第14話 お風呂エッチ

「お背中流してあげるね、お兄ちゃん」


 兎姫はそう言って、俺を風呂椅子に座らせた。


 股間の膨張はハンドタオルで申し訳程度に隠しているが、正直かなり恥ずかしい。とは言っても、裸の恋人が同じ空間にいるんじゃ治まるわけもなかった。

 背中越しに感じる兎姫の存在。わざわざ背後に視線を向けるまでもなく、目の前の姿見が美しい女体をちらちらと映している。


「よいしょっと」


 兎姫は手のひらにボディーソープを出して泡立てると、それを自らの胸に塗りたくっていく。


「え……? おい兎姫、なにして……?」

「……? なにって、お兄ちゃんの背中を洗うんだよ? これで」


 ゆっさと泡だらけの胸を張る兎姫。


「そ、それはつまり、おっぱいで!?」

「うん♡ そう♡」


 どんなプレイだ!?

 そんなことが許されてしまっていいのか!?


「ねぇ、お兄ちゃん、見て……私のおっぱい、ぬるぬるだよ♡」

「ぬ、ぬるぬる……!?」

「これをお兄ちゃんのおっきな背中とくっ付けたら、ぜったいきもちいいよね♡」


 耳元で囁くようにそう言うと、


「じゃあ、いくよ」


 トロトロの胸を背中へぴとりと触れさせた。

 

「ひんっ…………」


 思わず変な声を出して背筋がピンと伸ばしてしまう。


「お兄ちゃん、可愛い声……♪」


 恥ずかしいことこの上ない。

 

「動くね♡ ————んっ、んっ。どう? きもちいい?」

「……あ、ああ。気持ちいい……」


 むにゅむにゅと最高の感触が背中を襲う。人肌同士が擦れ合う絶妙な気持ちよさ。体温が混ざり合っていくかのようだ。


「私も、おっぱい擦れてきもちいい♡ さっきのせいで敏感になってるかな……♡ あっん♡」


 背中を洗ってくれているだけのはずの兎姫の声にだんだんと喘ぎ声が入り混じっていく。

 

「と、兎姫……!?」


 これではまたさっきと同じように……!?


「大丈夫ッ、だよ……がまん、しゅる♡ 今は、私がご奉仕するからね……♡」


 そう言いながらも兎姫はぬるぬるのスピードを速めていく。


「〜〜〜〜〜っっ♡」


 最終的に、耐え忍ぶように口元を引き絞って背中を洗い終えた。


「お、終わったか……」


 俺にとってもまた、もどかしく苦しい時間だった。

 俺の限界も近い。


「じゃ、じゃあ、あとは自分で洗うから。ありがとうな、兎姫————」

「まだだよ、お兄ちゃん♡」

「へ?」


 兎姫は立ち上がると、なんと俺の正面へとやってきてしゃがみ込む。


「今度は、前♡」


 そう言うとボディーソープを追加してさらなるぬるぬるを手に入れて、そのまま抱きついてきた。


「えへへ、こっちはお兄ちゃんの顔がちゃんと見えていいね♡」


 妖艶に微笑む兎姫の顔が、俺にもよく見える。

 同時に股間の方も存在を主張するかのようにピクッと震えてしまった。


「そっちも……やっぱり元気だね♡ 私も興奮するよ♡」


 そして抱きついたまま、兎姫は再びぬるぬるを開始する。

 お互いの胸が擦れ合い、表情の変化を隠すこともできない。背中を遥かに超える快感。


「ちゅ、れろ……♡」


 ついにはキスにまで至り、興奮は最高潮へ。


 完全に2人だけの世界が出来上がっていた。


 股間には兎姫のお尻が擦り付けられて、強い刺激が背筋を駆け抜ける。


 その瞬間、俺の理性は弾けた。


「ごめん、兎姫」

「え? お兄ちゃん? ————きゃ!?」


 ケモノと化して、エロすぎる恋人へ襲いかかる。

 

「だ、ダメだよぉ、お兄ちゃん♡ 今日は、私が、ご奉仕ぃ♡ あぁああ〜〜〜〜ッッ♡♡♡」

 

 


 数時間後。

 俺と兎姫はベッドで寝転がっていた。


「のぼせた……」

「私もぉ……」


 あれから湯船に浸かったりなどもしながら何回も連続でお互いの足腰が根を上げるまでエッチしてしまった。


「でも、お風呂でエッチ……すごいね」

「だなぁ」

「またやろ、お兄ちゃん」

「た、たまにな……」


 兎姫をやる気にさせすぎたらもう、毎日毎晩お風呂ではそういうことになってしまう。

 あんなふうに誘惑されたりしなければ俺だって盛りきってしまったりしないのだ。


「平日は控えるんだからな」

「うん、わかってるよ♡」

「明日から2人暮らしも学校生活もちゃんとしないとなんだから」

「うん♡」

「今日はもうこのまま寝るぞ」

「うん♡ ————ちゅ」

「おい兎姫……んっ」


 兎姫は俺の言ったことがわかっているのかいないのか、ついばむような甘いキスを繰り返す。

 さすがに第二ラウンドを開始する体力は残っていなかったが、眠りにつくその時まで恋人同士のじゃれあいは続いたのだった。

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