(続)とある最底辺歯科医の戯れ言集

日本語が不自由な歯科医師のろくでもないお話 

JAROついに動く

 

 

 

次亜塩素酸水の宣伝

コロナが流行してからの次亜塩素酸水の宣伝は凄かった。

毎日のように当院にもFAXが来た。

もう電解水なのか次亜塩素酸ナトリウムの中和なのかよくわからなくなる程来た。

 

これは次亜塩素酸ナトリウムを中和したものかと思うが、当院に来たFAXの一例である(保存しておいてよかった)。

f:id:spee:20200623154320j:plain

これをみるとコロナウイルスやノロウイルスへの対策として有効であるような書き方をしているし、空間除菌できるという触れ込みになっている。

 

ネットを見るとあれだけコロナに効く!という業者の宣伝まみれだったのが、NITEの中間報告でかなり風向きが変わってしまったのか順位が高いところから一掃されてきているようだ。

しかし、それでも次亜塩素酸水業者達は自分達の正当性を証明すべく色々な手を打っている。

 

今までの簡単な流れは以下を参照して欲しい。

 

ここで昨日広告業界のご意見番であるJAROが次亜塩素酸水についてもの申したのである。

 

JAROによる発表

JAROといえば日本広告審査機構である。

詳しい事は実際のサイトを閲覧して確認して頂きたいが以下のような団体である。

https://www.jaro.or.jp/about/nanjaro.html

消費者に迷惑や被害を及ぼすウソや大げさ、誤解をまねく広告をなくし消費者から信頼される良い広告を育てたいという思いから、広告主や新聞社、出版社、放送会社、広告会社や広告制作会社などの広告に関係する企業が自ら集い、1974年に設立された

 

そのJAROが最近の次亜塩素酸水の広告、宣伝に対して以下の様な発表を行った。

 

次亜塩素酸水で手指の消毒をうたえるの? | 化粧品・医薬品・美容健康用具 | JARO 公益社団法人 日本広告審査機構

 

Q 消毒用アルコールの代替品として、次亜塩素酸水が出回っています。手指消毒をうたった次亜塩素酸水の広告の掲載依頼がきていますが、問題はありませんか。

A 新型コロナウイルスの感染予防として、こまめに手を洗うことや不特定多数の人が手を触れるものへの除菌などが推奨され、アルコール消毒液が不足しています。このため、ウイルスに有効とみられるいくつかの代替品の検証も行われています。このような中、JAROへの相談事例を見ると、アルコール消毒液に代わるものとして次亜塩素酸水へのご意見や照会が多く寄せられています。

 製品評価技術基盤機構(NITE)の発表をみると、次亜塩素酸水の新型コロナウイルスへの有効性は確定していないようですが、商品としては既に多く出回っています。これは次亜塩素酸水の多くが雑貨品として販売されていて、医薬品、医薬部外品のような製造許可、販売許可が必要ないところも関係しているようです。

 有効性についてはJAROでは判断できませんが、広告に関してはいくつかの指摘があります。まず、商品が医薬品や医薬部外品ではない雑貨品である場合、仮に本当に効果があっても、特定の疾病や特定の菌、ウイルスへの有効性はうたうことはできません。これは医薬品医療機器等法により、特定疾病や特定ウイルスへの効果は、医薬品等の効果として認められているものでなければならないとしているためです。菌やウイルスを特定しなければ、雑貨品でも物品への除菌やウイルス除去はうたえますが、これは洗浄やふき取りなど物理的なもので、作用としての殺菌やウイルスの死滅はいえません。また除菌であっても手指など人体への除菌はうたえません。肌への効果の訴求は医薬品、医薬部外品でなければならないからです。これは雑貨品だけではなく化粧品であっても同様です。化粧品の効果に除菌や殺菌は無いからです。

 以上のことは医薬品医療機器等法に関する広告表示規制ですが、消費者庁では新型コロナウイルスに関する感染予防を標ぼうする広告表示は、現状では客観性・合理性を欠き、景品表示法、健康増進法違反のおそれが高いものとして、多くの改善要請を行っています。現状、次亜塩素酸水が「新型コロナウイルス対策」と表示して広告することはできないといえるでしょう。

 ところで医薬品、医用部外品でなければ手指消毒はうたえないと先に述べましたが、アルコール消毒液の不足に対応するため、厚生労働省では事務連絡(※)を出して、メタノールを含まない60%以上のエタノール濃度の製品を、医療機関などでの代替品として使用を認めました。この製品は製造、販売などで医薬品医療機器等法の規制は受けません。また広告などに「本製品は医薬品や医薬部外品ではありませんが、消毒用エタノールの代替品として、手指消毒に使用することが可能です」と記載することが可能としています。(※令和2年4月22日事務連絡 新型コロナウイルスの感染者が増加している状況に鑑みた臨時的・特例的な対応であり、今後の流行状況の変化等により取扱いが変更・廃止されることがあります)

 赤字の所が非常に重要である。

医薬品や医薬部外品でない場合、仮に本当に効果があったとしても、特定の疾病や特定の菌、ウイルスへの有効性はうたうことはできない。菌やウイルスを特定しなければ除菌やウイルス除去はうたえるが、人体への除菌はうたえない、とある。

 

うがいを売りにする歯科医院

ここで1つ疑問におもうことがある。

そう、次亜塩素酸水におけるうがいを推奨し、それをサイトで売りにしている歯科医院があるということだ。

そして彼らの扱っている次亜塩素酸水は医薬品に指定されていない。

当ブログではもうしつこくこれは法律に抵触するんじゃないか、ということを指摘しているわけだが、今回これに対して念押しされた状況になったといえるのではないかということだ。

また次亜塩素酸水などの電解水のうがいに関するエビデンスは今の所殆どないと言ってよいと思う。

前回も触れたが、洗口液とその使い方ガイドブックのCQ10でバイオフィルム抑制効果は定かではないと結論づけている。バイオフィルムとは細菌の塊みたいなものでそう簡単に除去出来るものではないが、特定の歯科医院は次亜塩素酸水を使えば簡単に落ちる的な宣伝をしているところがあるが、それはこのエビデンスと相容れないものである。 

spee.hatenablog.com

 

どちらにしても次亜塩素酸水を口の中に使い菌やウイルスへの効果をうたう行為は現在法律上認められていない行為というお墨付きが増えたということになるだろう。

 

 

魚拓

f:id:spee:20200623155313j:plain