ホーム > 海の相談室 > 海に関するQ&A |
海に関するQ&A |
|
|
明治5年の海の測量
釜石港が、日本人のみの手による第1号海図に選ばれ、陸中國釜石港之図 として、明治5年(1872年)に刊行されました。この第1号海図の記念碑が、釜石大観音の境内に建立されています。
海上保安庁では、船舶が安全かつ経済的に航海できることを主目的に、水深、底質、暗礁等の水路の状況、沿岸の地形、航路標識、自然・人工目標等その他航行、停泊に必要な事項を正確に見やすく表現した「海図」を刊行しています。
明治の往時、海図の基礎資料である水深(海の深さ)とその位置は、どのようにして測っていたのでしょうか?
水深の測定は、索(ロープ)の先に鉛を結びつけた錘測索と呼ばれるものを、船から海底に垂らし、繰り出した長さを計測し一点、一点を測っていました。
簡単で、たやすい事だと思われるかもしれませんが、この作業には、行き足のある船の直下を測定する卓越した技術と膨大な量の水深点を測る気力・労力が必要でした。
なお、水深の単位は現在はメートルですが、当時は尋(約1.8m)となっています。
水深測定位置は、六分儀という名の角度測定器を用いて、物標3点の中央物標からの両角度を計り自船の位置を求める三点両角法によるものでした。進航し、動揺している船上で、ようい「てい」という合図の下、一瞬のうちに両角度を計る至難の技を持つ人が、その任に当たったようです。六分儀による位置測定方法は、現在でも一部採用されています。
それでは、当時の測量精度はどうだったでしょうか。現在の海図と比較して検証した結果は、水深値及び位置共に良い精度で特に位置については、現在の基準に照らしても遜色のないものでした。
現在の測量方法・手法とは、かなりの違いがありますが、レベルの高い技術を持っていたことが窺い知れます。
測深する人、位置を決定する人、水深と位置を記帳(記録)する人、船を操る人との連携が推察され、また、日本人のみの手による第1号海図を作るんだという意気込みと使命感を、 この第1号海図「陸中國釜石港之図」を見ながら感じました。
第二管区海上保安本部「海の相談室」では、海に関する「いろいろ」なご質問に対し、情報の提供を行っています。ご利用いただければ幸いです。 |
|
|
月と満潮・干潮の関係?
海面が一番高くなったときのことを満潮、逆に一番低くなったときのことを干潮といいます。
そして、日によっては1日1回のところもありますが、通常は1日に2回干潮と満潮が起こります。
また、満潮・干潮の時刻は、毎日約50分程度遅れてゆきます。
どうして、このような事が、起きるのでしょうか? それは、干潮や満潮の動きが月や太陽等の天体の運動と密接な関係があるからです。
特に、地球に最も近い天体である月の持つ、海面を動かす力が大きく働きます。
確かに月は、太陽の1/27,000,000の重さしかありません。けれども、海面を動かす力は太陽の約2倍持っています。
なぜなら、太陽が月に比べると地球までの距離が遥かに遠いため海面を動かす力が月の半分になってしまうからです。 |
|
|
大潮・小潮って何のこと?
昔から海を生活の場としてきた漁師さん等の間で、潮の満ち干きの大きさ等を表現する言葉として、「大潮・小潮・長潮・若潮」という言葉がよく用いられてきました。
潮の満ち干きは、月や太陽等の引力によって、引き起こされるものです。特に地球に一番近い距離にある「月」の運行が潮の干満に大きな影響を与えます。
この「月」を基準にして作られた「旧暦」と「新月」や「満月」等の「月の形」を基準として名付けられたのが「大潮・小潮・長潮・若潮」です。
一般的には、下のように分けられますが、その地方地方によって異なってきます。 |
大潮 |
潮の干満の大きい状態で、新月(旧暦1日頃)や満月(旧暦15日頃)の前後数日間のこと。 |
中潮 |
大潮と小潮の間の期間で、旧暦の3~6日・12~13日・18~21 日・27~28日の頃 |
小潮 |
潮の干満の小さい状態で、月の形状が半月になる上弦(旧暦8日頃)や下弦(旧暦22日頃)の前後数日間のこと。 |
長潮 |
弦・下弦を1~2日過ぎた頃、干満の差が一段と小さくなり、満潮・干潮の変化が緩やかでダラダラと長く続くように見える小潮末期(旧暦10日・25日)のこと。 |
若潮 |
小潮末期の「長潮」を境に大潮に向かって、干満の差が次第に大きくなってきます。この様に潮が再び大きくなる状態を「潮が若返ると言い、長潮の翌日が「若潮」と呼ばれています。 |
|
|
|
津軽海峡は日本海?太平洋?
国内で分類されたものは無いようですが、各国の海図を作成している機関が加盟している国際水路機関(IHO)が、業務上の便宜のために"いかなる法的、政治的意味を含むものではない"とコメントして定めた区分では、日本海と太平洋の境界として恵山ポイントと尻屋ポイントを結んだ線となっています。
したがって、これによれば、津軽海峡は日本海に含まれています。 |
|
|
船の速度はなぜノット?
1ノットは1時間に1海里(1,852m)進む速さです。
この1海里=1,852メートルは、国際水路機関(IHO)により国際海里として決められたものです。
ですから、「海里」とは地球の大きさをもとにつくられた単位ということになります。
では、なぜそのほうが便利なのでしょうか。海の上には目標となるものがありません。
海図を頼りに船を進めていくわけです。海図に書いてある目標は緯度と経度です。
例えば、船を北か南に進めた場合、速力に時間をかければ、海図上でどれくらいの緯度を 進んだか、だいたいの見当がつくという訳です。
緯度と経度を利用して運航する飛行機でも、ノットを使って速度を表しています。 |
|
|
海の交通ルール?
