◆出版社とコンサルタントのwinwinの関係
今日は昨日の続きをお話ししましょう。
もうかれこれ7年以上前のことになりますが、私が神奈川で書店員として働いていた頃、不思議に思っていたことがあったんです。
ビジネス書のコーナーや実用書コーナーの新刊台に、変な本が増えているように感じていました。
変な本とはどういうことかと言うと、例えば「お金持ちは長財布を使っている」とかの、くだらないタイトルだなと思ったら中身もくだらない本だったり、田舎で小さな事業をしているプチ成金おばちゃんの小さな成功話と成功した秘訣の話だったり。
「出版社は何でこんなくだらない内容の本出したの?」「この本の著者は大きな仕事もしていないし大して成功もしていない人なのに、どうして本が出せたの?」「こんな酔っ払いの与太話みたいな成功法則(お金持ちになる方法)が一体どうしてビジネス書なの?」と、私は首をかしげていました。
それから数年後、私はハンドメイドを通じてセミナービジネスやキラキラ女子起業の世界に足を踏み入れたことで、思いがけずその答えを知ることとなりました。
今日は昨日の続きをお話ししましょう。
もうかれこれ7年以上前のことになりますが、私が神奈川で書店員として働いていた頃、不思議に思っていたことがあったんです。
ビジネス書のコーナーや実用書コーナーの新刊台に、変な本が増えているように感じていました。
変な本とはどういうことかと言うと、例えば「お金持ちは長財布を使っている」とかの、くだらないタイトルだなと思ったら中身もくだらない本だったり、田舎で小さな事業をしているプチ成金おばちゃんの小さな成功話と成功した秘訣の話だったり。
「出版社は何でこんなくだらない内容の本出したの?」「この本の著者は大きな仕事もしていないし大して成功もしていない人なのに、どうして本が出せたの?」「こんな酔っ払いの与太話みたいな成功法則(お金持ちになる方法)が一体どうしてビジネス書なの?」と、私は首をかしげていました。
それから数年後、私はハンドメイドを通じてセミナービジネスやキラキラ女子起業の世界に足を踏み入れたことで、思いがけずその答えを知ることとなりました。
出版不況と言われ始めたのは、もういつのことだったか思い出すこともできないくらい昔の話ですが、私が本屋さんの中で毎日楽しく働いていた頃にはすでに業界の空気は重たいものでした。
次々に書店は潰れ、出版社が倒産し、雑誌は休刊もしくは廃刊が決まっていきました。
「本が売れない」と言われている一方で、出版される本の数はどんどん増えていき、書店は毎朝大量に届く新刊を並べて売れない本を返す作業に追われ忙しくなっていきました。
紙の本が売れなくなり書店も苦しいですが、出版社だって儲かっているわけではありません。特に中小の会社は自転車操業です。
日本では本は委託販売が基本です。中には出版社から書店が買い取って店頭に並べる本(岩波文庫とかハリポタシリーズとか)もありますが、ほとんどの場合は書店は出版社から本を預かって販売し、売れなかった本は送り返します。
出版社は新しく本を作って卸しさえずれば、とりあえず預けた本の代金をいったん全額払ってもらえます。けれど、返本されてきたら売れなかった冊数分の代金を返さなくてはいけません。
書店に「あなたのところの本売れなかったからお金返して」と言われても、最初に受け取ったお金はもうありません。会社の運転資金(従業員にお給料を払ったり)に消えています。
そこで、お金を調達するために新しい本を作って出すのです。どんなクソ本でも作って預けてしまえばお金を払ってもらえますから。
私が高知にお招きした二人のセミナー講師(コンサル)の先生方も、それぞれ本を出されていますが、私には引っかかることがありました。
まず、高知でセミナーをした後ほどなくして本を出されたA先生の場合。
彼女は本の出版セミナーを受講し、出版コンサルタントのお世話になって自著の出版にこぎつけました。
セミナーで出版社への企画書の書き方を学び、出版コンサルがA先生の代わりに企画書を持って営業に回るのです。食いつく出版社がいればめでたく出版になります。
出版社にもよりますが、体力のない、あるいは出版不況で体力のなくなった出版社は、自分で著者の発掘をするのではなく、このようにコンサルが持ち込む企画に乗っかって本を出してるのだということを私は知りました。
なるほど、だとしたら何故大した実績もないセミナー講師の本が出されるのか分かります。
今の時代は「本を出す」こと自体は簡単です。自費出版なら紙の本でもそんなにお金はかかりませんが、電子書籍(Kindle)で出せばほとんどコストがかかりません。
けれど、自費出版の本に他人は権威を感じてくれません。ところが商業出版で本が出たとなると、それがどんな内容であろうと売れていなかろうと、途端に著者は「本を出したエライ先生」「出版社から本が出てAmazonや書店で売られているのだから信用できる人」と、一目置かれる存在になります。
そうです。その信用と権威を手に入れるためにセミナー講師(コンサル)は本を出したがるのです。
一方で、これは出版社にとってもおいしい話だということが分かります。
前述した通り、ただ本を作って出すだけではお金は入っても利益は約束されていません。作った本が全く売れずに大量に返本されれば利益なんて吹き飛ぶどころか赤字かもしれません。
けれど、出した本を出版社が販促せずとも著者が自ら大量に売りさばいたり、返されてきた本を引き取ってくれるとしたらどうでしょう?
