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「ぼっちちゃん!ぼーっちちゃん!!」
−私を呼んでる?私は死んだはずじゃ…それになんだろうこの懐かしい声…
ぼっち「わっわぁあ!うぇぇえ!!」
虹夏「うわ!なに!?びっくりしたぁ」
目の前に虹夏ちゃん。そして死んだはずの私。これは夢だ。それによく見てみると私も虹夏ちゃんも少し小さい。これは高校生ぐらいだろう。ゴミ箱の中に籠もる私に呼びかける虹夏ちゃん。間違いない、ここは過去の世界だ。試しに頬を強くつねってみる。
ぼっち「イタタタ…」
虹夏「うわ!ぼっちちゃん!ストップ!ストーップ!頬をつねってみるも虹夏ちゃんに払われてしまった。しかし痛みを感じるということははっきりした。
ぼっち「ここは私の夢でしょうか、妄想でしょうか?そもそも死んだ私がものを感じることができているのはなぜ?いっそのことまた海に行ってみましょうか」
虹夏「喜多ちゃんカモ~ン!これからぼっちちゃんのメンタルケアを始めます!」
喜多「え?なんですか?」
虹夏「メンタルケア!ほら!ふたりとも座って!」
私が変なことを言ったせいか突然にメンタルケアと称した尋問が始まってしまった。前へ2 / 2 ページ次へ
「ぼっちちゃん!ぼーっちちゃん!!」
−私を呼んでる?私は死んだはずじゃ…それになんだろうこの懐かしい声…
ぼっち「わっわぁあ!うぇぇえ!!」
虹夏「うわ!なに!?びっくりしたぁ」
目の前に虹夏ちゃん。そして死んだはずの私。これは夢だ。それによく見てみると私も虹夏ちゃんも少し小さい。これは高校生ぐらいだろう。ゴミ箱の中に籠もる私に呼びかける虹夏ちゃん。間違いない、ここは過去の世界だ。試しに頬を強くつねってみる。
ぼっち「イタタタ…」
虹夏「うわ!ぼっちちゃん!ストップ!ストーップ!」
頬をつねってみるも虹夏ちゃんに払われてしまった。しかし痛みを感じるということははっきりした。
ぼっち「ここは私の夢でしょうか、妄想でしょうか?そもそも死んだ私がものを感じることができているのはなぜ?いっそのことまた海に行ってみましょうか」
虹夏「喜多ちゃんカモ~ン!これからぼっちちゃんのメンタルケアを始めます!」
喜多「え?なんですか?」
虹夏「メンタルケア!ほら!ふたりとも座って!」
私が変なことを言ったせいか突然にメンタルケアと称した尋問が始まってしまった。朝何を食べたか、家族と何を話したか、辛いことはないか。すべての質問に私は「分かりません」そう答えた。ますます心配させてしまったみたいだけど本当にわからないのだから仕方ない。
ぼっち「本当に、大丈夫ですから。虹夏ちゃん、ありがとうございます」
虹夏「そ、そう?ならいいけど…」
結局その日は虹夏ちゃんの付き添いで家までかえることになった。虹夏ちゃんは心配してくれている。私は話しかける虹夏ちゃんを軽く流し、夜空を見上げていた。輝く星も、空の向こうで点滅する飛行機の光も、何を見ても私の心は揺るがなかった。
−私なんて生きていたって仕方ないのに…でも、このときはまだ心配してくれる友達もいたんですね…
虹夏「ねぇぼっちちゃん?」
ぼっち「はい?」
虹夏「今日は星が綺麗だよね」
ぼっち「そう、ですね」
虹夏「嘘だ。ぼっちちゃんは星を見てない。ねぇ?ぼっちちゃんは何を見てるの?」
虹夏ちゃんは気付いてた。私がずっと死ぬことばかり考えていたこと。だから今日も付き添ったんだ。虹夏ちゃんが真っ直ぐと私を見つめる。私はやがて根負けして話すことにした。
ぼっち「この幸せも、この輝きも、全て夢なんじゃないかと思うんです」
一時の夢。何よりも儚い、崩れてしまえば永遠の闇。そのうち壊れるのに、望む必要なんてない。
ぼっち「いつか終わってしまうなら、この世界には何もいりません」
虹夏「ぼっちちゃん!」
突然、虹夏ちゃんが私を飛びかかるように抱きしめる。久しく感じていなかった人の温もりだ。
虹夏「いらないなんて…いらないなんて言わないで?ぼっちちゃんがいなくなったら、悲しいよ!辛いよ!」
−虹夏ちゃんがこんなに声を荒げるなんて…
記憶にはなかった。私の存在はこの世界に必要だろうか?
虹夏ちゃんは大きく息を吐いてまた私を強く抱きしめる。
そして今度は優しく落ち着いた声で私に語りかける。
虹夏「ぼっちちゃんの家族は?喜多ちゃんやリョウは?みんな、同じ気持ちだよ。お願いだから、一人にならないで?」
ぼっち「一人に…」
−私は…
長い間にわたる孤独が私を狂わせた。私が消えたって社会は動き続ける、必要ないのだと…私は思っていた。
−私は…
けれど私は何も見えていなかった。何もかもを拒絶して。気づきを与えてくれた虹夏ちゃんは今も真剣な眼差しで私を見つめる。答えなければいけない。
ぼっち「私はひとりじゃなかった」
膝をついて崩れた私を優しく支える虹夏ちゃん。今の私にはそんな彼女が何よりも美しく見えた。