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ぼっち「…は?」
私は耳を疑った。いくらリョウさんが借りたお金を返さないクズベーシストだとしても友達を泣かすようなことしたいだなんてありえない。はず…
後藤が硬直していると山田はコーヒーを置きこう話した。
リョウ「虹夏はホラーが苦手。ぼっちも見たくない?虹夏の震える姿…ププ」
ぼっち「はぁ…」
今すぐロインで報告してもいいでしょうかね?
リョウ「まぁそういうことだから。これは二人だけの秘密にしておいて」
ぼっち「ということなんですが…」
二人での打ち合わせが終わるとすぐに電話をかけた。リョウさんの悪ふざけもここまで来ると付き合えません…。
虹夏「うん。シメたろか」
ぼっち「へ、へへ」
スマホ越しからも伝わるその怒りに満ちた声色はリョウさんの死刑宣告も同然だった。
しかし今回に限っては私も見守ろうと思います。さよならリョウさん、楽しかったです…。
虹夏「あ!そうだぁ」
突然、何かをひらめいたのかしめしめといった様子で私に話し始めた。
ぼっち「あ、え?私がやるんですか?」
虹夏「お願いぼっちちゃん!」
やりたくない、絶対に断らなきゃ…私は休日も学校に行く優等生… 断るんだ、断れぇえ
ぼっち「や、やらせていただきます…」
虹夏「やった!ありがとう〜今度なにか奢るよ!」
後藤ひとり、只今バンド存続の危機に陥っております。
後日、約束の入っていた喜多ちゃん以外が下北沢駅前に招集された。
リョウ「ぼっち、この前のこと話してないよね?今日仕掛けようかなって思うんだけど…」
リョウさんが虹夏ちゃんに気づかれぬよう耳打ちしてくる。
ぼっち「は、はい」
しかし私は適当に返事を返してから虹夏ちゃんからの合図を待っていた。
虹夏「はぁあ喉乾いたね、自販機で飲み物買おっか」
虹夏ちゃんが自販機を指差す。来た、合図だ!
リョウ「あ、お金ない…ぼっち、貸して「うっうぅ…ぅぐ」」
私は虹夏ちゃんに言われた通り泣き真似を始める。リョウさんがお金を媚びるのを確信した上での作戦だ。
リョウ「ぼ、ぼっち!?どした?」
リョウさんは虹夏ちゃんの反応が気になるようでかなりの様子で慌て始める。
ぼっち「リョウさん、これで今月4000円目…うぅ…お金返してください、うわぁあぁん!」
リョウ「え、四千も借りてたかなあ〜来月返す!返すから、泣き止んで!お願い!」
ちなみに四千は本当である。私の中のリョウさんの評価がだいぶ落ちた。
虹夏「うわぁ…リョウ…」
ぼっち「うぅ…うぁぁ」
虹夏ちゃんが軽蔑し始めるとリョウさんはますます慌てだした。そして目がガチなので虹夏ちゃんの軽蔑も本物だと思う….。
リョウ「あ、えと…ちがくて…」
流石のクズキャラも二人の猛攻には敵わないようだ。そうして幾分かした頃。
リョウ「ごべん…今から全部売って返すからぁー」
あ…。涙を流して本泣きするリョウさん初めて見た…。
流石にここまでやるつもりはなかったとかなり後悔するが隣の虹夏ちゃんはどうだろうか?
虹夏「り、リョウ!違うから!ごめん!これドッキリだから!」
虹夏ちゃんが慌てて泣きじゃくるリョウさんを支えに行く。私達は流石にやりすぎたみたいです…。
ぼっち「あ、あの!すみません…私この前のこと話しました…」
その言葉に反応してかリョウさんは重苦しい沈黙が生まれる。
リョウ「ぼっち、嘘つき」
あ…終わった…。さよなら私の楽しいバンドライフ…。
虹夏「もともとはリョウがそんな事言い「だけど…」」
リョウ「私も反省した。今日のところは許す」
いつの間にかいつもの調子に戻っていたようだ。だけど私のせいでバンド崩壊とかにならなくて本当に良かった…。
もう二度とこんなことはしません…。
虹夏「でも、本当にごめん…リョウ!」
リョウ「大丈夫、私は心の広い女。なにか奢ってくれたら許す。ぼっち、コーラ飲みたい」
虹夏「山田ぁあ!!!」