私はハンドメイドのコンサル先生方の他にも、ビジネスコンサルを名乗りセミナービジネスをしている知人や、ネット上で見つけた人たちをこの2〜3年間じっと観察していました。
すると、彼らは同じように行動していました。
まず、彼らの中で出版社の方から「ぜひ、うちで本を出しませんか!?」と声をかけられる人はほとんどいません。そこで、出版セミナーに通います。
出版セミナーもピンキリで、出版コンサルと名乗る人のセミナーから、出版社自らが主催しているセミナーもあり、私の知る限り料金も2万円〜50万円まで幅があります。
セミナーに参加したからといって必ずしも本の出版にこぎつけられるわけではありません。
これはハンドメイドとは関係のない知人の例ですが、彼は受講期間は半年、受講料はおよそ50万(セミナーに通うための交通費や滞在費を含めるとかかったコストはさらに増える)もかかる出版セミナーに参加しましたが、その後1年経っても2年経っても未だに本が出ていません。
B先生の本が出版界の予想を裏切ってよく売れ実用書のジャンルではベストセラーになったので、どうやらハンドメイド作家向けの本は売れるらしいと、2匹目のドジョウを狙った出版社たちが相次いでノウハウ本やレシピ本など、ハンドメイド関係の本をこれでもかこれでもかと出しまくりました。
そうして大量にわいて出た本たちは、一部の本を残してすでに書店の棚から姿を消しています。
書店から返された本はどうなるのでしょう?
数年は取次(仲卸業者)や出版社の倉庫に保管され、書店やAmazonを通じて注文があれば発送されます。コンサル先生方の本は一般にはもう売れませんが、著者だけは買い続けてくれるでしょう 。
自分のセミナーで受講生に販売してもいいし、「教科書」や「プレゼント」として配ってもいい。
セミナービジネスをしている人が自分の本を100冊単位で買取り、ファンに感謝のプレゼントと称して配りまくっていたのを見かけたことがあります。
本は絶版になれば裁断されます。自分の本が裁断されてこの世から消えてしまうのが惜しい著者は残った本を全部買い取ってくれるかもしれません。
これは出版社としては絶対に損をしないエグいよくできたビジネスだなと私は感心し、そうやってつまらない本ばかり作っていたら一般の読者はますます本を読まなくなるだろうなと、BOOKビジネスの先行きが案じられたのでした。
次々に書店は潰れ、出版社が倒産し、雑誌は休刊もしくは廃刊が決まっていきました。
「本が売れない」と言われている一方で、出版される本の数はどんどん増えていき、書店は毎朝大量に届く新刊を並べて売れない本を返す作業に追われ忙しくなっていきました。
紙の本が売れなくなり書店も苦しいですが、出版社だって儲かっているわけではありません。特に中小の会社は自転車操業です。
日本では本は委託販売が基本です。中には出版社から書店が買い取って店頭に並べる本(岩波文庫とかハリポタシリーズとか)もありますが、ほとんどの場合は書店は出版社から本を預かって販売し、売れなかった本は送り返します。
出版社は新しく本を作って卸しさえずれば、とりあえず預けた本の代金をいったん全額払ってもらえます。けれど、返本されてきたら売れなかった冊数分の代金を返さなくてはいけません。
書店に「あなたのところの本売れなかったからお金返して」と言われても、最初に受け取ったお金はもうありません。会社の運転資金(従業員にお給料を払ったり)に消えています。
そこで、お金を調達するために新しい本を作って出すのです。どんなクソ本でも作って預けてしまえばお金を払ってもらえますから。
私が高知にお招きした二人のセミナー講師(コンサル)の先生方も、それぞれ本を出されていますが、私には引っかかることがありました。
まず、高知でセミナーをした後ほどなくして本を出されたA先生の場合。
彼女は本の出版セミナーを受講し、出版コンサルタントのお世話になって自著の出版にこぎつけました。
セミナーで出版社への企画書の書き方を学び、出版コンサルがA先生の代わりに企画書を持って営業に回るのです。食いつく出版社がいればめでたく出版になります。
出版社にもよりますが、体力のない、あるいは出版不況で体力のなくなった出版社は、自分で著者の発掘をするのではなく、このようにコンサルが持ち込む企画に乗っかって本を出してるのだということを私は知りました。
なるほど、だとしたら何故大した実績もないセミナー講師の本が出されるのか分かります。
今の時代は「本を出す」こと自体は簡単です。自費出版なら紙の本でもそんなにお金はかかりませんが、電子書籍(Kindle)で出せばほとんどコストがかかりません。
