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【今だから明かす あの映画のウラ舞台】偉人編(中) 風間トオル「わが愛の譜 滝廉太郎物語」 異例の「製作委員会」発足で撮影実現

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【今だから明かす あの映画のウラ舞台】偉人編(中) 風間トオル「わが愛の譜 滝廉太郎物語」 異例の「製作委員会」発足で撮影実現

滝廉太郎を熱演した風間トオル

 東映らしからぬ伝記映画「福沢諭吉」(1991年)を成功させた宣伝マン、福永邦昭は翌年、宣伝部長に就任すると、本格的音楽映画を自ら企画。それが「わが愛の譜(うた) 滝廉太郎物語」だ。だが「福沢諭吉」同様、“タマ(前売り券)”の確保が必須条件だった。

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 「福沢諭吉」のロケを大分県で行った際、当時の平松守彦知事が「うちの県にはもうひとり、有名な偉人がいる。ぜひ映画に」と福永に言った。それが滝だった。

 明治期に滝の作った歌曲「花」「荒城の月」は誰でも知っている。ドイツ留学中に病に倒れ、恋人と別れると、志半ばで帰国。ピアノ曲「憾(うらみ)」を遺して、23歳の生涯を終えたことはあまり知られていない。

 自身もトロンボーンを演奏する福永は、「なぜタイトルが〈憾〉なのか。それだけもドラマになる」と直感した。

 早速、「福沢諭吉」の監督でクラシック音楽に造詣の深い澤井信一郎に相談。その答えは明快だった。「会社を説得するにはタマ次第だ」

 翌93年はちょうど滝の没後90年。創業90年を迎える企業を調べ上げると大和証券がぴったりだった。そこで大和証券の協賛を仰ぎ、タマによる観客動員とパブリシティーを前提にしたメディア戦略を組み立てた。

 福永自ら大和証券経営陣と岡田茂東映会長とのトップ会談を設定し、共同製作での合意に成功するも、「直後に大和証券内部の不祥事で実現には至らなかった。それでも予定通り大量の前売り券を買ってもらった」。

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  • 「わが愛の譜滝廉太郎物語」(DVD発売中、4500円+税、販売:東映、発売:東映ビデオ)

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