政治に関心 若者の輪を 政策立案コンテスト主催の学生団体所属/太田あかりさん(19)都内在住藤枝市出身【決める、未来 持続可能な街へ 私の願い➁】
2023.4.3
3月中旬、東京都内のビルの一室で、大学生約30人が複数のテーブルに分かれ、国に求めたい政策を提案し合った。首都圏の学生でつくる団体「GEIL(ガイル)」が開く1泊2日の政策立案コンテスト。早稲田大の太田あかりさん(19)=藤枝市出身=は広報担当として運営を担った。「専門知識が不十分な学生も議論に入れるよう、スタッフが支える」と工夫を語る。
団体に入ったのは、入学直後に参加したイベントがきっかけ。「高校教員の働き方」をテーマに議論した際、高校生時の担任教員に仕事の大変さをメールで尋ねると、事務作業や部活動顧問の負担の重さを明かしてくれた。「国や自治体の政策も、市民の声を聴いて作るのかな」と興味を抱いた。
年4回開くコンテストの準備では、国会議員や官僚、専門家の協力を得て勉強会を開く。大学受験と違い「正解のない問題」の解決に向けて世代や立場を超えて話し合う。政治は一部の優れた人だけで担うのではなく、普通の市民が知恵を出し合って作り上げるものだと実感した。
「政策を決めるのは人。選挙はやっぱり大事」。2022年7月の参院選は住民票を都内に移したばかりで、不在者投票制度を利用し、静岡選挙区の候補者に1票を投じた。手間はかかったが、棄権は考えなかった。
卒業後はIT業界の技術者として第一線で長く活躍したい。リモートワークがさらに進めば、首都圏に住むこだわりは持たない。地元藤枝市へのUターンも選択肢の一つだ。一方、進歩の早いIT業界では出産後に仕事復帰できるのか不安もある。行政に望むのは子育てと仕事を両立できる支援の充実だ。
若者の投票率が上がったり女性議員が増えたりすれば、自身の将来像は実現に近づくはず-と期待する。「若い人が気軽に政治について話し合い、投票に行けるような雰囲気づくりが必要」。夏には全国の学生を集めて政策立案コンテストを開く。政治への関心の輪が同世代に広がるよう準備に励むつもりだ。
おおた・あかり 2003年藤枝市生まれ。静岡高卒業後、早稲田大人間科学部に入学。首都圏の大学1~2年生約100人でつくる学生団体「GEIL」に所属する。