【今だから明かす あの映画のウラ舞台】偉人編(中) 風間トオル「わが愛の譜 滝廉太郎物語」 異例の「製作委員会」発足で撮影実現
共同製作がポシャり、映画化も危ぶまれたが、当時では珍しい「製作委員会」を発足させ、日本テレビと提携、読売新聞やTOKYO-FMなどからの出資を引き出し、撮影にこぎつけた。
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音楽映画では演奏ぶりがウソっぽくみえると一気にしらけてしまう。
澤井監督は、廉太郎役に風間トオル、恋人のピアニスト役に鷲尾いさ子を指名したが、ピアノの大特訓が前提。ふたりとも手首は腱鞘炎に、指先からは血が出るほど練習させられた。
ドイツロケの演奏会のシーンでは、ベルリン・フィルの楽団員による特別編成のオーケストラを登場させ、重厚感あふれるサウンドを響かせた。
宣伝でも注目された。当時、童謡CDで人気の由紀さおり・安田祥子姉妹をゲストに、東京フィルによる「憾」の完成記念コンサートを東京と大阪で仕掛け、さらに由紀・安田姉妹による記念CDもリリースした。
「おかげで『不良性感度』のいつもの東映とは違うイメージをつくることができ、高い評価を得た。興行成績もタマが順調にはけた」と福永。
福永にとって、映画のDVDと記念CDは宝物になった。
■福永邦昭(ふくなが・くにあき) 1940年3月17日、東京都生まれ、76歳。63(昭和38)年、東映に入社。洋画宣伝室や宣伝プロデューサー、宣伝部長、東映ビデオ取締役を経て、2002年で定年退職。一昨年、「日本元気シニア総研」に参加し、研究委員、シニアビジネスアドバイザーの資格を取得。