pixivは2022年7月28日付けでプライバシーポリシーを改定しました詳しいお知らせを見る
……気が付いたら朝だった。
「ぼっち、水」
「……どうも」
本当に本当に本当に後悔している。しばらくは飲みません。
二日酔いが酷い。
なんでよりによって昨日あんな安酒飲んだんだろう。
「吐きそう?」
「……動かなければギリギリ大丈夫です」
「無理しなくても」
「焼き鳥弁当戻したくないです」
美味しかったし。
「あそこで寝てくれたから良かった」
「……記憶が結構曖昧なんですけど、倒されたのは覚えてます」
「ごめん」
「寝てる間に何かされた形跡はありませんけど……へ、変なことしたら本当にバンド辞めますからね!」
「それだけはないって信じてる。ぼっちは音楽を捨てないから」
「なんかすごく翻弄されてる気がする……」
「……昨日も言ったけど、酔ってる時に他の人を家に上げないで」
「あ、はい」
重いなあ、と思っていたら。
「あと私のことも、できるだけシラフの時だけ相手にして」
「へ? え、えっと。はい? はい」
「——次は絶対、止まれない」
顔真っ赤じゃないですか。
はあ、自分が嫌いだ。
こういう瞬間のリョウさん、素直に可愛いって思っちゃうから。
私が相手じゃなかったら良かったのに。
やっぱり私が、ちゃんと向き合うべきなのかな。
「でもリョウさん、なんで昨日わざわざ皆の前で私の家に泊まるなんて言ったんですか?」
「夕食持って行けばぼっちが家に入れてくれると思って。ああすれば、とりあえずぼっちは怒って何も食べずに帰ると思った。功を奏したね」
——はあ!? この人やっぱり全然良い人じゃない!
酷い! 最低!
隙なんて見せなければよかった!
「……リョウさん」
「でもこれがラストチャンスだったか……昨日あのまま色々やっておけば良かったのかな……」
なんて人だ……。
昨日倒された瞬間だって、酔っていたせいではあるけど……少し、少しはキュンとしたのに。
全然私のこと考えてない!
「リョウさん。もう来ないでください」
「ま、待って。押さないで、え、ぼっち顔すごく怖いんだけど」
ダメなのは私じゃなくて、やっぱりこの人。
玄関からリョウさんを追放して、ドア越しでも聞こえるように叫んだ。
「バーカ!」