JUDGE REVIEW 審査講評
ペトグラファー
小川 晃代
Akiyo Ogawa
みなさんから応募された沢山の写真を見てついつい笑みをこぼしながらの選考になりました。どの写真も可愛らしく、おかしく、そして愛情が込められているからです。そんなたくさんの作品の中から入賞・入選作品を選ぶのは大変な作業でした。今回私が選んだ作品は被写体のふとした表情や仕草からストーリーや空気感が特に感じられた作品たちです。この子はこんな気持ちだったのかなとか楽しそうだなとか、その瞬間の事を想像しながら見ると作品が活き活きとしてきます。今回入選しなかった作品たちもそれは同じです。そしてペット写真を撮り続けていつも思うことは、ペットの一番良い表情を撮れるのは飼い主さんである皆さん自身であるという事です。
常に一緒にいて信頼関係を築いているみなさんだからこそ撮れる素敵な写真はプロのカメラマンでも撮ることは難しいのです。そんな素晴らしい一瞬を捉えた写真たちが沢山あったから選ぶのに本当に苦労しました。応募された作品全てが被写体になった子たちに撮って最高の1枚であることは間違いありません。
見た瞬間に心をぎゅっと掴まれてしまいました。
冬を感じさせる落ち着いた色味と窓の外の雪を見ている様子がしっかりと伝わる構図は見ていてとても心地良いです。右にあるカーテンで猫の体が隠れているのも私的にはプラス評価です。写真を撮るために作った状況ではなく、猫の自然な姿を上手く切り撮ったように思えます。見る側としては猫ちゃんの暮らしをこっそり覗いているような感覚になりますね。このようなペットの日常の姿を写真としても美しく捉えるのは意外と難しいものですが、余計なものを入れずシンプルに、空間を上手く使って表現出来ています。
窓の外の一面の銀世界、静かに降ってくる雪、それを見つめる猫。その場の空気感が溢れ出たずっと見ていたくなる素敵な一枚です。