けれど、自費出版の本に他人は権威を感じてくれません。ところが商業出版で本が出たとなると、それがどんな内容であろうと売れていなかろうと、途端に著者は「本を出したエライ先生」「出版社から本が出てAmazonや書店で売られているのだから信用できる人」と、一目置かれる存在になります。
そうです。その信用と権威を手に入れるためにセミナー講師(コンサル)は本を出したがるのです。
一方で、これは出版社にとってもおいしい話だということが分かります。
前述した通り、ただ本を作って出すだけではお金は入っても利益は約束されていません。作った本が全く売れずに大量に返本されれば利益なんて吹き飛ぶどころか赤字かもしれません。
けれど、出した本を出版社が販促せずとも著者が自ら大量に売りさばいたり、返されてきた本を引き取ってくれるとしたらどうでしょう?
私はハンドメイドのコンサル先生方の他にも、ビジネスコンサルを名乗りセミナービジネスをしている知人や、ネット上で見つけた人たちをこの2〜3年間じっと観察していました。
すると、彼らは同じように行動していました。
まず、彼らの中で出版社の方から「ぜひ、うちで本を出しませんか!?」と声をかけられる人はほとんどいません。そこで、出版セミナーに通います。
出版セミナーもピンキリで、出版コンサルと名乗る人のセミナーから、出版社自らが主催しているセミナーもあり、私の知る限り料金も2万円〜50万円まで幅があります。
セミナーに参加したからといって必ずしも本の出版にこぎつけられるわけではありません。
これはハンドメイドとは関係のない知人の例ですが、彼は受講期間は半年、受講料はおよそ50万(セミナーに通うための交通費や滞在費を含めるとかかったコストはさらに増える)もかかる出版セミナーに参加しましたが、その後1年経っても2年経っても未だに本が出ていません。
初めのうちこそ「セミナーに参加するのにも選考があるので、セミナー受講への切符をつかめた自分はラッキー」と喜んでいて、「出版セミナーでは素晴らしいメンターと仲間たちに会えた!みんな未来のベストセラー作家たち」「セミナーの卒業プレゼン合格した、やったー!」「セミナー卒業式の後に声をかけてくれた出版社があった!」と逐一投稿していましたが、どうやら最終的にはどこの出版社も企画を拾ってくれなかったようです。次第に出版の話はしなくなりました。
こうやって出版セミナーも自称コンサルたちを食い物にしてるのですね。カモを食べて太ったコンサルが上にいるコンサルに食われる食物連鎖の構造が見えます。
大枚はたいたにも関わらず本が出なかったことについては、まあ、そうだろうなと思いました。
彼は本の出版を目指す前にはブログの書き方講習を受けて、つたない文章で読む価値のない俺様ブログを時々書いていましたが、読者が居ませんでしたから。
どんなに体裁が整った立派な企画書を持ってこようと、1日50PVもないブログ主では、私が出版社なら不安です。
逆に、ある程度(最低でも数百人単位)ファン(信者)が付いてることが確認できれば出そうと思えます。
書店の店頭で一般のお客さんに買ってもらえなくても、ファンが買ってくれますからね。
A先生の本の出版が決まった時、Facebookでは応援グループができました。
当時Facebookの応援グループには500人ほどが登録していました。そこには先生の信者やセミナー受講生だけでなく、先生のセミナービジネス仲間たちも居ました。
応援グループのタイムラインが大いに盛り上がったのは、本の発売日ではありません。先生が決めたAmazonキャンペーンの日です。
先生は「私の本は書店で買わず、ある日のある時間帯にAmazonで注文してほしい」と事前におふれを出していました。
そうやって買い控えをさせておいて、所定の時間に一斉に注文を出させ、一瞬だけ瞬間最大風速を吹かせてAmazonランキング上位を狙う のです。
たとえ一瞬でもランキング入りすれば「Amazonランキング◯位になった本です」と宣伝できるようになりますからね。へぇ〜、セコイかしこいなぁと思いながら、私はFacebookグループの乱痴気騒ぎを見ていました。
先生は売らんかなと必死です。「10冊まとめ買いしてくれたら無料でセミナーしに行きます!」とか、最後は大盤振る舞いでしたからね。本を売るためには高額セミナーも投げ売りするのですから見上げたものです。
