■先の人生が見えないとき

例のハンドメイドグループ乗っ取り事件に乗っかってパワーストーンアクセサリーをおちょくりまくっているワタクシですが、天然石のアクセサリーはべつに嫌いではありません。

素敵なデザインの天然石アクセサリーを作ってるハンドメイド作家さんも居ますよね。


私が最近身につけていることの多いお気に入りの金のネックレスも、ネックレストップは天然石です。

何の石かは分かりませんが、母にもらいました。母はその又母(私にとっては祖母)からもらっているので、母方の祖母から譲り受けたアクセサリーです。


私は今でこそ意味付けされパワーストーンとして販売されている天然石には目もくれませんが、32歳くらいの頃だったかな。大きな水晶のサンキャッチャーとローズクォーツを買ったことがあります。

その頃はパワーストーンというよりは、風水の本にハマっていました。

世間でも風水が流行っていた頃です。

何故流行ったかと言うと、藤原紀香さんがご結婚されて、藤原紀香さんの本や彼女が信頼していると言う風水師の方の本が矢継ぎ早に出版され、雑誌でも風水が特集されて注目されており、それに影響を受けたのです。


風水でも水晶をパワーストーンとしてすすめていましたから、本に載っていたサイトで1万円もするサンキャッチャー用の大きな水晶を買いました。 

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陽の当たる窓に飾ると家の中の邪気を払って陽の運気を家に呼び込むそうなのですが、随分前にゴミに出したのでもう手元にはありません。


今となっては何故あんなものに1万円も払ったのかと思いますが、あの当時は正気を失ってしまうくらい不安だったのです。

これから先何処(地域)に住むのか、どんな家に暮らすのか、どのくらいの収入でどう生活していくのか、まだ幼かった子供達の子育てはどうするのか、夫(当時の)にも自分にも仕事が見つかるのか、それで子育てしながら生活するのに十分な収入が得られるのか、毎日不安で眠れませんでした。 

ほんの少し先の未来も見えずに不安にかられていました。

折しも世の中はリーマンショックのまっただ中という時です。


だから、自分の人生が思うようでないとき、運や前世やカルマとかいう目に見えないもののせいにしたくなる人の気持ちは分かるのです。
自分のせいにも他人のせいにもしたくありませんからね。
私にもそういう時期がありました。


気付きを得て、考え方(人生の設定)を変えるだけで何もかも上手くいくと説く人の言うことを真に受け、パワーストーンをはじめとした開運グッズを身につけたり、パワースポットめぐりをするのは、キャリアアップの為に死にものぐるいで勉強したり、必要なお金を得る為に懸命に働いたり、リスクを取って新しいことにチャレンジするよりも、
ずーっと簡単です。


仕事で自分が満足するだけの収入を得られないのは、自分には高い収入に見合った能力が無いせいであり、 自分がいいパートナーに巡り会えないのは、自分が魅力的でないからだと認めることは
辛いですから。


残酷な現実を直視することや、実生活をよくするために現実的な解決の努力をするよりも、口当たりのいいことを言って気分を高揚させてくれる人のセミナーやセッションを受けて、グッズを買って、それで自分の人生が劇的に変化すると
夢見ている方が楽なんです。


人は弱いから、楽な方へ楽な方へと流れます。


不安定な生活と精神状態では思考停止に陥るので、きちんと頭を使って考えたり、考えに基づいて冷静に行動できなくなっています。

だから原価なんてたいしたことない安物なのに、意味付けされた高額なグッズを買ったり、たった60分で10万円もするセミナーだかセッションだかに行っちゃうんでしょうね。


私が思うに、教祖様のセミナーやセッションとやらになけなしのお金をはたいて参加する方々は、そんなものに10万も使ってる場合じゃない人たちだと思います。

私が1万円の水晶を買った時も、そんなものにお金使ってる場合じゃない時でした。


それから数年後に高知に帰って離婚して、時間をかけて心身の健康を取り戻してからは私の頭も次第に冷えて、年も取り、自分のバカさ加減をネタにして笑えるようになった今だから言えることですが、


人生に必要なのは冷静な判断力と、現実的な思考力と、実践的な行動力です。


それと、自分の現実を知り、等身大の自分と身の丈に合った生活に満足する謙虚な心です。

神様や天使の置物や魔法アイテムじゃないんです。


私が正気を取り戻して人生をやり直す手助けをしてくれたのは、遠くのカリスマ先生ではなく、家族や親族、恋人や友人など、身近に居る人たちでした。

弱っていた私を本当に想ってくれたのは、お金を取ってアドバイスしようとする人たちではなく、必要とあらばお金の援助も惜しまず力になろうとしてくれた人たちです。


私の人生が立ち直ったのは、パワースポットめぐりにも前世にも瞑想にも興味が無くなり、大きな水晶を燃えないゴミに出してからです。