卒業生紹介

卒業生インタビュー

茨城高専の卒業生は様々な分野で活躍をしています。
今回はその中から3名にスポットを当て、リモートインタビューを実施しました。
就職・進学先データだけでは見えてこない卒業生の素顔を紹介するとともに、彼女/彼らからみんなへのメッセージを届けます!

インタビュアー:一般教養部准教授/広報室長 井坂友紀


01.飯嶋 竜司さん

(2014年3月 電気電子工学コース修了)

宇宙航空研究開発機構(JAXA)
航空技術部門次世代航空イノベーションハブ
エミッションフリー航空機技術チーム

<略歴>
2012年3月茨城高専電気電子システム工学科を卒業し、同年4月に専攻科に入学。
2014年3月専攻科修了後、筑波大学大学院に入学。
2019年同大学院で博士号を取得後、JAXAに勤務。

―今はどんな仕事をしているの
環境にやさしい航空機を目指して、電気の力で飛ぶ「電動航空機」の研究をしています。日々の業務では自ら考えた装置を作って実験をしたり、企業や行政などと連携して電動航空機の実現に向けた枠組み作りにも取り組んでいます。

—純粋な研究だけじゃなくて、運営や管理にも携わるわけだね。大変そう!
確かに大変ですが、様々な分野の方々と協力して1つのゴールを目指すところは、茨城高専のロボット部でのロボコンの経験や面白さに重なりますね。

―飯嶋はロボット部で部長を務めたんだよね。航空宇宙分野の道に進もうと思ったのは茨城高専に入ってから?
子供の頃から宇宙のような未知の世界や、そこで活躍する乗り物やロボットが大好きでした。茨城高専で電気系に進んだのは偶然の重なりでしたが、その学びや経験が電動航空機という電気技術を通じて宇宙航空に挑戦するきっかけになりました。

―茨城高専で学んだことは今の仕事に活かされている?
高度で応用的な技術ほど、その基本原理に立ち返えるのが大切です。同時にそれを実現するための方法や段取りも重要になります。高専の授業や実習で学んだ工学の基礎やロボット部で得たものづくりの経験は今でも様々な場面で活かされています。

―それでは最後に、中学生にメッセージをお願いします。
「中学校を出てすぐに専門の勉強なんて早すぎるのでは?」・・・そんなことはないです。何かを創ってみたい人、物事の仕組みや原理に興味がある人、は是非入学してほしいです。高専で学んだことや挑戦したことは、きっと皆さんの可能性を広げると信じています。



02.稲垣 明里さん

(2013年3月 物質工学科卒業)

神戸大学大学院
理学研究科化学専攻 博士課程3年
日本学術振興会特別研究員

<略歴>
2013年3月茨城高専物質工学科を卒業し、同年4月に神戸大学理学部化学科に編入学。
その後、同大学院修士課程、大学院博士課程に進み、現在に至る。

—高専卒業後は研究一筋という感じかな?
もちろん研究活動はしっかり進めてきたのですが、実はそれだけではなくて、いわゆる大学発ベンチャーの仕事にも関わってきました。大きく言うと、様々な社会課題を解決するために大学での研究成果を基に新しい計測技術の開発を行うというものです。そのために、測定対象の構造や物性を勉強し、CADやプログラミング、金属加工、部品作成、電子回路作成等幅広いことをやってきました。

—専門分野に閉じこもる感じでは全くないね。
直近では大学の研究成果から医療機器を開発する事業に携わったので、今度は行政との関わりも深くなって、法律や規制についてもたくさん勉強しました。

—そういった仕事や研究の中で、高専での経験が活きているなって思うことはあるかな?

たくさんあるのですが、例えば「専門共通科目」(※現在の「副専攻」に相当)で他学科の基礎的な内容を学ぶ機会が与えられたことがあります。それがなかったら設計やプログラミングなどはできていなかったかもしれません。また、専門分野の異なる学生同士のつながりは、卒業後も大きな財産になります。

—それでは最後に、中学生にメッセージをお願いします。
高専は5年間で、夏休みや春休みも長く、また3年次が大学受験勉強一色となるといったこともありません。やりたいことを自由にできるし、また、何がやりたいかをじっくりと考えることもできます。高校ではそうはいかないですよね。漠然と「いい大学に入りたい」などではなくて、「何かを生み出したい」とか「何かを研究してみたい」と考えている人には、高専は本当にぴったりだと思います。



03.佐伯 健臣さん

(2018年3月 電子情報工学科卒業)

JR東日本
水戸支社土浦運輸区

<略歴>
2013年4月茨城高専電子情報工学科に入学。
2018年3月に卒業し、同年4月にJR東日本に入社。

―今はどんな仕事をしているの?
入社後すぐは東京駅で勤務していたのですが、今は車掌として勝田~品川間を乗務しています。車掌の仕事は車内放送やドア扱いだけではなく、いざという時に併発事故を防止しお客さまの命を守る列車の責任者でもあるので、プレッシャーは相当なものですが、その分やりがいも大きいです。

—電車関係の仕事に就きたいという想いは昔からあったのかな?
幼い頃から電車が大好きでした。大きくなってからは、地域の足として人々の毎日の生活を支えるという点に魅力を感じていました。

—茨城高専で学んだことは今の仕事に活かされている?
職場をもっと良くするための方策について仲間と協力しながら考えて実行したりなんていうのは茨城高専でやってきたことそのものです。4年生の時に吹奏楽部の学生指揮者として当時のいろいろな困難を乗り切った経験などがそのまま活きています。

—茨城高専に入ろうと思ったきっかけは?
もともと理科、数学、英語が好きで、この3つをやるなら高専かなという考えはありました。あとはやはり就職に強いというところにも惹かれました。実際に入って、本当に良かったと思っています。自分たちでいろいろとアイデアを出して自ら動くということができて、先生方とも距離が近くて。

—それでは最後に、中学生にメッセージをお願いします。
やはり高専と一般の高校とでは性格が異なるので、迷うのは自然なことだと思います。でも高専という選択を「正解」にするのは入ってからの自分次第です。正解だったと思えるような学校生活を送ってほしいし、それが可能な環境であると私は思います。