弁理士は、合格率が10%にも満たない難関資格だといわれています。
はじめて資格取得に挑戦する方にとっては、弁理士試験の難易度をイメージしづらいのではないでしょうか。
そこで今回のコラムでは、弁理士試験の難易度を他資格と比較しながらランキング形式で紹介します。
目次
弁理士試験2022年度の最終合格率は6.1%
特許庁の2022年11月10の発表によると、令和4年度(2022年度)の最終合格率は6.1%。
志願者数3,558人、受験者数3,177人の中で、合格者数が193人でした。
令和3年度の合格率が6.1%であったため、合格率の観点では昨年と同程度という結果になりました。
最終合格率が6.1%ということは、100人受けて約6人合格ということ。弁理士試験は理系最高峰資格の一角であると言われるのも納得の難しさです。
また、以降の項目で詳細に見ていきますが、合格率6.1%というのは他の国家資格・士業資格と比較してもかなり難易度の高い部類に位置します。
試験は「短答」「論文」「口述」の3つに分けられており、これらを順番に合格していく必要があります。
そうしたこともあり、合格者の平均受験回数が3.7回、必要な勉強時間の目安が3,000時間と、合格までには相当な受験回数、勉強時間が必要であると言えるでしょう。
まずは以下で、最終・短答・論文・口述といった試験別の合格率について、過去6~7年分の結果を見ていきます。
その次に、職業別、理系文系別であったり、年齢別・男女別など様々な項目でのデータを見ていきます。
弁理士試験の合格率とその推移【最終・短答・論文・口述】
弁理士試験は、短答式試験、論文式試験、口述試験という3種類の試験からなります。
短答→論文→口述と順に合格していくことで、口述合格後に「弁理士試験最終合格」となります。
今回は合格を
・最終合格
・短答式試験合格
・論文式試験合格
・口述試験合格
にわけて、それぞれの合格率・合格者数とその推移を見ていきます。
弁理士試験最終合格率:例年6~10%
特許庁によると、令和4年度弁理士試験最終合格率は6.1%でした。
また、過去7年の合格率を見ると、最大で9.7%、最低で6.1%と、例年の合格率はおおよそ6~10%であることが伺えます。
年度 | 合格率(合格者数/必須科目受験者数) |
令和4年 | 6.1% |
令和3年 | 6.1% |
令和2年 | 9.7% |
令和元年 | 8.1% |
平成30年 | 7.2% |
平成29年 | 6.5% |
平成28年 | 7.0% |
なお、令和3年については、その前年の合格率がここ数年で最大の9.7%であった為、その揺り戻しで低く出た可能性があります。
短答式試験合格率:例年9~20%
特許庁によると、令和4年度弁理士試験短答式筆記試験合格短答式試験の合格率は10.3%でした。
また、過去7年の合格率を見ると、最大で20.1%、最低で8.9%と、例年の合格率はおおよそ9~20%であることが伺えます。
年度 | 合格率(合格者数/短答式試験受験者数) |
令和4年 | 10.3% |
令和3年 | 11.3% |
令和2年 | 18.2% |
令和元年 | 18.3% |
平成30年 | 20.1% |
平成29年 | 8.9% |
平成28年 | 15.5% |
論文式試験合格率:例年25%前後
特許庁によると、令和4年度弁理士試験論文式筆記試験合格短答式試験の合格率は26.3%でした。
また、過去7年の合格率を見ると、最大で26.3%、最低で24.2%と、例年の合格率は25%前後であることが伺えます。
年度 | 合格率(合格者数/必須科目受験者数) |
令和4年 | 26.3% |
令和3年 | 25.1% |
令和2年 | 25.0% |
令和元年 | 25.5% |
平成30年 | 23.9% |
平成29年 | 24.2% |
平成28年 | 25.3% |
一見短答式試験より合格率が高く思えますが、これは受験資格による影響もあると考えられます。
論文式試験は、短答式試験合格者「のみ」が受験可能。
短答合格レベルの知識を保有する人が受験する為、受験者の母集団の知識量は相当なものであると考えられます。
そのため、数字以上に体感としての合格率は低いものと考えた方が良いでしょう。
口述式試験合格率:例年90%以上
特許庁によると、令和3年度弁理士試験口述式筆記試験合格短答式試験の合格率は90.2%でした。
また、過去6年の合格率を見ると、最大で98.6%、最低で90.2%となっています。
年度 | 合格率(合格者数/必須科目受験者数) |
令和3年 | 90.2% |
令和2年 | 98.6% |
令和元年 | 95.6% |
平成30年 | 94.0% |
平成29年 | 98.4% |
平成28年 | 93.9% |
弁理士試験に限らず、多くの資格試験において、最終試験が面接形式の試験である場合、その合格率は高く出る傾向があります。
しかし、合格率が100%でないという事は、受験者の内わずかながら不合格者が出るという事。
合格率が高いからと油断せず、最後まで勉強・対策を怠らない事が重要となってくるでしょう。
弁理士試験合格者の年齢別・職業別・男女別などの傾向
年齢別の傾向
弁理士試験合格者を年齢別に見ていくと、20 代が34.2%、30 代が36.3%、40 代が22.3%、50 代が6.7%、60 代が0.5%となります。
最年少が20歳、最年長が61 歳でした。
ボリュームゾーンとしては30代が最高で、時点で20代という結果になりました。
職業別の傾向
弁理士試験合格者を職業別に見ていくと、会社員が45.6%、特許事務所が33.2%、無職が6.2%、公務員が4.7%、学生が3.1%、法律事務所が2.1%、自営業が1.0%、教員が0.0%、その他が4.1%でした。
