世の中は思い通りにならないけど、願いは叶う可能性がある。そんな幻想にリアリティを感じるようになったのはいつの頃からでしょうか? なぜならば俺もしくは俺たちはトクベツだから! 市井に紛れている自分が実はトクベツな人間なんだ! お前たち凡俗とは違うけど今日のところは大目に見てやってんだ、そこんとこ忘れて勘違いすんじゃねえぞ! と心の中で吠える狐狼インマイマインド!
それもこれもやはり、私が思春期に出会った富野喜幸※さんのせいです。
※『ガンダム』シリーズの総監督。現・富野由悠季氏
「つながりの悪さなんて気にしないぜヒャッハー!」多感な時期の樋口真嗣の感性を形作った、富野喜幸(現・由悠季)監督の凄まじい仕事量とスピード【『機動戦士ガンダム』劇場版3部作編】
『シン・ウルトラマン』が絶賛配信中の樋口真嗣監督。1982年、17歳の頃に見て“爪痕”ともいうべき強烈な印象を得た、原点ともいうべきその映画たちについて、熱情を燃やしながら語るシリーズ連載。第4回は前回の続きで『ガンダム』の劇場版を語る。作る側に回って初めてわかった、富野監督の凄さとは。
私を壊した映画たち 第4回
俺はトクベツという願望の充足
2009年、イタリアのロカルノ映画祭で名誉賞を受賞した際の富野氏
写真:AP/アフロ
あまりソリの合わない従兄弟含めて、一族郎党が実は地球に逃げ延びた絶滅寸前の異星人だった『無敵超人ザンボット3』(1977~放送)とか、空襲のどさくさ紛れに親父の仕事道具に乗ったら誰よりも上手く操縦できた理由が、まさかの環境に適応して進化した人類の変異種だった『機動戦士ガンダム』(1979~放送)とか、俺は黙っているけど実はみんなと違うんだ、というトクベツな存在になりたい願望を充足させてお釣りがくるぐらいの幻想を、田舎の中学校の教室に居場所がない東京からの転校生にとってはまさしく福音とも言える物語を、もたらしてくださったのが富野喜幸神 だったのです。
時を同じくして次々に創刊されたアニメ雑誌の数々。そこで語られる富野監督の御言葉を噛みしめ、来るべき新作発表を心待ちにしておりました。神よ! いざ作る側に回って初めてわかる凄さのひとつは、速さです。我々が視聴して消費するスピードを凌駕する加速で生産し続けているのです。
前回触れた『ガンダム』の本放送時に富野監督の執筆が始まった、“ノベライズではない、まったくのオリジナルの”小説版といい、凄まじい仕事量をこなしていくのです。
何よりもすごいのが『ガンダム』本放送終了から半年も経たない1980年5月には、もう新作のテレビシリーズ『伝説巨神イデオン』の放送が始まったことです。
それと並行してテレビ版を再編集した劇場版『ガンダム』が、1981年3月には公開されます。『イデオン』は1981年1月まで放送していたのに、ですよ?
私を壊した映画たち
「これが映画だ、ということに電撃に近いショックを受け、打ちのめされた」…大人が嗜む苦み走ったコーヒーやシガーのような滋味を初めて知った樋口真嗣を、同時に震撼させた劇場での光景【『ブレードランナー』】
私を壊した映画たち 第5回
「あいつは俺だ! アムロ・レイ14歳は、俺そのものなんだよ!」中2の樋口真嗣の選民意識と承認欲求を満たし、創作の道へと(多分)進ませた、アニメ作品の金字塔!【『機動戦士ガンダム』テレビ編】
私を壊した映画たち 第3回
「映画でここまで人間の葛藤を描けるのか!」高2の樋口真嗣を打ちのめし、池袋の街をさまよわせた『未知への飛行』。それを日本に持ち込んだ『シベ超』のマイク水野とは?
私を壊した映画たち 第2回
「アメリカのような資金力はなくとも、ドイツではアイデアひとつですごい映画が生まれている!」1982年、17歳の樋口真嗣に灼きついた『U・ボート』の疾走感
私を壊した映画たち 第1回
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