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ぼっち罪 - N Sの小説 - pixiv
ぼっち罪 - N Sの小説 - pixiv
4,332文字
ぼっち罪
後藤ひとり視点で、星歌さんの秘密を知ってしまったことから罰を受ける話。ギャグです。一応ぼっち戦争(novel/18806839)の続編です。単体でも読めます。

これまたあとがき的な事ですが、虹夏もぼっちの着た姿を見たいと思ってるのでぼ虹タグも付けました。
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2022年12月4日 12:28

「お、お疲れ様です…」
 とある日、私は一人でSTARRYへ来ていた。というのも、喜多ちゃんは友達に何かを頼まれていたらしく『ごめんねひとりちゃん!今日は先に行ってて!あと店長さんと先輩達にも少し遅れますって言っておいてほしいの!』と頼まれたからだ。
 最近はずっと喜多ちゃんとSTARRYまで来ていたし、入っていたから、後をついていくだけで良かった。なんならまだこの街、下北だって怖い。
 …返事は無い。店長さんの姿は見えないし、虹夏ちゃんとリョウ先輩もまだ来てないみたいだ。…心細い。いつもなら喜多ちゃんと一緒に入って、みんなが集まるまで雑談したり先に練習したりしてた。
「あ、あの…!」
 少し大きな声で声を出してみたけど、やっぱり返事は無い。店長さんもどこかに出掛けてるのかな…。いつもなら一人なんて平気なのに、なんだか心細い。そうだ、いつものゴミ箱の中に入っていよう。あそこなら安心出来る…
 ノソノソと隅にあるゴミ箱に入り、ギターも荷物も含めてスッポリと入った。うぅ…早く誰か来ないかな…。そんな事を思っていると、なんだか眠くなってきた。誰か来るまで寝てようかな、いいよね、おやすみ私…。
 
 ハッと目を覚ます。あれ、私何してたんだっけ…あ、そうだSTARRYに一人で来て、みんなを待ってたんだ…どのくらい寝てたんだろうと思ってたら、声がした。
「はぁぁぁぁぁ…」
 …すごく長いため息。この声は店長さんだ。用事から戻ってきたのかな。何か悩んでるみたい。私がいるって気づいてないみたいだし早く挨拶しないと…
 そう思ってゴミ箱から抜け出そうとした時、店長さんが呟いた。
「ぼっちちゃんまだかな…早く会いたいな…」
…え?い、今店長なんて言った?幻聴?幻聴かな?幻聴だよねうん。
「いつもならもう来てる時間なんだけどな…」
 あっはい。来てます。来てますけど、なんか出にくいだけです。
「あ、この服、ぼっちちゃんに着させたら可愛いだろうな…この前のメイド服も良かったし…えへへ」
 カチカチ、カタカタという音が聞こえる。どうやらパソコンをいじってるらしい。ていうか服って…えっまた何か着させられる…!?
「これもいい、あ、これもいい…」
 な、なんかグフグフしてる…。
 私は店長さんの頼みを断れない。いや、店長さんに限ったことではないのだけれど、特に店長さんからお願いされると圧を感じるのだ。この前も『今後の人生に関わる』って言われたし、私のせいで誰かの人生が狂ってしまうのだけは耐えられないから素直に聞いた。まぁ、あの時はメイド服を着て立っていれば終わったから、恥ずかしかったけどなんとかなった。いさあ、いや、なんか台詞も言わされた気が…