信者もごますりのいい機会なので、「先生の本は本当に素晴らしいです!」と、せっせとブログを書いて投稿したり、「お友達にもあげるので2冊書いましたー」などと投稿し、われ先にと媚びへつらっていました。
先生のセミナー講師仲間たちも「素晴らしい本なのでうちの受講生にも配ります」などと社交辞令を言い、一人で何十冊と買ってました。
お互いにそうやって助け合いをしているのでしょう。Amazonキャンペーン互助会ですね。
それを見れば見るほど私の気持ちは冷めました。
私はAmazonキャンペーンが始まる前にいくつかの書店に足を運んで、A先生の本が入っているか確認していました。発売日に本が入荷していたのは、高知県内の書店の中では一番の老舗書店だけでした。
その書店は数店舗を県内に構えていますが、書店員さんに本店と支店を合わせた入荷数を確認してもらったところ、入っていたのはたった1冊だけでした。
高知の中では力のある書店でさえこれだけ配本が少ないということは、高知県内全体で2〜3冊、もしくはこれ1冊しか入ってないのかもしれない。
都会に住んでいる先生の信者たちは「A先生の本、本屋さんにたくさん入ってます!」などと、書店の台に本が5冊くらい積まれている様子をFacebookに投稿していましたから、東京や大阪のような大都会の大手書店にはたくさん配本したのかもしれませんが、高知のような田舎には本が全然入ってない。
それはつまり、全国の書店に行き渡るほどそもそも本が刷られていないということです。
「初版発行部数は何部ですか?」と、出版コンサルの方にダイレクトに聞いてみましたが、「そんなことは言えるわけないじゃないですか」と返されました。
もちろん教えてもらえるとは思ってませんでしたが、本を出した実績のない無名の新人著者ですから、初版は1000部がいいところじゃないかと私は推測しました。
そのくらいの数なら、先生がファン(信者)とコンサル仲間、知り合いに買ってもらうだけで発売早々数百冊が売れます。
ある程度売れれば重版(追加で本を刷ること)がかかります。
そうすれば「発売したばかりなのに早々に重版が決まりました!」と言って、Amazonランキングと合わせて、さも売れていて評価が高い本だと誤解させることができます。本当にセコイかしこいです。
Amazonランキングは操作できても、書店の売れ筋ランキングは操作できません。私は定期的に書店に足を運びましたが、A先生の本が売れている本のコーナーに置かれたりおススメの本として積まれることはついにありませんでした。
Amazonランキングとともに、Amazonレビューも白けたものです。
絶賛コメントは先生にゴマをすりたい信者が書いたものです。大したことのない本を素晴らしいと褒めることができるのは、本気でそう思っているなら普段本を読んでいないから良し悪しの判断ができないのでしょうね。
大した実績もないのにA先生に本が出せたのは、ブログの読者や信者もそこそこ多かったからだけでなく、ハンドメイドブームと、先にハンドメイド作家向けノウハウ本を出してヒットさせたB先生のおかげです。
こうやって出版セミナーも自称コンサルたちを食い物にしてるのですね。カモを食べて太ったコンサルが上にいるコンサルに食われる食物連鎖の構造が見えます。
大枚はたいたにも関わらず本が出なかったことについては、まあ、そうだろうなと思いました。
彼は本の出版を目指す前にはブログの書き方講習を受けて、つたない文章で読む価値のない俺様ブログを時々書いていましたが、読者が居ませんでしたから。
どんなに体裁が整った立派な企画書を持ってこようと、1日50PVもないブログ主では、私が出版社なら不安です。
逆に、ある程度(最低でも数百人単位)ファン(信者)が付いてることが確認できれば出そうと思えます。
書店の店頭で一般のお客さんに買ってもらえなくても、ファンが買ってくれますからね。
A先生の本の出版が決まった時、Facebookでは応援グループができました。
当時Facebookの応援グループには500人ほどが登録していました。そこには先生の信者やセミナー受講生だけでなく、先生のセミナービジネス仲間たちも居ました。
応援グループのタイムラインが大いに盛り上がったのは、本の発売日ではありません。先生が決めたAmazonキャンペーンの日です。
先生は「私の本は書店で買わず、ある日のある時間帯にAmazonで注文してほしい」と事前におふれを出していました。
そうやって買い控えをさせておいて、所定の時間に一斉に注文を出させ、一瞬だけ瞬間最大風速を吹かせてAmazonランキング上位を狙う のです。
