奈良県内議員3人が政務活動費から旧統一教会の友好・関連団体へ支出
奈良県内の自民党地方議員3人が旧統一教会の友好団体や関連団体に政務活動費から会費などを支出していたことが、奈良県議会と奈良市議会で公開されている収支報告書からわかった。朝日新聞の取材に、3人とも安倍晋三元首相の銃撃事件後に旧統一教会と団体のつながりを知ったと説明。うち2人は返金し、1人も今後返金する意向を示した。
奈良市議会の北良晃議長(6期目)は、記録が残る過去6年間にわたって、旧統一教会が友好団体とする「世界平和連合」に会費として毎月3千円を政務活動費から支出していた。取材に対し、北議長は「(世界平和連合の)月刊誌を定期購読する費用だった」と認め、知り合った世界平和連合奈良県連合会の男性から購読を勧められたことがきっかけだったと説明した。
「事件後に旧統一教会と関係がある団体だと知った」として、定期購読を解約。支出した分の政務活動費の返金も検討するという。自身の選挙への旧統一教会や世界平和連合による組織的な支援は否定した。
中野雅史県議(大和郡山市選挙区、6期目)も世界平和連合に対し、記録が残る過去5年間に機関誌の購読料として年3万6千円を政務活動費から支出していた。中野県議は事件後の7月25日付で収支報告書から支出を削除する修正をした。県議会事務局によると、同20日ごろに報告書の修正と返金の申し出があり、8月上旬までに返金の手続きは完了したという。
中野県議は取材に書面で回答。「知人の公務員の方から、世界情勢や国防について広く知識を得られる雑誌なので、議員活動の参考にと、勧められ購読することになった」と経緯を説明。返金理由について「(世界平和連合に対して)報道を見聞きする中で腹立たしさを覚え心情的な理由から返金することにした」と答えた。世界平和連合が旧統一教会の友好団体との認識は「なかった」といい、「選挙のお手伝いは、まったくありません」としている。
小村尚己県議(生駒郡選挙区、1期目)も2021年5月以降、政務活動費から毎月2千円を「平和大使協議会」の会費に充てていた。同協議会も旧統一教会の関連団体とされている。取材に応じた小村県議によると、公開している自身の連絡先に「政治的な雑誌をとりませんか」と知らない番号から電話があり、申し込んだ。雑誌は北、中野両氏と同じもので、会員にはセミナーや各種行事の案内も届くようになっていたという。
事件前は旧統一教会について「そもそも知らなかった」と説明。事件後に霊感商法などを知り、「旧統一教会の被害者が多くいるなら購読は適切ではない」として定期購読を解約した。7月25日に収支報告書から支出を削除する修正をした。県議会事務局によると、中野県議と同様に、8月上旬までに返金手続きは完了したという。
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