木材搬出のため、重機を投入し山が削られ、木の根があらわになった1枚の写真に、自然保護の立場から発信を続ける丹沢自然保護協会(清川村)理事長の中村道也さんは「おいしい水を生むための超過課税が、いつの間にか木材生産に衣替えしたように感じる」と首をかしげる。
工費に充てられているのは、良質な水の安定的確保を目的に県が導入した水源環境保全税。「森を守るための税金が、正しく使われていないのではないか」と懸念を示す。
個人住民税の超過課税である同税は、神奈川の「水がめ」丹沢を中心とした水源林の保全や再生のため、県民(納税者)1人当たり年額約880円が徴収されている。2007年度から20年間の計画で5年ごとに見直され、現在は22年度から始まる最終期で、事業の総仕上げに入る。