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あはははは
あはははは

心配性の姉と面倒な妹

心配性の姉と面倒な妹 - あははははの小説 - pixiv
心配性の姉と面倒な妹 - あははははの小説 - pixiv
5,555文字
お姉ちゃん、私とバンド組んで
心配性の姉と面倒な妹
虹夏に告白したぼっちの話を聞くふたりとぼっちに告られた虹夏の話を聞く星歌さんの未来妄想話
ぼざろ姉妹s好き
54801736
2023年3月10日 05:27

「ねえ、お姉ちゃん」
「なに?」
「最近虹夏ちゃんとはどうなの?」
「どうって?」
「告白しないの?好きなんでしょ」
「好きだよ」
「じゃあすればいいじゃん」
「もうした」
「えっ」

私の部屋に来ているふたりが唐突にそんなことを聞いてきた。けど残念だったねふたり。お姉ちゃんもう虹夏ちゃんに告白したんだよ。ふふふ…

「嘘でしょ?あのお姉ちゃんが自ら他人に愛の告白なんて出来るわけないじゃん!見栄張るのやめなよ。妹の前でくらい正直でいよう?」
「ぐぬぬ…」

妹からの信頼がゼロだ…。ふたりが赤ちゃんの時から姉の尊厳を守るために色々してきたというのにどうしてこうなったんだろう。そんなふたりも今や中学生。大きくなったなぁ

「ほっほんとだから!一昨日虹夏ちゃんに告白したもん。5年前から好きでしたって」
「凄い引きずったね…」
「だって私がすぐに言えるわけないじゃん!告白する時も死ぬほど勇気出したんだよ!?一昨日までの私はさっきふたりが言った通りだったようわーん…」
「いい大人が泣かないでよ…。よしよし」

ふたりが私の頭を撫でてくる。これじゃあ姉の尊厳が全くないや。どこで道を間違えたのかな…

「じゃあ本当に告ったんだね?それで返事は?絶対OKだったと思うけど」
「それが…」
「えっまさか振られたの!?ありえない…虹夏ちゃんとお姉ちゃんは誰がどう見ても両思いなのに」
「ち、違うよ!実はまだ返事を貰えてないんだ。ちょっと待ってって言われちゃった」
「へぇ…」

ふたりが今言った通り、私も虹夏ちゃんとは両思いなんじゃないかと少しは思っていた。でも全く自信がなかったから告白するのに5年もかかったというわけだ。しかも返事は保留…助けてふたり…お姉ちゃん不安で死にそうです…

「どうしようふたり、虹夏ちゃんに嫌われちゃったかな。すぐに返事貰えないってことは脈ないんじゃ…」
「うーん、全く脈がないならその場で振られたと思うよ?それにさっき言った通り、誰が見てもお姉ちゃん達は両思いだから心配しなくても付き合えると思うよ。けど保留したのは意外だなあ。理由はなんだろう?」
「や、やっぱり嫌われたんだよ!虹夏ちゃんは優しいからその場の感情だけでは振らなかったんだ。でも今頃きっと『どう考えてもあの陰キャなめくじと付き合うなんてごめんだわ〜』って思ってるんだ…!ごめんふたり、お姉ちゃんもうバンド続けられないかも…」

うう…やっぱり告白するの早かったかな…もう5年待つべきだったか…。もっと虹夏ちゃんの気持ちを探ってからの方がよかったのかも…最悪だ…

「はぁ…いい、お姉ちゃん?」
「しくしく…なに?」
「そんなことありえないから泣くな!」
「えっ」
「何回も言ってるでしょ、虹夏ちゃんもお姉ちゃんのことが好きだって。妹の私が保証する」
「でっでも…そんなの虹夏ちゃんしか分からないじゃん…」
「それはそうだけど、分かるもんは分かるの!私の言葉だけで信じられないなら喜多ちゃんにでも聞いてみる?」
「えっいやそれは…」
「もういい、聞くね。…あっもしもし喜多ちゃん?今大丈夫ですか?…はい、すぐ済みますから」

私が承諾する前にふたりは喜多ちゃんに電話をかけてしまった。他人にこの気持ちを知られるのめちゃくちゃ恥ずかしいんだけど!あれ、でもふたり曰く私と虹夏ちゃんが両思いなのは誰が見ても分かるんだっけ?ってことは喜多ちゃんにもバレてるんじゃ…あっ死のう。今日が命日です、お疲れ様でした…

「…はい、やっぱりそうですよね!ありがとうございました。はい、またよろしくお願いします!では!…お姉ちゃん、喜多ちゃんに聞いたよ…って死んでる…。しょうがないなあ。3秒で蘇生してあげる…それっ」
「…はっ!あれ、私死ねてない?」
「私が生き返らせたの。勝手に死なないで」
「あっはいごめんなさい」

