『舞いあがれ!』『まんぷく』など朝ドラ常連俳優 榎田貴斗が藤沢役に込める人間らしさ

『舞いあがれ!』榎田貴斗が込める人間らしさ

 そんな榎田にとって、初となるNHK東京放送局製作の朝ドラ出演となった『ちむどんどん』(2022年前期)。川口春奈演じる小学校教諭・良子の勉強会仲間の一人、 上原役を務めた榎田の登場回はわずか2回。しかし、同じく勉強会仲間の里美(松田るか)が良子に対してさり気なく嫌味を言っている時も何食わぬ顔をしており、悪い人ではないが、あまり気遣い屋ではない性格が榎田の演技から伝わってきた。

 いまいち本心が読めないのは、今回演じる藤沢も同じだ。パイロットの内定を辞退し、本格的にIWAKURAの社員として働くことを決めた舞。そのことが社員に伝えられた会議の後、舞は営業の先輩である藤沢に「今日からよろしくお願いします」と頭を下げた。

 藤沢は他の社員とは違って、そんな舞に対し、あからさまに歓迎していないムードを出すことはしない。だが、どこか社長の娘である舞にどう接していいのか分からずにいるようだ。自分がお手本となって、その仕事ぶりを見せるのではなく、未経験である舞に一人で営業先を回らせる。浩太という大きな存在を突然失い、彼もまた戸惑っているのだろう。決して舞に嫌がらせをしたいわけではないが、藤沢も自分のことで精一杯で、後輩を育てるだけの余裕がないのだ。

 その矢先、第74話では、藤沢が過去に安く請け負った仕事が原因で赤字が出ていたことが明らかになる。リーマンショックで仕事が減った際、何とか売り上げを出そうとした結果だった。見方を変えれば、藤沢の本心を知ることにも繋がるであろうこの出来事がIWAKURAの追い風となってくれるか。10代からバイプレイヤーとして朝ドラを支えてきた榎田の演技にも注目してほしい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:福原遥、横山裕、高橋克典、永作博美、赤楚衛二、山下美月、目黒蓮、長濱ねる、高杉真宙、山口智充、くわばたりえ、又吉直樹、吉谷彩子、鈴木浩介、高畑淳子ほか
作:桑原亮子、嶋田うれ葉、佃良太
音楽:富貴晴美
主題歌:back number 「アイラブユー」
制作統括:熊野律時、管原浩
プロデューサー:上杉忠嗣
演出:田中正、野田雄介、小谷高義、松木健祐ほか
主なロケ予定地:東大阪市、長崎県五島市、新上五島町ほか
写真提供=NHK

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