 …あれ?なんか静かになった?もしかしてまたどこかに行ったのかな… 音を立てないように、ゆっくり顔を出すと、パソコンをいじっている店長さんの後ろ姿が見えた。あ、呟いてなかっただけなんですね…
 な、何をしてるんだろう。気になってパソコンの画面を見てみる。私の視力は2.0あるから、割と遠くでも見えるのだ。ジーッとパソコンを見つめる。そこに映っていたのは、昔、店長さんに服従のポーズを取った格好の私だった。それだけじゃない、店長さんは次々とフォルダのページを送り、ギターの練習をしている後ろ姿の私、喜多ちゃんと雑談している横顔の私、そしてこの前撮ったメイド服の私と、とんでもない量の私だらけの画像フォルダだった。 いや、よく見るとフォルダ名【ぼっちちゃん♡】だ。
 あ、あれずっと目をつけられて監視されてると思ったけど、店長さんって意外と私の事好きなのかな…へへ…
 でも流石に動揺して、身体のバランスを崩してしまう。そして私は、ゴミ箱ごと前に倒れた。
「ぐぇ!!」
「うわぁぁぁ!」
「うわ、ごめんなさいごめんなさい!隠れててごめんなさい、生きててごめんなさい!」
 驚いて椅子から落ちた店長さんに必死に土下座をする。もう終わりだ…今度こそクビだ…
「ぼ、ぼっちちゃん…いつからそこに…」
「え、えっと、入ったら誰もいなくて、店長さんもいなかったから、だ、誰か来るまでゴミ箱の中で待ってようと……」
「そ、そうか…えっと、いつから見てた…?」
 そう言って店長さんはノートパソコンをゆっくり閉じた。 
 ヒッ、まずい。ほとんど最初から見てたなんてバレたら確実にクビだ…
「い、いいや、何も見てません」
私は全力真顔で横に振って否定する。
「嘘つくなぼっちちゃん!待ってたってことは、かなり前からそこに入ってたんだろう!?」
「は、はい!見てましたすみませんすみません!」
「頼むぼっちちゃん!見なかったことにしてくれ!頼む!」
 肩を掴まれぐわんぐわん揺らされる。の、脳が揺れる…
「あ……う………」
「はっ!すまんぼっちちゃん、強すぎた…」
「い、いえ…大丈夫です…」
 なんとか意識を取り戻し、目の前の店長さんを見上げる。
「うっっっ!ぼっちちゃんの上目遣い、可愛すぎるだろ………くっ」
「あ、て、店長さん、大丈夫ですか…」
店長さんが胸に手を当ててハァハァしてる…大丈夫かな…。私は慌てて店長さんの背中をさする。あ、こんな私に心配されたら逆効果かもしれない。
「ありがとうぼっちちゃん…やっぱりぼっちちゃんは優しいし可愛いな…」
「えっあっ、えっと、ありがとうございます…へへへ…」
 思いきり揺さぶられたり褒められたり、今日の店長さんはなんだか変だ。すると急に店長さんが真剣な顔に戻った。
「でもな、ぼっちちゃん。それはそれとして、あのフォルダを見られたからにはそれ相応の罰が必要なんだ」
「えっ、えぇ!まさか…」
 ク、クビ!?それだけは…それだけは阻止しないと…!
「そ、そんな、わ、私嫌です…これからも(お金稼ぐために)店長さんのところ(STARRY)にいたいです………」
「ぐはぁっ!ぼっちちゃん…私を殺す気か…?」
「えっまっまさか、そんなことしません…」
「これが無自覚天然ぼっちちゃんの力か…私は屈しないぞ…!」
 なんだかすごく気合を入れている店長さん。一体何の覚悟を決めているんだろう…?
「で、でもなぼっちちゃん。罰は罰だ」
「うぅ…やっぱり避けられないんですね…」
「あぁ」
やっぱり無理か。喜多ちゃん、虹夏ちゃん、リョウ先輩、PAさん、今までお世話になりました…
「ぼっちちゃんには罰として、これを着てもらう!」
「…あ…え?」
そう言って自信満々に店長さんが掲げたのは、ビキニだった。しかも水玉の、かなり露出が激しいやつだ。
「な、なんですかこれ…」
「ふっふっふ。こんなこともあろうかと、いつかぼっちちゃんに着せるために買っておいたんだ!」
「は、はぁ…」
 え、ていうかむしろ、これ着るだけでいいんですか…?そんな優しい罰でいいんですか…!?店長さん、やっぱり優しい、好き!!
「こ、これを着ればいいんですね」
「そうだ。これ着て、この前みたいに控え室で着替えて、そしたらまた写真と動画撮らせてくれるだけでいいから」
「わ、分かりました!着替えてきます!」
「よし、頼んだぞぼっちちゃん!」
「は、はい!」
「お姉ちゃんただいまー!今日はリョウが用事あるから来れないんだってさー…って…」
 私が意気込んで向こうの部屋に行こうとした瞬間、虹夏ちゃんが入ってきた。
「お姉ちゃん」
「ち、違うんだ虹夏、これには訳が」
「うるせー!言い訳無用ー!!!!」
 虹夏ちゃんがすごい形相で店長さんに襲いかかり、速攻で正座させられていた。あれ、なんかデジャブ…