たとえ一瞬でもランキング入りすれば「Amazonランキング◯位になった本です」と宣伝できるようになりますからね。へぇ〜、
先生は売らんかなと必死です。「10冊まとめ買いしてくれたら無料でセミナーしに行きます!」とか、最後は大盤振る舞いでしたからね。本を売るためには高額セミナーも投げ売りするのですから見上げたものです。
信者もごますりのいい機会なので、「先生の本は本当に素晴らしいです!」と、せっせとブログを書いて投稿したり、「お友達にもあげるので2冊書いましたー」などと投稿し、われ先にと媚びへつらっていました。
先生のセミナー講師仲間たちも「素晴らしい本なのでうちの受講生にも配ります」などと社交辞令を言い、一人で何十冊と買ってました。
お互いにそうやって助け合いをしているのでしょう。Amazonキャンペーン互助会ですね。
それを見れば見るほど私の気持ちは冷めました。
私はAmazonキャンペーンが始まる前にいくつかの書店に足を運んで、A先生の本が入っているか確認していました。発売日に本が入荷していたのは、高知県内の書店の中では一番の老舗書店だけでした。
その書店は数店舗を県内に構えていますが、書店員さんに本店と支店を合わせた入荷数を確認してもらったところ、入っていたのはたった1冊だけでした。
高知の中では力のある書店でさえこれだけ配本が少ないということは、高知県内全体で2〜3冊、もしくはこれ1冊しか入ってないのかもしれない。
都会に住んでいる先生の信者たちは「A先生の本、本屋さんにたくさん入ってます!」などと、書店の台に本が5冊くらい積まれている様子をFacebookに投稿していましたから、東京や大阪のような大都会の大手書店にはたくさん配本したのかもしれませんが、高知のような田舎には本が全然入ってない。
それはつまり、全国の書店に行き渡るほどそもそも本が刷られていないということです。
「初版発行部数は何部ですか?」と、出版コンサルの方にダイレクトに聞いてみましたが、「そんなことは言えるわけないじゃないですか」と返されました。
もちろん教えてもらえるとは思ってませんでしたが、本を出した実績のない無名の新人著者ですから、初版は1000部がいいところじゃないかと私は推測しました。
そのくらいの数なら、先生がファン(信者)とコンサル仲間、知り合いに買ってもらうだけで発売早々数百冊が売れます。
ある程度売れれば重版(追加で本を刷ること)がかかります。
そうすれば「発売したばかりなのに早々に重版が決まりました!」と言って、Amazonランキングと合わせて、さも売れていて評価が高い本だと誤解させることができます。本当に
Amazonランキングは操作できても、書店の売れ筋ランキングは操作できません。私は定期的に書店に足を運びましたが、A先生の本が売れている本のコーナーに置かれたりおススメの本として積まれることはついにありませんでした。
Amazonランキングとともに、Amazonレビューも白けたものです。
絶賛コメントは先生にゴマをすりたい信者が書いたものです。大したことのない本を素晴らしいと褒めることができるのは、本気でそう思っているなら普段本を読んでいないから良し悪しの判断ができないのでしょうね。
大した実績もないのにA先生に本が出せたのは、ブログの読者や信者もそこそこ多かったからだけでなく、ハンドメイドブームと、先にハンドメイド作家向けノウハウ本を出してヒットさせたB先生のおかげです。
B先生の本が出版界の予想を裏切ってよく売れ実用書のジャンルではベストセラーになったので、どうやらハンドメイド作家向けの本は売れるらしいと、2匹目のドジョウを狙った出版社たちが相次いでノウハウ本やレシピ本など、ハンドメイド関係の本をこれでもかこれでもかと出しまくりました。
そうして大量にわいて出た本たちは、一部の本を残してすでに書店の棚から姿を消しています。
書店から返された本はどうなるのでしょう?
数年は取次(仲卸業者)や出版社の倉庫に保管され、書店やAmazonを通じて注文があれば発送されます。コンサル先生方の本は一般にはもう売れませんが、著者だけは買い続けてくれるでしょう 。
自分のセミナーで受講生に販売してもいいし、「教科書」や「プレゼント」として配ってもいい。
セミナービジネスをしている人が自分の本を100冊単位で買取り、ファンに感謝のプレゼントと称して配りまくっていたのを見かけたことがあります。
本は絶版になれば裁断されます。自分の本が裁断されてこの世から消えてしまうのが惜しい著者は残った本を全部買い取ってくれるかもしれません。
これは出版社としては絶対に損をしない