Colabo「バスカフェ休止」の抗議集会で反対派と衝突 「撮影するな!」「お巡りさんがおかしい」と絶叫
虐待や性被害を受けている少女たちの支援活動をしている一般社団法人「Colabo」がピンチだ。これまで事業を委託してきた都が、新宿区役所前でColaboが行ってきたバスカフェ事業を、反対派の妨害活動で混乱が生じていることを理由に休止すると通達したのだ。Colabo側は都庁前で抗議集会を開いて反発。その集会にも反対派が現れ、小競り合いが勃発するなど事態は収拾がつかない状況に陥っている。
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【写真】警察の制止も聞かずに「棒倒し」「転び公妨」…。男女入り乱れる大混乱となったColabo抗議集会
撮影者に「帰れ!」
3月29日午後7時。都庁前に行ってみると「体育祭」かと見紛う光景が目に飛び込んできた。男女約20人が3メートルくらいある「竿」に群がって「棒倒し」のように押し合いをしている。
「写真撮影禁止! 帰れ! 帰れ!」
竿の先にあるのはカメラだ。抗議集会の模様を記録しようとする2~3人の反対派をColabo側の十数人が力ずくでどかそうとしているのである。
「みなさんの安全を守るためにも、悪意を持った撮影者は消えてもらわないと困ります。帰って! 帰って!」
こうマイクで訴える責任者らしき若い女性。だが反対派の男性は“連隊旗”を死守する軍人のように、踏ん張って竿から離れない。「謝れ!」「うるせーよ! お前が謝れ!」。「帰れ!」「人に見せるためのデモンストレーションだろ、バカじゃねーの!」。
物々しい雰囲気のなか、定刻より数分遅れて抗議活動が始まった。代表の仁藤夢乃氏は現れず、先ほどの責任者がマイクを握り、「今日は都に抗議します。向こうに“敵”がいます!」と都庁に向かって叫び出した。
バスカフェ休止に怒ったColabo
「もう年度末ですよ。Colaboが最後のバスカフェをやりたい、やらせてくれと言っていたのにもかかわらず、先週は『中止』と言っていたんですが、今日は『休止』と言ってきたんです。休止というなら再開させてくれるってことですよね。このこともお昼に連絡すると言っていたのに、来たのは昨日夜だったり、あまりにも対応がひどすきます!」
およそ50人集まったColabo支持者たちがワーっと拍手で返す。
バスカフェとは、新宿の区役所前に止めたバスを拠点に、声がけして連れてきた10代の少女たちに食料や居場所を提供するColaboの主軸事業である。Colaboの会計不正問題が浮上した今年1月以降、バスカフェ前には活動日のたびに反対派が妨害に現れ、言い争いが起きるトラブルが発生していた。
3月14日には、Colabo側の申し立てで、裁判所が妨害の中心人物であったYouTuberに600メートルの接近禁止を命じる仮処分を出す事態に発展。一方、都は、場所を提供してきた新宿区が「通行人の妨げになっている」と改善を申し入れてきたこともあり、実施方法を変更するようColabo側に要請した。だが、Colabo側があくまで区役所前での実施を主張したため、28日にバスカフェの休止を通達した。
これに対し、Colabo側は「どうして妨害者のために大事な活動が潰されなければならないのか」と猛反発。二週にわたって、都庁前で抗議活動をするに至ったのである。
だが、抗議活動よりも彼女たちが躍起になっていたのは、目の前で聴衆者に紛れて“潜伏”している“敵”をあぶり出すことのようだった。
自分たちはビデオカメラで相手を撮影
何人かが〈写真、動画とも一切の撮影を固く禁じます〉と書かれたプラカードを手に持ち、怪しいと踏んだ男性の前に立ちふさがり、「いまスマホで撮っていましたよね」「名刺を出してください」などと声かけている。「なんでスマホ見ていただけで名刺出せとか言われなければならねーんだよ!」とブチ切れ出すサラリーマン風の男性。すかさず警察官が割って入る。都庁側の玄関前には数人の守衛が見守り、不測の事態に備えていた。
プラカードを持ったColabo支持者は、取材を続ける記者に対しても怪訝な顔で睨んできた。Colabo側は自分たちで撮影禁止と言いながら、相手の顔を抑えようとビデオカメラで撮影している。さすがに記者も黙っていられず抗議した。
――何の権限があってこんなことをするんですか?
「前回の集会でColabo側を非難するような動画がたくさん拡散されたからです」
――ここは公道であるし、こちらには取材する自由がある。
「取材は事前に申請があった方のみにお願いしています」
警察官を吊るし上げ始めた
結局、名刺を渡し、顔は写さないことを約束させられ、取材の“許可”を得た。公道に大勢が集まってデモをしているのに、許可した者以外の撮影を禁じ、撮影者には食ってかかるという彼女らの態度には、違和感を覚えた。
Colabo側はバスカフェが休止に追い込まれ、完全に熱くなっているようだった。警察官の制止を無視して、片っ端から怪しいと思った男性に詰め寄り、「撮影はやめて」と吊るし上げていくメンバー。やがて、反対派らしき男性が、「いてぇー」と叫びながら、“転び公妨”のように路上に倒れ込んだ。仲裁に入る警察官も大変である。
だが、マイクを握る責任者はしまいに警察官までも攻撃し始めたのである。
「お巡りさんも見てくださいよ! おかしいでしょ、やめてって言っているのに撮っているんですよ、お巡りさん。通行を妨害しないでって言うならば、撮影やめさせてくださいよ。混乱招いているのはお巡りさんじゃないですか!」
一方的な正義を振りかざすだけでは…
この散々な状況を見て、川松真一朗都議は「収拾がつかないところまで来てしまった」と嘆息する。
「確かにバスカフェ休止の原因となったのは、反Colaboを掲げるYouTuberの嫌がらせが原因です。ただ、そもそもColaboに批判が集まるようになったのは会計不正疑惑が浮上したからであり、領収書を出さないなど、都民や国民のみなさんが納得できない会計報告を行ってきたColabo側にも責任の一端はあるのです。東京都がバスカフェの代替案を考えるように打診したのに一切答えず、ただ『女の子たちを守りたい』と一方的な正義を振りかざすだけでは混乱は収まらない。事業を継続させたいならば冷静になってもらわないと困ります」
かくして都とも“決裂”したColabo。これからどこへ向かっていくつもりなのか――。
デイリー新潮編集部