職業別としては会社員が最多、特許事務所が次点となりました。
弁理士試験は非常に難易度が高い試験であるため、学生の内に簡単に取得できるとは限らず、社会人になって働きながら取得を目指す人が多いことが伺われます。
男女別の傾向
男女別の傾向としては男性が68.9%、女性が31.1%でした。
例えば司法試験では女性の合格者割合が2022年度27.7%で例年30%を超えないことからも分かる通り、女性の合格割合31.1%というのは、資格試験という枠内で考えれば多い方であると言えるでしょう。
※関連コラム:弁理士は女性も活躍できる仕事?割合や女性の続けやすさを解説
出身系統(理系か文系か)別の傾向
出身系統別で見ると、理工系がおよそ8割と、方文系の約2割に比べかなり多くなっています。
弊社コラム弁理士は理系の多い資格?それはなぜ?理系最高峰の資格についてでも述べている通り、特許出願など、最先端の科学技術への理解が必要となることから理工系出身者が多くなっていると思われます。
一方で、弊社コラム文系の弁理士に需要はある?年収や就職・転職の求人例、難易度を解説でも述べている通り、文系出身者であっても意匠や商標といった知的財産分野では活躍の余地が大いにあると言えます。
受験(免除)種別の傾向
弁理士試験は短答式、論文式、口述式という3段階の試験にて選考されますが、短答式と論文式には免除制度があります。
短答受験者がおよそ37%であるのに対し、免除者が約53%と、短答式試験は免除制度を活用する人が多くなっています。
なお、弁理士試験の免除制度に関する詳細は以下のコラムを参考にしてみてください。
※関連コラム:弁理士の受験資格と免除制度について徹底解説
合格率で見る弁理士の国家資格難易度ランキング
税理士や行政書士などを含めた8士業の合格率をもとに、弁理士の難易度を見ていきましょう。
順位 | 資格名 | 合格率(例年) | 受験資格 |
1 | 司法書士 | 3~4% | なし |
2 | 社会保険労務士 | 4~6% | あり |
3 | 弁理士 | 6~10% | なし |
4 | 土地家屋調査士 | 7~9% | なし |
5 | 行政書士 | 8~15% | なし |
6 | 税理士 | 12~15% | あり |
7 | 弁護士 | 22~39% | あり |
8 | 海事代理士 | 48%~54% | なし |
8士業と比べてみると、弁理士試験の難易度がいかに高いのかがわかります。
また、弁理士試験の平均合格率は6~10%です。受験者が100人いたとすると、合格できるのはわずか6~10人という計算ことになります。
弁理士の試験に合格するには、精度の高い解答が試験において必要です。そのためには、出題傾向を把握した効率的な試験対策が重要だといえるでしょう。
弁理士試験は難化している?
特許庁によると、令和4年度弁理士試験の最終合格率は6.1%でした。
受験者数3,177人のうち、合格者数は193人です。
以下で弁理士試験の難易度の変化について調べてみました。
最終合格率 | 最終合格者数 | |
平成28年度 | 7.0% | 296人 |
平成29年度 | 6.5% | 255人 |
平成30年度 | 7.2% | 260人 |
令和元年度 | 8.1% | 284人 |
令和2年度 | 9.7% | 287人 |
令和3年度 | 6.1% | 199人 |
令和4年度 | 6.1% | 193人 |
上の表は平成28年から令和4年までの最終合格率をまとめたものです。
この表から弁理士試験の最終合格率は令和元年と令和2年に少し高くなっているものの、その他の年は6%~7%程度となっており、あまり変化はみられません。
過去十年の結果をみてもこの数字にはあまり変化がないことから、弁理士試験の難易度は今後も同水準で維持されるものと考えられます。
一方で弁理士試験の受験者数は年々減っていることから、弁理士の人数が過剰に増えてしまい資格の価値が低下してしまう可能性は今後も低いといえるでしょう。
勉強時間で見る弁理士の難易度ランキング
ここからは、勉強時間をもとに弁理士の難易度を見てみましょう。
司法書士や税理士を含む8士業それぞれの勉強時間は、以下のようになっています。
順位 | 資格名 | 勉強時間(約) |
1 | 弁護士 | 3,000~8,000時間 |
2 | 弁理士 | 3,000時間 |
2 | 司法書士 | 3,000時間 |
3 | 税理士 | 2,000~2,500時間 |
4 | 土地家屋調査士 | 1,000時間 |
5 | 行政書士 | 800~1,000時間 |
6 | 社会保険労務士 | 800時間 |
7 | 海事代理士 | 500時間 |
初めて資格取得の勉強にチャレンジする人が、弁理士試験に合格するために必要な勉強時間の目安は3,000時間といわれています。
1年間で資格取得を目指すとしたら1日に8時間、1年半であれば少なくとも5〜6時間前後の勉強が必要です。
弁理士試験は、長期間にわたり継続して勉強時間を確保しなければならず、資格取得を途中で断念してしまう人も少なくありません。
独学が難しいと感じたら予備校の活用も!
以上見てきた通り、弁理士試験は非常に難易度が高いです。
独学での合格が難しいと感じた場合、予備校を活用するというのも一つの手です。
中でもアガルートでは、時間や場所を選ばないオンライン形式で、比較的リーズナブルな価格で魅力的な講座を提供しています。
論文式試験民法に特化した講座も用意しています。
まずは無料の資料請求や受講相談からしてみてはいかがでしょうか?