交差点の信号機の青は「進め」、赤は「止まれ」です。
では、広い海の上はどうなっているのでしょうか。船が航行中に従う交通ルールは、大きく分けると海上衝突予防法、海上交通安全法、港則法の3つがあります。
・海上衝突予防法
海上では右側通行、船に付ける灯火のきまり、船が遭難したときの遭難信号などに
ついて定められています。
・海上交通安全法
東京湾、伊勢湾、瀬戸内海など、船舶交通が輻輳する海域に適用され、スピードの
制限や航路の横断禁止など、特別の交通方法について定められています。
・港則法
船が港に出入りするために必要な港のルールで、港内では、港を出ていく船が優先
することや航路での追い越し禁止、行き会う場合の右側通行などについて定めてい
ます。 |
|
|
船酔い
海は大好きなのだが、「船に乗るのは酔うから嫌だ」という声をよく聞きます。
それでは船酔いは、どうして、どんなときに起き、どんな症状になるのでしょう。
耳の奥にある三半規管というものが、人間の体のバランスを保つ働きをしているのですが、船のように揺れる乗り物の上にいると、これが脳に信号を送って、体のバランスが崩れていることを知らせます。連続して、長い時間、揺れている状態にあると、脳は次から次へと信号を受けて、バランスを保つ神経が混乱を起こしてきます。
そうすると「めまい」や「吐き気」が起きてきます。これが「船酔い」や「車酔い」です。
年中、船に乗っている船長さんや漁師さんはいつも船酔いをしていることになりますが、そのようなことはありません。なぜかというと船酔いは馴れるのです。また、船酔いにかからないよう、ちょっとした心がけをすれば、酔っても軽く済ますことが出来ます。
船酔いには、個人差があるので神経質にならないことです。また、船に乗る前には、体調を十分に整えておくことが大切です。睡眠を十分に取りましょう。寝不足は船酔いの大敵です。消化の悪い食べ物は胃に負担をかけますからいけません。暴飲暴食もだめです。
酔ってしまったら、胸や腹部を楽にして新鮮な空気に当たり、遠くの景色を見ることです。この反対に空気の流れの悪い狭いところにいたり、目の前の波などを見つめていると船酔いは、ひどくなります。酔い止めの薬を飲むのも一つの方法ですが、酔う前に飲んでおかなければ効き目がありません。 |
|
|
エルニーニョ現象って?
エルニーニョ現象はもともとは南米のペルーやエクアドルの沿岸の東太平洋赤道海域で、海面の水温が数年の周期で異常に上昇する現象のことで、南米の太平洋沿岸域に限られた現象であると考えられていました。
しかし、最近では太平洋の赤道海域全体にわたって1年から1年半程度継続するスケールの大きな現象であるといわれるようになりました。
では、この現象は私たちの住む日本が位置する西太平洋地域にどのような影響があるのでしょう。
エルニーニョ現象があるとフィリッピン沖の海水温が低下します。すると、夏の日本の気候に大きな影響をもたらす太平洋高気圧が、いつもより東に移動して日本に冷たい夏をもたらすのだそうです。
日本の影響は、夏はいつもより涼しい冷夏を、冬は暖冬という気候に変化をもたらし、梅雨明けが遅れて雨量が多くなったりします。台風の発生する数が例年よりも少なくなることも知られています。
何千キロも離れた地域の気候にも影響するこの現象は、その動きを探ることによって気象の長期予報に役立てることが出来ます。
「エルニーニョ」は、スペイン語で、神の子の愛称である「少年」とか「子供」の意味です。 |
|
|
陸奥湾の境界は?
津軽海峡の南側にある大湾で、下北郡佐井村焼山埼と東津軽郡今別町高野埼を結ぶ線を湾口とする。
参考までに
・平舘海峡は、焼山埼~高野埼を北口とし、今津北隣の岬角と
鯛島(弁天島)との間を南口とする。
・津軽海峡は、尻屋埼と恵山岬(北海道)を東口とし、龍飛埼と
白神岬(北海道)との間を西口とする。
(出所は、海上保安庁刊行の水路誌) |
|
|
海の深さの基準は?
海の深さ水深は、最低水面から測ります。
この最低水面は、海面が大体それよ りも低下することがほとんどない面をいいます。この面は、一般に平均水面下(した)Hm+Hs+H'+Hoの面です。
Hm、Hs、H'、Hoはそれぞれ潮汐の調和分解で求めた「Hm:主太陰半日周期」、「Hs:主太陽半日周期」、「H':日月合成日周期」、「Ho:主太陰日周期」の各半潮差を示します。
しかし、場所と時期により(冬季に高気圧の影響などで)低潮面がなお、この面以下に下がることがあります。
また、海図に記載の橋の高さは、最高水面からの高さを表し、海面が大体それよりも高くなることがほとんどない面をいいます。
この面は先ほどの最低水面とは逆に平均水面上(うえ)Hm+Hs+H'+Hoの面です。 |
|
|
津波の伝わる速さは?
津波の伝わる速さは、海の深さの平方根に比例します。
水深6千メートルの太平洋では、秒速200メートル以上、時速に直すと、700キロメートルにもなります。
昭和35年のチリ地震のときには地震発生後、24時間で津波が日本に押し寄せました。チリから日本までの距離は1万7千キロメートルですから、平均時速は700キロメートルでした。 |
|