「卒業式に出たい」小児がんと闘う小学6年生 治療を励まし続けたクラスメートと少年の絆 

メ~テレ(名古屋テレビ)3/29(水)18:44

「卒業式に出たい」小児がんと闘う小学6年生 治療を励まし続けたクラスメートと少年の絆 

「卒業式に出たい」小児がんと闘う小学6年生 治療を励まし続けたクラスメートと少年の絆 

つらい治療を乗り越えて、卒業式に出たい。小児がんと闘う小学6年生、橋本湊君。桜が咲き始めた、先週。学校には、クラスメートに囲まれる湊くんの姿がありました。

小児がんと闘う小学6年生 橋本湊くん

 何度も通った、病院の扉。でも、この日は、特別でした。

「まだ様子を見ていかないといけないけど、ひと通りの治療が終わったので退院という形になりました」(湊くんの母・仁美さん)

「本当に夢にも思わなかったですね。本当にもう…現実に思えない」(橋本湊くん)
Q:外の空気は
「おいしいですね」(橋本湊くん)

 9か月間の入院生活。大きな目標を持って、病気と闘ってきました。

脳腫瘍の中でも稀な「混合性胚細胞腫瘍」

つらい闘病の日々(2022年10月)

 2022年6月、脳腫瘍の中でも、まれな「混合性胚細胞腫瘍」と診断された三重県の小学6年生、橋本湊くん(12)。

 腫瘍の摘出手術をした後、抗がん剤による化学療法などの治療に取り組んできました。

「常に吐き気が来て、それと伴って痛みがあった。だいぶしんどかったなー。楽ではなかったですね」(橋本湊くん)

「きつい薬をいれるので何日かだるい日が続いたり、ご飯も声かけても『いらない』って言ってずっと寝ていたりで」(湊くんの母・仁美さん)

病室の湊くんを、クラスメートたちはずっと励ましてきた

修学旅行にオンラインで参加

 2022年7月から「院内学級」へ。小学校最後の年、大半を病院で過ごしてきました。

「小学6年生なのに運動会も修学旅行も諦めざるを得なくてたくさん悔しい思いをしてきた」(母・仁美さん)

「友達が色々計画してくれたのに、(修学旅行に)行けないっていうのは情けないなって。ずっと泣いていましたね」(橋本湊くん)

 病室の湊くんを、クラスメートたちはずっと励ましてきました。

 修学旅行などの行事には、湊くんがオンラインで参加できるよう工夫。コロナ禍で、面会はできませんでしたがともだちとの絆が、つらい治療を乗り越える力になりました。

「卒業式までには退院するっていう目標を持って毎日過ごしています。友達が『卒業式には絶対出ような』と言ってくれて、思いにはこたえたいなと思って(小学校の)卒業式には出たいと思いで頑張ってきましたね」(橋本湊くん)

久々の自宅で大好物をガブリ

大好きなハンバーガーをガブリ

 手術と治療で入退院を6回繰り返しました。そして、ついに。

 ひと通りの治療を終え、3月16日、病院を後にしました。

「本当に退院したんやな。一時退院の気持ちやわずっと」(橋本湊くん)

 病名を告げられた当時は、食欲がなくなったという湊くん。久々に家に帰って…。

 ずっと楽しみにしていた「ハンバーガー」をほおばります。

「懐かしい(笑)うん、いつも以上に染みわたる」(橋本湊くん)

 手術の後遺症や合併症への不安。見守る両親は、気の抜けない日々が続きます。

「正直今後のことのほうがいろいろ考えることも多くて…これからだなと思っている」(父・陽さん)

「本人がここまで治療を頑張ってきたので、後は本人の力を信じて見守っていくしかないと思っています」(母・仁美さん)

 退院した次の日。9カ月ぶりに、小学校を訪れると。クラスのみんなが出迎えてくれました。

「みなさん、拍手〜!」(担任の先生)
「もう最高です」(湊くん)

 ひさしぶりに会う親友とのハグも。うれしくて、ちょっと照れくさい。待ちに待った再会の時は、あっという間に過ぎていきました。

直前まで練習…緊張の本番

しっかりと両手で受けとった卒業証書

 迎えた、卒業式当日。退院から4日後のことでした。

「緊張する、卒業式、最後のビッグイベント」(橋本湊くん)
「おめでとうございます」(学校の先生)

Q:きのうはよく眠れた
「ちょっと緊張して多少寝るのが遅くなっちゃっいました。卒業式最後なので、最後のイベント楽しんで、悔いのない卒業式にしたいです」(橋本湊くん)

 湊くんの周りには、自然と友達の輪が。退院してから卒業式の練習に参加したのは1回だけ。何度も段取りを確認します。

「いやー、すごいガッチガチになりそう。卒業証書もらう練習しよう。左、右、一歩下がって一礼」(橋本湊くん)

 午前9時すぎに開式。直前まで練習していた卒業証書授与。

「橋本湊!」(担任の先生)
「はい!」(橋本湊くん)

 両手で、しっかりと受け取ることができました。

素敵なサプライズに、湊くんの目から涙が

クラスメートから素敵なサプライズも

 卒業生からの「別れの言葉」で卒業生の人数に触れるパートを湊君に託した担任の先生。特別な思いがありました。

「退院して戻っていなければ161人となっていたところ彼もそろって含めて162名となったので、それは本当によかったなとぜひ彼に言ってほしかったので、力を込めて言ってくれた」(湊くんの担任の先生・森永智恵先生)

 無事に終わった卒業式。教室に戻って、先生から1人1人に卒業証書が手渡されます。

 湊くんの番になると…

「次は全員で呼ぼうか。だって、湊さんが退院していなかったらこの場にいないからね」(森永智恵 先生)

「せーの、橋本湊さん」(クラス全員)
「はい!」(橋本湊くん)
「湊さんがいての6年1組です。掲げてひとこと」(森永智恵 先生)
「本当に1年間ありがとうございましたー!」(橋本湊くん)

 素敵なサプライズに、湊くんの目から涙が。

「湊さん、どうした?」(森永智恵 先生)
「第二波がきました…」(橋本湊くん)

 温かな涙に包まれた、特別な日。忘れられない門出となりました。

湊くんの夢はーー

「優しいお医者さんになりたい」

「みんなと出られたっていうのと、短い期間ですけど、練習した成果も出せたので最高の式にできました。この日を目標に頑張ってきたので、登校できたうれしさとみんなに会えたっていうのといろんな思いで、いっぱいになって涙が出ちゃいましたね」(橋本湊くん)

「病気になって1年前と姿も変わってしまったけど本人はこれが自分が頑張った証だからって隠さずに隠れずに前に出ていく姿勢を見て、すごく励まされたのと、本当にいろいろなことを思い出して、姿を見ただけで涙がとまらなかったです」(母・仁美さん)

「いろいろな人の支えがあって、卒業式を迎えられたし湊自身も治療を頑張ったことできょうを迎えられたので感謝しています」(父・陽さん)

 4月からは、中学生。さらにその先には、描いた夢があります。

「将来、僕みたいな病気で苦しんでいる人を助けられるお医者さんになりたい」(橋本湊くん)

Q:どんな医者になりたい?
「優しく対応のできる優しいお医者さんになりたいです」(橋本湊くん)

(3月29日15:40〜放送メ〜テレ『アップ!』より)

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