ACT6 第七小隊第二班配属
「第七小隊は問題児の集まりでね。私が隊員のメディカルチェックを担当しているんだが、いかんせん変わり者揃いで困る。さっき君が会ったって言う光希君も過去に色々あってここへ来た。君は言わずもがなだな」
美紀にそう言われた澪桜は言葉を返さず頷いた。自分が変わり種であることくらい自分が一番知っている。
退魔局ビルの高層エリアの廊下はスーツを着た職員が多いが、中には戦闘服に身を包んだ者も見られる。
退魔局ビルに勤める局員の総数は一千名。関連企業などにはもっといるが、その中で退魔師は僅かに四百名ほどだ。
「江戸川美紀、八十神澪桜、入室許可願います」
「どうぞ」
美紀が返事を待ち、ドアを開けた。
戌亥涼子というプレートが置かれた黒檀の席に座る、狼獣人の女と眼鏡に鬼の角のスーツ姿をした優男。
その席の前にはやはりというか黒いスーツにスリットの入ったタイトスカートの女。狐耳と三本の尻尾を持ち、尾先と前髪だけ白い。オレンジ色の目でこちらを見て、すぐに美紀に頭を下げる。
「先生、彼女が?」
「彼、ね。彼が八十神澪桜君だ。戌亥君、珈琲は控えたまえよ」
「あなたまでそれを言うんだね。これでも気をつけているんだが。さて」
戌亥涼子——この第七小隊を預かる隊長が立ち上がり、言った。
「ようこそ、退魔局戦闘部隊第七小隊へ。私が隊長の戌亥涼子だ。こっちは秘書の
鬼の宮本雄葉が一例し、澪桜も応じた。
「早速だが本題に入ろう。八十神君には第七小隊を組み直し、新たに編成した新生第七小隊の第二班に所属してもらう。ペア……というよりはバディと言うべきかな。その相棒となるのはそこにいる妖狐の子」
涼子が視線で促すと、女が名乗った。
「
「……。……八十神澪桜。三等級です。よろしくお願い——」
「お願いされる筋合いはない。……全く、ちょっと小突かれただけで死ぬような雑魚人間なんぞ、何に使えるって言うんだか」
苛立ちを抑え、澪桜は握られないままの右手を強く差し出す。
黒奈はそれを拳で払い落とした。
「まあ、跳ねっ返りだけど実力は確かだよ。気を悪くしないでくれ、八十神君」
「いえ、大丈夫です」
嘘ではなかった。孤児院にいると、心に傷を抱えた子は多くやってくるものだ。攻撃的だったり、心に大きな傷があったり、他者と深い溝を作る子が本当に多いし、澪桜もそうだった。
黒奈はそんな澪桜の態度に、場所が違えば舌打ちしたであろう顔をして安めの姿勢を取る。澪桜も握手を切り上げ、安めの姿勢をとった。
「班員の絆はおいおい当人たちで深めてもらうとして、君たちには早速任務についてもらう」
涼子が珈琲を一口飲んでから、床に埋め込まれているホログラフィック・デバイスを操作した。ブゥンと音を立てて立体モデルが投影され、簡素な図形として落とし込まれた豊富総督府の一区画があらわになった。
澪桜と黒奈はそれを見て、ある一角が赤く照らされるのを確認する。
「当該地域は橋白区の三番街。任務内容は呪術師犯罪と見られる人為的怪異の解決と容疑者の呪術師の捕縛だ。退魔師の仕事はなにも魍魎退治だけではないことは八十神君もご存知だろう。総督府を脅かす犯罪者の制圧・逮捕も大切な仕事だ」
モデルの隣にバストアップ写真が表示される。
「容疑者は人間の呪術師、
二等級——通常兵器が通じると仮定した場合、対戦車兵器を使用せねば歯が立たないレベルの強さという認識で構わない等級だ。これが一等級ともなれば機甲戦闘車両の出番となり、上等級では機甲
澪桜の三等級というレベルでは当然勝てないが、黒奈は準一等級であるというし、無意味にでしゃばって足を引っ張らなければどうにかなると上は判断したのだろう。
「詳しい資料は君たちのエレフォン、エレパッドに転送しておこう。これは命令ではなく一人の年長者としての老婆心だが——」
涼子が珈琲を手に軽く目配せし、
「背中を預け合うんだ。喧嘩はしても、呪ったりしないように」
ゴヲスト・パレヱド.Re こゃんぽぽラヰカ @RaikaRRRR89
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