サイレント溶解死亡ができたはずなのにふたりに一瞬で蘇生されてしまった。参りました。いや放っておけば生き返るんだけどね

「今喜多ちゃんに聞いたら同じこと言ってたよ。どう考えても両思いなんだから早くくっつけって6年前から思ってたってさ」
「えっ6年前?」

私が虹夏ちゃんへの恋心を自覚した時期より早いんだけど!?喜多ちゃん何者…

「そういうわけだから、お姉ちゃんは安心して虹夏ちゃんの返事を待つこと!きっと虹夏ちゃんもびっくりしただけだと思うよ、悪い返事が来る可能性はほぼゼロだから」
「ほんとなんだね?信じるからね!?」
「もう、しつこい!本当だから信じてて!」
「はっはい!」

ふたりと喜多ちゃんがそう言うならいい加減信じよう。虹夏ちゃんはきっとOKしてくれる。悪い方に考えちゃうのは私の悪い癖だ。これはずっと変わってないなぁ…

「よし、じゃあ気を紛らそう。今日もギター教えてよ、今暇なんでしょ?」
「暇ってわけでも…まあいいよ。でも明日は早くから今度のライブの打ち合わせとかがあるから早めに寝させて」
「オッケー、ありがとうお姉ちゃん。早速だけど、ここって…」
「えーと?…ああこれね。1回弾くから見てて」
「はーい」

私は最近ふたりにギターを教えている。妹もギターに興味を持ってくれて嬉しい限りだ。虹夏ちゃんからの返事の心配をしても精神が疲労するだけだから、今はギターに集中しよう。あっでも明日虹夏ちゃんに会うじゃん…いやいや気にしすぎちゃダメだ。それよりもギターに集中…ふたりにしっかり教えてあげないと

————————————————————
「お姉ちゃん、ちょっといい?」
「ん、どうした。1人で寝れないのか?」
「違うよ!お姉ちゃんじゃあるまいし」
「私だって1人で寝れるわ!ぬいぐるみがあれば」
「1人だけど1人じゃないじゃん…じゃなくて、相談というか話というか…聞いてくれる?」
「ん、いいよ。とりあえず座りな」
「ありがとう」

もう夜も遅い時間、私はお姉ちゃんの部屋を訪れた。明日は次のライブの打ち合わせがあるから早く寝た方がいいのは分かっているんだけど、今のあたしには寝るに寝られない事情がある。その事情っていうのは…

「で、話って?そういやお前、一昨日くらいから元気ないよな。ははーん、ぼっちちゃんと喧嘩でもしたか?」
「えっ」
「え、図星?マジか…あー、悪かったよ。仲直りする方法考えてやるから、何があったか話してみな」

お姉ちゃんの口からぼっちちゃんの名前が出てきて思わず声が出てしまった。でもお姉ちゃんは半分正解ってところかな。喧嘩したんじゃないんだよね…

「…喧嘩じゃないよ。でも、ぼっちちゃんと話しづらいのは当たってるかな」
「そうなのか?喧嘩してないならいいけど。じゃあどうしたんだ?」
「…聞きたい?」
「お前が言ってきたんだろ!話したくないなら無理に言わなくていいけど」

確かにあたしから振った話だから言わないとだよね。今更恥ずかしくなってきたな…。でも言おう、あたし1人じゃ分からなくなってたし

「ううん、言うね。実は、一昨日ぼっちちゃんに告白されたんだ。5年前から好きでしたって」
「おお…ぼっちちゃんがついに…」
「うん。私も驚いちゃった…ついに?」
「あ?そりゃついにだろ。お前らが両思いなのは結構前から周知の事実なんだから」
「…は?」

は?お姉ちゃん何言ってるの?誰と誰が両思いだって?あたしとぼっちちゃんが?どこからそんな話出てきた?

「何で不思議そうな顔してるんだよ…虹夏はぼっちちゃんのこと好きなんだろ?」
「うん、好きだよ。何で知ってるの」
「見てれば誰でも分かるわ!」
「嘘だ!」
「ほんとだ!お前ら普段から隙あればイチャイチャしやがって…見ている方の身にもなれよな?あれで今まで付き合ってなかったのが不思議なくらいだ」
「え…」

そんなにイチャイチャした覚えはないんだけどな…あたしから言わせれば介護みたいなことが多いと思う。いやまあ仲はいいよ?かなりいいよ?

「自覚ないにも程があるだろ…まあいいや、ぼっちちゃんに告られたんだな?よかったじゃねえか、もちろんOKしたんだろ?」
「えっと…保留しちゃった…」
「はあっ!?」

うわびっくりした。そんなに叫ぶことだった?

「お姉ちゃんうるさい!夜だよ!」
「すまん…でもおかしいだろ!好きな人に好きですって言われたんだから即OK出さない理由はないだろ」
「それはそうだけど…考えてみてよ、あのぼっちちゃんが告白してきたんだよ?あのぼっちちゃんが」
「何で2回言うんだよ。でも言われてみれば…あのぼっちちゃんが自分から告白したのか…あのぼっちちゃんが…」

お姉ちゃんだって2回言ってるじゃん。そうだよ、あのぼっちちゃんがだよ?失礼かもしれないけど自分から告白する勇気を持ち合わせているとはあまり思えない。そりゃやる時はやるヒーローだけど、それは主にライブ中とかバンド活動中だけだし…。恋愛沙汰となれば無理だと思うけどな

