよ。こんなこと早々起きてたまりますか

「………姉貴が商店街で窃盗犯を撃滅したそうなんで。ちょいと、引き取りに行ってくるッス」
「げ、撃滅！？」
「久しぶりですね！！！！！！！！！！！！！！！！！！！」
「ひ、久しぶり！？」
「おぉう………またやったプイ」

そうそうこれもハギノモーリスちゃん初体験だったよね。体験させたくなかったけどさ
ただでさえ姉貴の事ちょいと怖がっちゃってるのに。後でなんて説明すればいいのやら

「先輩、一緒に行きましょうか？」
「いやー、流石にこれは。一人で行くんで、みんな好きな時に解散しちゃって大丈夫ッスよ。誰か、カギ持ってるッスよね？」
「持ってます！！！！！！！！！！！！お気をつけて！！！！！！！！！！！！！！」
「お、お気をつけて………？」

未だ事態が吞み込めてないハギノモーリスちゃんと、あーはいはいみたいになってる他のメンバーに手を振って、その場を駆け出す
あのアホ姉貴、また面倒ごとを持ち込みおってからに。いやまぁ、またお年寄りが被害に遭ったとかそんな感じなんだろうけどさ。わかるけど
なんかもう、逆に犯人がどの程度無事で済んでるのかを考えてしまうのは染みついた妹の性か

「さー、さっさと回収しにいくッスよー」

割と憂鬱な気分になりながら、トレーナーにメッセージを転送して現場へと駆けて行った

●

「いやぁ、久々に疲れたッスねぇ………」

あれから少し経って、時刻は夕方前の昼下がり。思ったよりは早く終わったが、疲労感がものすごいことになっていた
姉貴とは学園に戻ってきてから別れて、向こうは駆けつけたトレーナーと行動してるはず
トレーナー、久々にシワシワになっちゃってたなぁ………マカロンでも持っていくか

「今回は比較的被害軽くて済んだけど……あのちびっこ怪獣は………」

さあ、一休みしたら洗濯物取り込んじゃわないと
ぶつくさ言いながらプレハブの中に入ろうとした時……違和感を覚える

「あれ？鍵開いて………」

まさか、まだ帰ってなかったのか。解散していいと言ったのに
若干焦って扉を開けて、室内に入ると……

「………おぉう」

そこには……ちょっと予想外の光景が広がっていた

「みんな、熟睡ッスねぇ………」

その場には、確かに先ほどまでと同じ全員の姿があった。ただ、差し込む日差しの下のその誰もが夢の中で
ぷきゅきゅきゅ………とか変な寝言漏らしながら寝てるプイ先輩。猫のように体を丸くして眠っているハギノモーリスちゃん
ソングラインちゃんを抱き枕にして寝てるエールちゃんに、その胸に埋もれて若干息苦しそうなソングラインちゃん
そういえばプイ先輩も最初のころから眠い眠い言ってたし、全員一仕事終えて電池切れちゃったか。春の日差しがそれを手助けしたのだろう

「お疲れ様ッス」

マスクを外して一息つく
思えば今日一日、休みの合間のちょっとした作業のつもりがずいぶんと賑やかな一日になってしまった
早く戻って布団を取り込まないととか、夕飯の時間とか、色々急ごうとする理由はあるけど

「……洗濯物。取り込むだけ取り込んでおくッスかね」

あんまりそうせかせかしなくてもいいか、なんて
今日はなんとなくそんな気分だ

「と、その前に」

そーっと物音を立てないようにして、タオルケットを取り出す
それを、寝ている彼女たちにそっとかけて
上手い事起こすことなくできた。あとはゆっくり休んでおいてもらおうか

「ハギノモーリスちゃんも、プレハブで眠れる程度には慣れてくれたってことでいいんスかね」

だとしたら、嬉しいけど
外に出て、洗濯物をカゴに仕舞い取り込んでいく
まだ夕日の気配はない。もう少しくらい寝ていてもらっても問題はないだろう。本当に用事があるなら先に帰ってるだろうし
何より、あんなに穏やかな寝顔を見せられて即たたき起こすのは良心が咎めるというものだ

「なんならウチも少し寝ていくッスかねぇ………」

アラームかけておけば事故らないだろう、多分
洗濯物もよく乾いてる事だし、今日は一日徹底的にのんびりさせてもらおうか。門限破らない程度に、だけど

「ほんと………いい天気、ッスね」

桜はもう散ってしまったけど、春はまだこれからだ
きっと去年以上に騒がしく楽しくなるだろう新しい季節の流れに少しだけ期待しながら、カゴを抱えて小屋へと戻る。みんなが起きないように、そーっと。そーっと
結局みんなで起きたのは夕方になってしまって、少し慌ただしくなてしまったけど
穏やかな休日は、洗濯物の香りと心地よい睡魔とで終わる事になった

以上。洗濯機が壊れたので酒飲んで舎弟した

ありがとういい舎弟です

やっぱりえっちな下着してるんだねエールちゃん…

姉貴が相変わらずで安心する

>やっぱりえっちな下着してるんだねエールちゃん…
大きいからそういうデザインばっかりになるのかもしれない
それはそれとしてエールちゃんはスケベ

だってエールちゃんだし…

洗濯機が壊れるってなに
十年くらい屋外で使ってたの…？

関東ってもう葉桜なの？
こっちはまだ咲いてないんだけど

>関東ってもう葉桜なの？
>こっちはまだ咲いてないんだけど
関東だが地元はもう散っちゃって葉桜がほとんどだなぁ

>>関東ってもう葉桜なの？
>>こっちはまだ咲いてないんだけど
>関東だが地元はもう散っちゃって葉桜がほとんどだなぁ
やっぱ暖かいと違うなあ
こっちは5月にならないと咲かないよ

>洗濯機が壊れるってなに
>十年くらい屋外で使ってたの…？
何か突然異音がしてガタガタいうようになっちゃったのです
多分異物かと

>関東ってもう葉桜なの？
>こっちはまだ咲いてないんだけど
学校に植えてるような早い品種だと3月下旬にはもう咲いて今頃は散っちゃってる
いまは八重桜が見ごろ

ソングラインちゃんのはどっちかというと胸筋…

暖かくなってくると洗濯物に虫が入り込むことがあるから注意しようね

ハギモちゃんも色々慣れないとね

>ソングラインちゃんのはどっちかというと胸筋…
メお
イの
ケれ
イ
エ
丨
ル

おのメイマシーン…