pixivは2022年7月28日付けでプライバシーポリシーを改定しました詳しいお知らせを見る
「私の前で流血沙汰なんて冗談じゃないわ! さっさとその刀しまってちょうだい」
言っちまったよ、私。
あぁ、メンチ切るってこういうことを言うんだね、て顔で風柱が私を睨んでいて、多分私は今三回は死んだと思う、殺意で。だけどここで言わないと、さねみんが腕に傷を作っちゃうから、それだけは止めなくてはならない。
「テメェ」
はい、また死にました。
てかここまで視線で人を殺せる人もいるだろうか。眼力どうなってるの。瞳孔ひらいてるよ、君。大丈夫? 今すぐ目薬をしてあげたい気持ちになりつつ、私は包帯がまかれた腕を差し出した。その包帯を解けば、最近ドジってできてしまった傷が出てくる。それを見て回りの柱が空気を変えた。
「その鬼の子とやらをここに出して頂戴」
「危険だ! 今すぐその傷口をしまいたまえ」
「誰に向かっていっているの! 私がして、といったのよ」
「しかし貴方に怪我を負わせるわけにはいかん!」
「私がいいっていってるのよ!」
皆さんの冷たい目が突き刺さります。でも大丈夫。禰豆子ちゃんは大丈夫って私は知っているから。
そうすれば、私のわがままっぷりに嫌気がさしたように、さねみんが箱を放り投げた。投げるのももどうかと思うけど、禰豆子ちゃんがゆっくりと箱から出てくる。あ~推しが生きてるのが尊い、鬼だけど。心配しなくても大丈夫、私が人間に戻れるお手伝いをするからね。そう思いつつ、食べないってことを証明しないといけないので、勢いよくその距離を縮めた。
「ほら、食べたいなら食べてごらんなさい! 私は常に栄養価の高く、あなたたち庶民では到底手が出ないような食材ばかりを食べてるわ、きっと美味しいわよ」
馬鹿じゃねぇの。さねみんの声が聞こえてきた。そりゃあ稀血のあなたに比べたらそうですよって思うし、別に毎日マツタケとか食べてるわけじゃないから一緒かも。そもそも良い物を食べてる人の血がうまいのかといわれると、原作にそういう言及がなかった(気がする)から分からない。
「ゔゔぅ」
禰豆子ちゃんが唸って、伊黒さんから解放された炭治郎くんが駆け寄ってきて名前を叫んだ。禰豆子ちゃんは、きっと今心の中ですごく葛藤してるんだ。可哀そう、でも頑張れ。そういう思いをこめて鬼になってしまった目を見つめた。その気持ちが伝わったみたいに、禰豆子ちゃんは「プイ!」と顔をそむけた。非常にかわいい。
そして私はキャラを忘れないためにさねみんと、暴言を吐いた伊黒さんに向かってどやさ、としてみせる。
「ほらご覧なさい! 食べないじゃない」
さねみんはちょっとポカンとしてて、お館様の娘さんたちもギョってその大きな目を開いてた。そりゃそうだ。なんで私が禰豆子ちゃんが人を喰わないのか、体を張って証明する意味がない。まぁそこの所は忘れてほしい。そんな私の助け船に、炭治郎くんの啖呵がはじまる。
「俺と禰豆子は鬼舞辻無惨を倒します!」
君のその野望は叶うよ。
そう心の中で呟きながら、二人を見た。これから先、この二人には大きな困難と苦しみが待ち構えている。だけど、君たちが希望なんだ。
「よく言ったわ! あなたは見込みがありそうね、私が面倒みてあげるわ!」
「えと、あなたは」
「フフン、あなたも鬼殺隊にいるなら覚えておきなさい。この私の名を」
どこの宇随天元様かな、と思うけど私はずっとこのキャラで生きてきた。今更恥ずかしくはありません、嘘です。だいぶ恥ずかしいです。
「産屋敷家ひいては鬼殺隊の最大の支援者、この世の富を収めたとはこの有栖川様のことよ! 我が財力の前に戦き、平伏するといいわ!」
私は有栖川。
前世しがないただの女だったけれど、よくある転生で鬼滅の刃の世界にやってきた。
そしてこの世では、ドン引きするくらい金を持つ成金悪役令嬢なのである。
転生したビックリするほど金持ち女が、我儘成金令嬢を演じながら柱死亡案件を回避していく話。