「ぼっちちゃん、それ渡して」
「あ、はい」
 虹夏ちゃんに言われて、すぐさまビキニを渡した。
「こんなのいつ買ってたのよ…」
「そ、備えあれば憂いなしって言うだろ!」
「お姉ちゃんは黙ってて!全く…」
 虹夏ちゃんがビキニを自分の荷物にしまう。 
 え、どうするんだろう…
「二度目だからねお姉ちゃん。次はもう無いからね!」
「わ、分かったよ…」
「ぼっちちゃんも!何言われたか知らないけど、なんでもかんでも着ようとしない!分かった!?」
「あ、わ、分かりました」
「次お姉ちゃんに何か変なこと頼まれたら、私にロインすること!いい!?」
「あ、わ、分かりました」
 首を縦にブンブン振りながら頷く。
「た、頼んだわけじゃない!罰として…」
「へー、何の罰?」
「いやそれは言えないけど…モニョモニョ」
「じゃあ、お姉ちゃんは罰として一週間、音楽関係以外でぼっちちゃんと話すの禁止ね」
「お、おい、虹夏、嘘だよな…?ぼっちちゃんと一週間も話せないなんて…」
「だから音楽関係だったらいいって言ってるじゃん。そもそもぼっちちゃんとそんな話さないでしょ?」
「ぐぅ…そ、それはそうだけど…話さないっていうか、話すのが恥ずかしいっていうか…何話そうかなって考えてる間にぼっちちゃんどこか行っちゃうから…」
 て、店長さん、こんな私とそんなに話したかったんですね…!
「いや、ぼっちちゃんそんな嬉しそうにしないで。全部下心だから」
「い、いや!そんなことない!純粋に仲良くなりたいと思ってるだけだ!」
「だったらこんなもの着させようとするなー!」
 ワイワイガヤガヤと虹夏ちゃんと店長さんの会話を横から眺める。なんだかんだいって仲良いんだな、二人とも…。
「それで?ぼっちちゃんは?これ以外に何かされなかった?」
「あ、いえ、大丈夫です…」
 ふーん、と私をじっと見て、思わず下を向く。
「まぁ、お姉ちゃんも今度こそ反省したみたいだし、喜多ちゃん来るまでなんかしてよっか。リョウは今日来ないし。ね、ぼっちちゃん、行こ」
「あ、はい」
 虹夏ちゃんを前にして後ろを見ると、まだ正座を続けている店長さんがいた。店長さんは私の視線に気付くと、パソコンに指を差してから、両人差し指で四角マークを描き、口元に×マークを作った。
 あっ、フォルダのことは内緒にしろってことだ…。私は虹夏ちゃんにバレないようにゆっくり頷き、虹夏ちゃんについていった。
 
 大変な時間だったけど、また店長さんの新しい一面が知れて嬉しかったな、と思う私なのであった。
「とか思ってるね?」
「え、な、なんで…」
「あははっ、言ったでしょ。ぼっちちゃんの考えてる事、だんだんと分かってきたかもって」
「あ、あはは…」
 虹夏ちゃんには敵わないな、と思った。
 
 後日、店長さんにまた別の服を着るよう頼まれるなんて、その時の私はまだ知らなかった。

ぼっち罪
後藤ひとり視点で、星歌さんの秘密を知ってしまったことから罰を受ける話。ギャグです。一応ぼっち戦争(novel/18806839)の続編です。単体でも読めます。

これまたあとがき的な事ですが、虹夏もぼっちの着た姿を見たいと思ってるのでぼ虹タグも付けました。
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