「けど、あのぼっちちゃんだぞ?やる時はやる奴だ。大好きな虹夏のために勇気を出したと考えれば、そう不思議なとこでもないと思うぞ」
「あたしも少しはそう思うんだけど…ぼっちちゃん恋愛には弱そうじゃん?」
「あー…まあ…。私もよく分かんねえけどさ」
「もうアラフォーだもんねぇ」
「うるせえ!…それで、結局お前は何で保留したんだよ」
「えーとね、ぼっちちゃんが告白してきたことが意外すぎて、誰かがバックについてるんじゃないかと思ったんだ。リョウとかリョウとかリョウとか喜多ちゃんとか喜多ちゃんとか喜多ちゃんとか」
「なんで3回ずつ言ったんだ…?でもあり得るかもな」
「でしょ?」

ぼっちちゃんを100%疑うわけじゃないけど、あたしに告白をするにあたって裏に誰かがいる可能性を考えてしまったのだ。具体的にいえばリョウか喜多ちゃん。もしくはその両方。つまりこの前の告白は、完全にぼっちちゃんの意思のみで行われたとは限らないかもしれないということだ。それどころか、ぼっちちゃんが私のことを本当に好きなのかすら怪しくない?言わされただけなんじゃ…

「…お前さ、まさかぼっちちゃんの気持ち自体を疑ってるわけじゃないよな?」
「うっ」
「はあ…。それはマジでぼっちちゃんに失礼だぞ。ぼっちちゃんは虹夏のことが大好きだ。誰が見ても明らかだから」
「ほんとに…?」
「ほんとだ。たまにはお姉ちゃんを信じてくれてもいいんだぞ?いつも信じて欲しいけど」
「分かった。ぼっちちゃんの気持ちについては信じるよ」
「そうか。だったらもう返事できるよな?」
「ううん、まだダメ」
「はあ?まだ何かあるのかよ」

ある。もしぼっちちゃんが本当に私のことが好きだったとして、それは本当に嬉しい。今すぐ飛び上がりたいくらいだ。けど、ぼっちちゃんが自分の意思だけで告白したのか、誰かに後押しされて告白したのかは分からない。私は前者じゃなきゃ嫌だ。面倒な女なのは分かっている。お姉ちゃんにもそのことを話すと…

「…あーめんどくせえ」
「ちょっと、最後まで聞いてくれるんじゃないの?」
「そんなことは一言も言ってない。お前面倒な女だな、そんなんじゃぼっちちゃんに嫌われちゃうぞ」
「分かってるよ…でも、その方が嬉しいじゃん」
「分からなくもないけどさ、ぼっちちゃんが虹夏に告白してくれたって事実が重要じゃないか?もし誰かに後押しされてたとして、告白した時の言葉に嘘偽りがあると思うのか?ぼっちちゃんはよく嘘つくけど、それを嘘だと見抜くのはめちゃくちゃ簡単だ。どうだ、ぼっちちゃんの言葉は嘘っぽかったか?思い出してみろ」
「それは…」

私に告白した時のぼっちちゃんを思い出す。あの時私を呼び出したぼっちちゃんは…いつも以上におどおどしてて、いつも以上に緊張してる様子だった。何を話すのかと思えば、私に愛の告白をしてきた。その時の言葉、表情、動き、どれを見ても一生懸命なのが伝わってきた。嘘をついている様子なんて微塵も感じられなかった。そうだね、あれはぼっちちゃんの本心だ。疑っちゃいけないよね。ごめんねぼっちちゃん。お姉ちゃんも

「…嘘なんてついてないと思う。あの時のぼっちちゃんは真剣だった」
「じゃあ、お前がやることは決まったよな」
「うん。明日みんなで集まるから、その後にでも言うよ。返事を」
「ああ。んじゃ早く寝ろよ、それとも一緒に寝るか?」
「お姉ちゃんが寝たいならいいよ?」
「そうか、じゃあ一緒に寝るぞ」
「え?ちょっ、本気なの」
「明日ついに妹が奪われるんだから、今日くらいいいだろ」
「奪われるって…しょうがないな、寂しそうなお姉ちゃんと一緒に寝てあげるよ!」

どこまで本気かは知らないけど、たまには姉孝行してあげてもいいよね。最大の姉孝行はもうちょっと先になりそうだけど。手の届くところまでは来てるから待っててよね

「よし、こっち入れ」
「分かった。おやすみー」
「早っ。私のスペース残せよ」
「明日早いからねー。それに告白の返事しないとだから」
「急に元気になりやがって…でもそうだな。おやすみ、虹夏」
「うん。おやすみ、お姉ちゃん」

お姉ちゃんと並んで横になる。ぼっちちゃんと付き合ったらこういうこともあまりできなくなるのかな?そんなことないよね。だってお姉ちゃんは家族だから。だから寂しくさせないようにしてあげなきゃね。いい歳なんだし。そんなことを考えつつ、もう日付が変わっていることに気づいた私は目を閉じるのだった。明日は寝坊できないからね



心配性の姉と面倒な妹
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54801736
2023年3月10日 05:27
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