「マイクロ波ビーム」というブログ記事では、米国特許6377436号を紹介するとともに、マイクロ波ビームを長距離に渡って直進させるために、赤外線レーザー71,75から照射する赤外線ビームを応用する旨を述べました。
しかしながら、マイクロ波ビームを構成するマイクロ波が赤外線スパイラルの外側に漏れ出さない原理は省略しています。
そこで、今回は、マイクロ波が赤外線スパイラルの外側に漏れない原理について述べます。
難しく記載すると、この原理は、プラズマ物理を応用しています。
簡単に説明すると、この原理は電離層が短波などの電波を反射するのと同様ということになります。
多くの読者は物理は専門でないでしょうから、簡単な説明にしておきます。
大気上空に電離層があるのですが、電離層では気体は電離していて、電子密度が比較的に高くなっています。
気体が電離した状態は、プラズマと命名されています。プラズマの定義は複数あるのですが、ここでは、簡単で分かりやすい定義にしています。
ちなみに、天然のプラズマはオーロラになりますが、オーロラは電離層で発生しています。
大気の構造としては、下から上に対流圏、成層圏、中間圏、熱圏となっているのですが、電離層は中間圏から熱圏になります。
短波は電離層で反射しています。電離層の反射を応用して、海外の短波放送を日本で受信することができます。
電離層のように電子密度が高いときには、電波を反射する性質があるのですが、電子密度と、反射する電波の周波数とは相関があり、そのような詳細はプラズマ物理になります。
電離層にある電子密度では、短波を反射するのに対して、マイクロ波は反射しません。マイクロ波は電離層を突き抜けて、宇宙空間にまで伝搬することができ、これに伴って、人工衛星や月面探査機などとの通信にマイクロ波が用いられています。
ところで、赤外線レーザーから赤外線ビームを大気中に照射すると、条件によっては、大気中の気体が電離して、プラズマが生成します。
赤外線レーザーが、フェムト秒赤外線レーザーのときには、大気を電離させるのは実に簡単です。要するに、簡単にプラズマを創れるのです。
ちなみに、フェムト秒赤外線レーザーの研究開発で、ムール―氏は2018年ノーベル物理学賞を受賞しています。
そこで、米国特許6377436号では、フェムト秒赤外線レーザーから赤外線ビームを発射して、大気中にプラズマを生成し、マイクロ波がプラズマで反射する性質を利用して、マイクロ波ビームを生成します。