当ブログ次亜塩素酸水戦いの歴史
さて、当ブログだが次亜塩素酸水というものと戦ってきた。
それは歯科医院で歯周病などへの効果を謳い次亜塩素酸水を結構な高額で販売しているところが案外多く存在するからである。
こういった次亜塩素酸水は薬機法を通過しておらず、人体への使用に関して大きな問題があるし、実際歯周病などへの効果に関するエビデンスはあると言い難い。むしろほぼない。
そういった戦いからスタートしたわけだが、いつの間にかコロナに次亜塩素酸水の話が大きくなってきた。また次亜塩素酸水を販売している歯科医院もコロナへの効果を謳い販売促進を図ろうという感じになった。
アルコールが本当になくなったときには、当院にも毎日のように次亜塩素酸水販売業者からFAXが来た。
多分相当儲かったんだろうね。
某歯科大学教授がテレビでコロナ対策で次亜塩素酸水でうがいしているとか言っちゃう事件まで起こった。
しかし、5月末に風向きが変わる。
NITE(製品評価技術基盤機構)が中間報告で効果に懐疑的な姿勢を見せるとそれに対して業者側やお抱えの大学人たちが猛反発して記者会見を開いたり、追加で実験したりして効果をアピールした。
それに合わせて次亜塩素酸水に否定的な立場の人に対して色々と攻撃してきた。実験方法などをよくみると効果はあるのだろうが、使用条件等がかなり厳しく実際日常で使用できるようなものとは言えそうになかったので、それを書いたらTwitterで変なリプが何個か来た。
何か訳の分からない戦争状態になったわけ。
6月末にNITEの最終報告が出ると次亜酔達は勢いづいた。
特定条件下で効果がある、という結果になったのだ。
ほら、やはり効果があるじゃないか!!
と反対派に対して絡んできた。
しかし、それは前述したとおり使用条件や管理条件が厳しく一般人が気軽に使えるような形ではなかったので、以下のブログを書いた。
実際条件が厳しく限定されてから次亜塩素酸水に関して身の回りで聞くことはほぼなくなった。
次亜塩素酸水は特定条件で使用すればかなり有効な消毒液と言える。しかし4月頃の販売方法の多くは特定条件を守ってどうこうではなく、次亜塩素酸水と名前がついてて売れりゃなんでもいい、みたいな足元を見た商売だったと思う。実際濃度なんかもバラバラだったらしいし。
北里大学の発表
北里大学はNITEにも検証実験データを提供している大学である。
その北里大学が先日発表を行った。
この中で北里大学は次亜塩素酸水と二酸化塩素系についても検証している。
研究結果としてはアルコール系消毒薬はアルコール濃度50%以上であれば完全消毒可能であったが、次亜塩素酸水、二酸化塩素では完全に消毒できなかったとしている。
北里大学は業者に製品と企業情報の公開許可を取っている。商品名とメーカーが記載されている物は公開が許可されたものである。次亜塩素酸水、二酸化塩素に関して公開を希望したのは1社のみであり、全て消毒不十分という結果だった。
社名非公開ということは、うすうすこういう結果になると業者側も思っていたのではないだろうか?アルコール系消毒剤やハンドソープなどは9割ぐらいの商品が公開されているのと対照的である。
次亜塩素酸水だけでなく二酸化塩素までぶっ叩いてくれて有り難う、と言わざるを得ない。
業者側の反撃は?
NITEの時はすぐに反攻に出た次亜塩素酸水業者達だが、今回はネット検索しても全然出てこない。
NITEの最終報告の段階でほぼ引導が渡されていて、今回がトドメになったのか。
NITEの中間報告の時とは対照的である。
まあ、それでも情弱相手に商売していくんだろうね。
FB界隈みてると次亜塩素酸水うがいを信仰する歯科医師集団は確実に存在するし。
追記
と思ってたら探していたら反論が見つかった。
ピュアソンという次亜塩素酸水業者の反論
https://www.pureson.co.jp/pdf/20200902a.pdf
化学の専門家に見てもらうかな、というところだが、
北里大学はNITEの検証にも参加しており、その際には実験条件などはしっかり出しているわけで、この指摘はなんというか苦しい反論に私は見える。
まとめ
NITEと北里大学の結果を総合すると
次亜塩素酸水でコロナを完全に消毒するための条件はかなり厳しく、一般家庭での使用には適さない
ということかと思う。
効果がないとは言ってない。
効果はあるだろうが条件が厳しすぎるの。
それならアルコールの方が遙かに簡便で効果が高いということなの。
ということで次亜塩素酸水とコロナの話は終わりにできそうな気がしてきた。
しかし、まだ戦いは続くのである。
そう、次亜塩素酸水うがい歯科医集団がいる限り・・・。
なお、これからは次亜塩素酸水がコロナに効くという歯科医院のサイトを見つけたら積極的に晒していきたいと思っています。