「あなたは馬でもなければ牛でもない。やめてください」
アメリカで医薬品や食品などの承認や規制を行うFDA(米国食品医薬品局)がこのようなツイートを投稿し、話題を呼んでいる。
イベルメクチンの過剰摂取で「死に至ることも」
FDAがTwitterでイベルメクチン使用に警鐘を鳴らしたのは8月21日。
「なぜ、あなたは新型コロナの治療および予防のためにイベルメクチンを使用すべきでないのか」と題した記事と共に投稿している。
FEAは「FDAが承認していない新型コロナ治療法を使用することは、臨床試験の一環でない限り、深刻な害をもたらす可能性があります」とコメント。
次のように注意を呼びかけた。
「誤った情報が多く、イベルメクチンを大量に摂取しても大丈夫だと聞いたことがあるかもしれませんが、それは間違いです」
「承認された用途のためにイベルメクチンを使用する場合でも、血液凝固剤のような他の薬と相互作用を起こす可能性があります。また、イベルメクチンを過剰摂取した場合、吐き気、嘔吐、下痢、血圧低下、アレルギー反応、めまい、運動失調、痙攣、昏睡、さらには死に至ることもあります」
「抗ウイルス薬ではない」「深刻な被害を引き起こす可能性」
FDAが理解を求めたポイントは次の5点だ。
(1)FDAは人における新型コロナ治療や予防のためにイベルメクチンを使用することを承認していない。
(2)イベルメクチンの錠剤はいくつかの寄生虫に対して使用する容量で承認されているもので、抗ウイルス薬ではない。
(3)イベルメクチンを大量に服用することは危険。深刻な被害を引き起こす可能性がある。
(4)イベルメクチンの処方箋を持っている場合、合法的な供給ルートから入手し、処方箋通りに服用すること。
(5)動物用の薬を自分に使ってはいけない。動物用のイベルメクチン は人間用に承認されたものとは大きく異なる。
馬用のイベルメクチンを自己投薬した結果…
実際に動物用のイベルメクチンを使用し、治療や入院が必要となったケースも多数報告されているとし、FDAは注意喚起した。
「FDAには、馬用のイベルメクチンを自己投薬した結果、医療支援が必要となり入院した患者の報告が複数寄せられています」
「動物用の医薬品は、人間の体重よりも1トン以上も重い馬や牛などの大型動物に使用されるため、高濃度のものが多くなっています。このような高濃度の薬の投与は、人間にとって非常に有害です」
尾身会長「ムードで何かを決めるべきではありません」
日本においても、一部でイベルメクチンを新型コロナ治療に使用すべきという主張がなされている。
8月19日、政府分科会の尾身茂会長はBuzzFeed Newsの取材に対し、こうした「イベルメクチン待望論」への苦言を呈した。
「イベルメクチンもそうですし、昨年話題になったアビガンなどもありましたが、薬についてはムードで何かを決めるべきではありません。しっかりとした研究をして、客観的なデータを示した上で議論する。社会政策について提案や意見をするのであれば、何らかの根拠を伴っていなければいけません」
「パンデミックが起きている時に、治療薬がほしいという気持ちはよくわかります。でも、こうした議論は、まずはしっかりと科学的なデータを確認した上で進める必要があります」